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撤回

 「というわけでクレアが冒険者になることに反対するという言葉は撤回させてもらうことにした」


 少し時間が経ったことで冷静になってきた頭で考えた結果を、俺は二人に宣言した。


 「そうなんだ。良かったね、クレア」


 というミリオの言葉に、料理を作っていたクレアがこちらに振り返って笑顔で頷いてみせる。

 帰ってきた時点でいつもより遅い時間だったのだが、先程の話し合いで更に時間が経過したため夕食の準備がかなり遅くなってしまった。まぁ、大体俺のせいなので手伝いに入ろうかと思ったんだけど、結局手伝わせてもらえなかったので今は椅子に座り料理が出来上がるのを待っている状況だ。


 「でも、随分あっさりと主張を曲げたね」

 「そりゃあんなものを見せられたうえで、クレアが目的のためならひたむきに努力し続ける子だってことを知っちゃったんだ。それでまだ反対し続けるのはさすがに俺のエゴだからな」


 というか、反対し続けたことが原因になって無茶をされたらそれこそ本末転倒だしな。それならということで、最初から冒険者になることを前提として見守る方向で行くことにした。


 「それに、要はクレアが怪我をしないように俺が守ればいいってだけの話だしな」


 そう俺が言った瞬間、出来上がった料理を運んできたクレアが俺に抗議の視線を飛ばしてくる。


 「あぁ、分かってるって。そのうえで俺も怪我をしなければいいんだろ? 安心しろって、ちゃんと考えはあるから」


 安心させるように料理をテーブルに置いたクレアの頭を撫でる。

 それをくすぐったそうにしながらも、受け入れて頬笑むクレアを見てこちらも自然と頬が緩んでしまう。その笑顔が純粋に愛おしいと思う。

 ……これがシスコンのやつらが妹に対して抱いている気持ちなんだろうか? これはまずいな。今後、クレアに下心を持って近づいてくる男がいた場合俺は冷静でいられる自信がない。

 そういう輩からもクレアを守れるように今よりも更に強くなる必要がありそうだ。元々はある程度の強さしか求めてはいなかったけど、もっと上を目指すべきなのかもしれないな。今までのようにただ漠然とした強さを目指すんじゃなくて、守るための強さを身につけるために。

 そうと決まれば明日はまた冒険者ギルドに顔を出してみるか。こうなれば是が非でも盾の使い方を早いところ教えてもらっておきたい。またゲインさんの手を煩わせることになるけど、またいつでも来てくれって言ってたしその言葉に甘えさせてもらうことにしよう。

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