異世界転移
「……ん」
目蓋に光を感じる。
朝か。
バイトがあるから起きなきゃなんないけど、めんどくせーなー。体ダリー。
これがバイトじゃなく学校なら絶対サボって二度寝する自信はあるわ。
あー、ぐだぐだしてたら余計に起きる気無くしそうだしさっさと起きますかね。
「っしょっと。ん?」
仰向けに寝転がった状態から上半身を起こして、目を開けたときにそれに気づいた。
「……おい、何で俺は外で寝てるんだよ」
どうやら森と原っぱの境目みたいなところで寝てたみたいだけど、つか背中の感触で気づけよ俺。
でもホントに何でだ? 昨日はバイト終わってから家に帰って飯を食べながらゲームしてたよな。
で、ええと……そこからの記憶がないってことはまぁ寝落ちしちゃったんだろうけど、何で外よ。
「拉致とか、ではないよな」
自慢じゃないけど拉致られるほどの金は持ってないし。
家もちょっと古いエレベーターもついてない賃貸マンションだ。
昨日は酒も飲んでないから酔っぱらってたわけでもないし。酔っぱらってもそんなことはしないが。
それよりもまずここってどこなんだろうな。見た感じ田舎とかってレベルじゃないぐらい何にも見当たらないんだけど。
「んー。あっ、そうだスマホのGPS」
これで場所の把握だけでもって……ポケットに入ってないし。
あーそりゃそうか、家帰ったらとりあえずポケットから出して充電するもんな。
そもそも服も部屋着だし。無地のTシャツと短パンってあんまり外を出歩くような格好じゃねぇよなこれ。
「しっかし弱ったな」
今居る場所も分からなけりゃ、スマホも財布もない。
その上この格好だ。おいおい詰んでるじゃねぇかよこの状況。
まぁ、寒冷地に放り出されなかっただけマシなのか?
なんにせよいつまでもここでうだうだしてても始まらないし、とりあえず行動はするべきだろう。
案外割りと近くに民家とかあるかもしれないし、歩いてればそのうち人と会えるかもしれないしな。
「よし。そうと決まれば行動開始だ。……あ」
……歩くにしても俺裸足じゃんよ。まじかよ。