訓練(盾)
翌日、クレアを引き連れて冒険者ギルドへとやってきた俺は、訓練所でゲインさんに盾の扱いに関する手解きを受けていた。
「盾を扱ううえでの基本的な動作は、受ける、流す、弾く、この三つになります。回避が困難な攻撃や、受けるのが困難な攻撃などに対し、その場その場で適切な判断を下すことが重要になってくるのですが、もし判断を誤まった場合手痛い傷を負うことになってしまうので注意してください」
「はい」
「さて、ではそれを踏まえたうえで技術指導を行っていきますので、同時に判断力の向上も目指して頑張ってください」
「うっす」
以前ここへ来ていた時の経験則で、これから行われるのが模擬戦だということは流れで分かっているので淡々と準備を済ませていく。
その際にクレアの方に視線を向けてみると、壁際に立ち木製の短剣で素振りを繰り返している姿を確認でき、他にもクレアと同年代らしき子供たちが同じように各々の武器を手に取り、素振りをこなしている。
どうやらあの子たちも冒険者志望のようで、冒険者の資格を得られるレベルに到達するための戦力を手に入れるために先日からここへ通っているようで、全員魔物との戦闘経験がないレベル1のひよっこたちだ。まぁレベル1なのは俺も一緒だけど。
クレアだけは一応レベルが3に到達しているが、あれはあの子の両親がまだこの街に居た頃、念話の訓練をするための魔力総量を増やす目的で上げたものだそうなので、戦闘技術的にみれば他の子供たちと大差はない。なので、俺が盾の技術を習得するために冒険者ギルドへ行くという話をしたところ、自分も戦闘訓練をするということで一緒にここまでやってきたというわけだ。
ちなみにミリオも今朝早く任務に出た。このところあいつも自分のレベルを高めるためによく外へと出ているような気がする。
まぁ、これまでもほとんどソロで活動してきたんだから、今更心配するというのもおかしな話かもしれないけど、万が一ということもあるのであまり一人で無茶なことはしないでほしいと思う。
それに、明日になればアンネローゼやガルムリードとパーティーを結成するための話し合いをすることになっているし、俺が盾の技術を習得して、クレアのレベルが5に到達すればそれで五人のパーティーになる。
そうすればこれまでよりも難易度の高い任務を受けたり、強い魔物と戦う機会も増えるはずなので、自然とレベルも上昇していくだろう。
それでミリオの目的に少しでも役に立てるなら嬉しいことだ。そのためにもできるだけ早くあいつに追いつけるように努力しよう。