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訓練(盾)3

 それから幾度となく放たれる拳打を、防いでは弾かれ、流そうとしては弾かれ続け、ようやく少し盾の扱い方が分かってきた気がする。

 攻撃を盾で受ける際、これまではただそれが来るのを待ち構えていただけだったが、それじゃ駄目なんだ。相手は自分の攻撃が最大の威力を発揮する距離からそれを仕掛けてくるわけだから、それを馬鹿正直に待ち受ける必要はない。

 だから、俺はゲインさんの拳撃が届く直前、それに合わせるように体を半歩分前に出す。そして、次の攻撃は半歩引いて受け止める。ただそれだけのことで今までは受け損なっていた攻撃を、何とか防げるところにまで持っていくことができた。

 要は相手の攻撃が最大の威力を発揮する前、もしくは発揮した後に受け止めることで、一番威力の乗っている打点をずらし、攻撃力を僅かながらでも削ぐことができるというわけだ。

 そして、攻撃を受け流す時、今まではそれに合わせるように盾を傾けて受け流していたが、わざわざ自分でそれに合わせる必要はなかった。

 攻撃を受ける直前、盾の位置を正面より少し横にずらし相手の攻撃が盾の曲面に触れると同時に、その力に逆らわないように盾を傾け攻撃を後方へ滑らせるようにいなすことで、少しの余裕を持って攻撃を受け流すことができる。

 その少しの余裕を持って、俺はゲインさんの腕を真横に弾くことで、体勢を崩すことに成功する。そうして生まれた隙を逃さずに、反撃を繰り出そうと木剣を突き出した瞬間、真下からの猛烈な衝撃を受け腕が跳ね上げられ木剣を取り落としてしまった。

 見ればゲインさんの足が振り上げられていたので、どうやら下からの蹴りによって腕を弾かれてしまったようだ。

 しかも、ゲインさんの動きはそれで止まらず、足を引き戻して瞬時に前蹴りを放ってきた。


 「ぐぇっ!」


 完全に虚を突かれてしまったためそれを防ぐこともできず腹部を蹴り飛ばされてしまい、発生した衝撃により壁際まで吹き飛ばされてしまった。


 「今のは悪くない動きでしたよ。ですが、上ばかりに気を取られて下への注意が散漫になっていましたね。盾を扱い始めの初心者にはよくあることなのでその辺りにも気を払うことを心掛けてください」

 「……はい」


 こちらに歩み寄り手を差し出してきたゲインさんの助けを借りて起き上がると、周にいる子供たちが遠巻きにこちらを見ていた。その中にはもちろんクレアも居て、カッコ悪いところを見られてしまったことが気恥ずかしくて顔を合わせられない。

 そんな子供たちの視線を感じ取ったのか、ゲインさんは後ろを振り返ると二度手を打ち鳴らす。


 「貴方たちはこちらのことは気にせず自身の鍛練に集中してください。この程度で気が逸れるようでは強くなどなれませんよ」


 ゲインさんの注意を受けた子供たちは慌てて顔を逸らすと、止まっていた素振りを再開させ始めた。


 「では、アスマ君は少し休憩を挟みましょうか。いつものように魔力操作の鍛練をしながら休んでおいてください」

 「うす」


 その後、何度も打ちのめされ続けてある程度の成果を得たところで今日の鍛練は終了となり、クレアと一緒に家へ帰ることにした。

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