訓練(盾)2
「では、始めましょうか」
「うっす!」
訓練所の中央でゲインさんと向かい合う。
今回の模擬戦は本番を意識して装備を全て装着した状態だ。武器だけは木剣だが、それ以外はいつも通りの革装備とこの前購入した兜と胸当ても装備している。
「まずは構えから。脇を締めて体の中心で構えてみてください」
えっと、こうかな?
体の前で腕を縦にし、盾を正面に向けて構える。
「はい、そして足を前後に開いて腰を落としてください」
「うす」
言われた通りに足を開き、腰を落とす。そして、木剣を握っている腕を体の横に下ろし、刃の先を地面に向ける。
「それが盾を扱う際の基本の構えになります。ですが、あくまでも基本というだけの話ですので自分なりの構え方を模索していってくれても構いません」
「はい」
「それでは軽く打ち込んでいきますので盾で受けてみてください」
「うっす!」
そう言って一足飛びで眼前まで迫ってきたゲインさんが拳を放ってきたので、その軌道上へと盾を構え拳を受け止める。
「腕だけで受け止めにいかずに、体から腕を離しすぎないように注意して体の芯で受けるように意識してください。腕が弾かれてしまっては盾を持つ意味がありませんので」
「はい!」
そして、ゲインさんが再度拳撃を放ってくる。今度はそれを腕が体の中心に重なるようにして構え、盾の中心で攻撃を受け止めた。
「はい、いい感じです。それでは何度か連続で打ち込んでいきますので、今のように受け止めてみてください」
「うす!」
ゲインさんが連続で打ち込んでくる拳撃を先程と同様に正面で受け止めていく。拳を受け止める度に盾が硬質な物で殴りつけられたような鈍い音を立て、腕に衝撃と振動が襲い掛かってくる。
思っていたよりも腕に掛かる負担が大きいな。高威力の攻撃がきた場合は受け流した方が良さそうだな。
「ふむ。軽い打ち込みなら受けられるようになってきたようなので、次からは少し威力を強くしていきましょうか。受けきれないようならば受け流してみてください」
「はい!」
そこからゲインさんの放つ拳撃は段々とその威力を高めていき、徐々に受け止めるのが困難になってきた。
なので、盾を少し傾けて曲面で拳を受け流す。これは体術の鍛練をしていた時にやった攻撃を捌く動きに通ずるものがあるので、何とかこなすことができた。
だが、一度だけならともかく威力の上がった拳をそう何度も捌けるわけもなく、受け損なった一撃に盾が腕ごと弾かれてしまった。
「まずまずと言ったところですね。ですが、この程度を完全に捌き切れなくては実戦で満足に扱うことはできないでしょう。なので、今日はとことんまでやりますよ。最後まで気を抜かず付いてきてください」
「おっす!」
思っていたよりは扱えているような気はするが、それでもやっぱりまだまだ完全に扱うまでには程遠いようだ。これは気合いを入れ直して精進しないと。