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感覚強化3

 その後、試行錯誤を繰り返しなんとか五感の内、聴覚、嗅覚、触覚、味覚の四感を個別で強化、解除できるようになった。

 聴覚、嗅覚の強化に関してはあれから大した進展は見られず、やっぱり個々の音や臭いを識別するためのスキルを別に取得しない限り有効活用することはできないようだ。

 触覚に関しては、強化することで肌に触れた物の形状を正確に脳裏に思い描くことが可能になり、物体の凹凸や質感などもより精密に感じられるようになったが、神経が過敏になっている分普段よりも刺激を強く感じるのか、指先に木のささくれが刺さっただけで飛び上がってしまいそうになるほど鋭い痛みを感じた。

 触覚を強化する場面があればこの点には注意した方がよさそうだ。

 味覚に関しては予想通りというか検証するまでもなく効果は分かりきっていたことなのだが、味に敏感になるだけだった。

 クレアがおやつとして食べている甘酸っぱい木の実をいくつか貰って試してみたところ、普通に食べるより甘味と酸味をより強く感じるだけで、特にこれといった有用性を見出だすことはできなかった。まぁ、極端に薄味の物を食べなければいけない場面では役に立つかもしれない。

 といった具合に四つの感覚を試したわけだが、視覚の強化だけはまだ試していない。

 というより、この強化が一番実用性がありそうなのでわざわざ目を閉じて試さずに残しておいた。最後のお楽しみというやつだ。

 ということで閉じていた目を開き、早速強化を試してみる。


 『アクティブスキル《感覚強化》発動』


 その瞬間、自分の視界に劇的な変化が訪れ思わず目を閉じてしまったが、恐る恐るもう一度目を開いてみると、それまでは灯りもなく薄暗くて部屋の全容を見通すことができなかったが、今ではまるで昼間のようにはっきりと見えるようになっていた。

 訓練場で強化した時は、太陽の光を取り込み過ぎたせいで目が眩んでしまって満足に効果を確かめることができなかったが、暗闇で視覚を強化することでわずかな光を瞳に収束させ、本来であれば視界が働かない暗闇でもこうして見渡すことが可能になった。

 そのうえで遠方まで見通しが利くという効果まで有している。まぁ、今は部屋の中にいるので、まるで壁が目の前にあるかのように感じるだけなんだけどな。

 でも、思っていた通り視覚強化はかなり有用だ。暗闇でも目が利くなら、灯りを使用できない場面でも行動することができるし、遠方を見通すことができるなら離れた場所からでも目視による索敵が可能になるんだからな。これは今から扱い慣れておくに越したことはないだろう。そうと決まれば早速今から慣熟訓練を積んでおこう。

 そうして視覚強化の訓練を開始したのだが、結局は眼精疲労の問題で早々に切り上げて、そのまま眠りに就いたのだった。

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