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力試し3

 「かっ! 威勢がいいじゃねぇかよ。いいぜ? 俺の全力を引きずり出せるもんなら、引きずり出してみろやっ!」


 俺の言葉に触発されてか、ガルムリードはその顔に獰猛な笑みを浮かべると、再度体を屈めるように膝を曲げ、次の瞬間にはまるで弾き出された弾丸のような速度で一気にこちらとの距離をゼロに縮めてきた。


 「おらっ!」


 そして、その勢いを乗せた拳を放ってきた。

 速く、鋭い、見ただけで分かるほどに高威力を秘めた拳は人体の急所である鳩尾みぞおちを的確に狙い、それは吸い込まれるようにして無防備を晒す俺に直撃した。


 「あ?」


 だが、ガルムリードが呆けたような表情と声を出し、一瞬動きを止めた。

 先程までの攻防で一度も決まらなかった一撃があっさりと俺に命中したからだろう。僅かに戸惑うような視線をその自分の拳に向けている。

 だが、その戸惑いは拳が直撃したということだけが原因ではないはずだ。ガルムリードが動きを止めた原因は、俺に放った拳が捉えた感触が肉を打った時のそれではなかったからだ。

 俺の体とガルムリードの拳の間、僅かなその隙間に存在する半透明の赤い壁。それこそは防御系スキル《赤殻》が生み出した障壁だ。

 障壁はガルムリードの攻撃を一切俺に通さず、その威力を完全に阻んでいる。

 このスキルはまだ一度も試したことはなかったので、どのような形でその効力が発揮されるのかが不明だったが最良の形でその力を発現してくれたことに感謝する。

 そして、俺は予想外のことが起こったことで瞬間的に動きを止めてしまっているガルムリードの腕を掴み取ると、背後の地面に叩きつけるように投げつける。


 「らっ!」


 だが、さすがというべきかガルムリードは投げ飛ばされた直後、空中で体勢を整えると地面に足から着地する。が、勢いまでは殺せずに砂煙を上げながら地面を削るように滑っていく。

 それに追撃を掛けるように、俺も全力で一気に距離を詰め剣を振り下ろす。

 体勢を崩しながらもそれを回避するガルムリードだが、そこに畳み掛けるように連撃を叩き込む。

 しかし、ガルムリードはその全ての攻撃をかわし、いなして徐々に体勢を立て直しつつある。

 実力差がある以上こうなることは分かっていた。だからこそ、もう一つだけ手を考えておいた。だが、この手は完全に賭けだ。成功するかも分からなければ、どれだけの被害を及ぼすのかも分からない。

 それでも、俺はこいつに、ガルムリードに自分という存在を刻みつけるために、それを決行する。


 『アクティブスキル《思考加速》発動』


 加速した知覚の中で、俺は自分の中にある魔力を左手に集中、収束させる。

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