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 訓練を開始してから一週間が経った。

 ここ最近の俺の一日は朝の走り込みから始まる。

 街の外周を一時間程度の間走り続けるのだが、正直この時点で既にヘトヘトだ。

 でも、この走り込みはいわばウォーミングアップのようなものなのでこんなところではまだへこたれてなんていられない。

 走り込みが終わったあとは家に戻りクレア謹製の朝食を食べ、少し休憩。

 その後昼までは、武器の素振りをしたり、筋トレをしたり、文字の読み書きの勉強をしている。

 特に読む方に関しては割と切実だ。

 たとえば買い物に行ったとする。この時に文字の読めない俺は店員に聞くわけだ、「こいつの代金はいくらだ」ってな、するとこう返ってくる、「そこに書いてあんだろ?」と、それに対して「読めないから聞いてんだよ」って返すと、店員は思うわけだ文字が読めないんなら本来よりも高い値段で売りつけても分からないんじゃないかと、こうしてまんまと悪い店員に騙される善良な一般市民の俺が生まれるわけだ。

 そうならないためにもなるべく早く文字の読み程度はマスターしておきたいところだ。

 冒険者になったら任務クエストの確認をするのに一々聞いていたらきりがないしな。

 何故か言葉は通じるのが謎だけど、正直それに関してはめちゃくちゃ助かってるからあまり深く考えないでスルーしてる。

 というか、言葉すら通じなかったらコミュニケーションをとるのが今よりもかなり高難度になってただろうな。

 昼からの予定は、ミリオがいるときは以前のように広場で指導訓練を受けて、任務でいない時は昼前と同じメニューをこなすようにしている。

 今日はミリオがいるので指導を受けるつもりだ。

 結局この一週間は小剣の訓練に費やして、本当に最低限の基本動作は身につけたので、今日からは槍を使った訓練を始める予定だ。


「じゃあそろそろ行こうぜ」

「うん。それじゃあクレア行ってくるね。いつも通り夕方には帰ってくるから留守番よろしく」

「……」


 笑顔で手を振るクレアに、二人で手を振り返して訓練場に向かう。





 ここ数日この場所に通っていることもあって、何人か見たことのある顔を発見することができた。

 話したことはないけど、自分と同じように訓練に励んでいるところを見ると妙に仲間意識のようなものを感じる。

 

「今日からは槍の慣熟訓練を始めるわけなんだけど、先に一つ言っておかなきゃならないことがあるんだ」

「ん? なに?」

「実は僕、槍はあまり扱ったことがないんだよ。それで、正直あまりアドバイスをあげたりできないと思うんだ」

「あぁ、そうなのか」


 まぁ、ミリオのメイン武器は弓だし、サブ武器は短剣だ。

 弓術士の主な役割としては牽制に撹乱と支援、それに隠密からの不意討ちだ。

 槍はその長さから隠密行動には不向きだし、あまり触れる機会がなかったのだとしてもおかしな話しじゃない。


「だから、冒険者の知り合いの槍使いにアスマの指導をお願いしておいたんだよ」

「おぉ、なるほど。で、その人は?」

「まだ来てないみたいだけど、時間は伝えてるしもうすぐ来るんじゃないかな」


 槍使いか。どんな人なんだろ?

 個人的なイメージでは槍を使うのって、細マッチョのイケメンって感じなんだけど。

 

「あ、丁度来たみたいだよ」

「おぃっすー。来たよー」


 ……え? 女の子?

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