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キャラ紹介 ガブリエルの場合

今回も読んでいただき、ありがとうございます!


ガブリエル様ようやくアップです。


読んでくださる方が増えてて本当に嬉しいです!!

さて、続いての調査相手は『アンジェロス学園』の生徒会・書記を勤める、麗しき学園のマドンナ『ガブリエル=グランドリーム』先輩。


本当は彼こそが、生徒会内で一番最初に調査候補としてあがっていたNo. 1だったりする。


理由は簡単。

穏やかで優しそうだったから。



それと、マドンナと言ってもここは男子校。


間違いなくガブリエル先輩も男性で、男装の麗人ではない。

いやその可能性もしっかり考えたんだけど、去年の夏の記録にしっかりとガブリエル先輩の眩しい水着姿が載っておられました。


しかも、細身ながら結構しっかり筋肉ついててびっくり!


ガブリエル先輩は着痩せするタイプなんだな。


まぁ、元々BLゲームの世界だから、これで逆に実は攻略相手が女性だったと分かったところで、主人公の向こう側にいらっしゃる腐女子&腐男子の大部分は少しも喜ばないだろう。



え?その記録?



もちろん、彼のファンを主張してやまないチャミエル自ら製作のスペシャル版です。


何百何千という写真の中から、チャミエルが選びに選んだベスト10は本当に惚れ惚れするほどの素晴らしさだった。


いや、もうすでに大女優の風格溢れる美しさと気品に満ち満ちたその姿は、男性とか女性とかなどの性別を遙かに凌駕したような感動すらも感じてしまう。


『天は二物を与えず』と言うが、むしろ生徒会メンバーは二物以上ないとなれないものなんじゃないだろうか。


ガブリエル先輩の家は、ショッピング界では知らないものはいないメジャーブランド『ヴァン・リオン』の創設者にして、今もその世界の第一線を変わらず走り輝き続けるトップクラスの財閥だ。


前世で言えば、シャ◯ルクラスのブランドだと思ってもらえればいいだろう。


ちなみに『わたし』は前世でシャ◯ルのお店に入ったことはない。


ガブリエル先輩はそこで『ヴァン・リオン』専属でのモデルもしており、チャミエルがよく夢中で読んでは興奮してキャーキャー騒いでる女性向け雑誌に見ない日はない。


女性向け雑誌のガブリエル先輩はスカートこそはかないものの、ロングスカートに見えるようなゆったりしたズボン、前世で例えるなら『スカンツ』や『ガウチョパンツ』みたいなスタイルが多いようで。


まるでどこかの国からお忍びで来ている王族のようなカリスマ性のある気品を醸し出してらして。

高級な生地に全く着られることなく、むしろガブリエル様の高貴なエレガントさがよりあふれ出てて何を着てても本当にすごくステキっ!!


ちなみにこれは俺ではなく、チャミエルの感想だ。


学校では成績もトップクラスで品行方正、教師からの信頼も厚く部愛想なミカエル会長とは違い、誰に対しても柔らかな微笑みを絶やさない正に優等生の鏡。


彼のファンはチャミエルの比ではないほど、我が学園のみならず他の学校ですらも熱く愛してやまないファンが多いが、チャミエルのようなアイドルファンとは違ってもはや崇拝レベルな男達が多い。


側にいるのも単純に好きや憧れているからという壁はとっくの昔に通り過ぎ、側近くでガブリエル先輩の何かお役に立ちたい、彼が生きてこの地にいることが奇跡なのだと一身に崇め尽くす。


『高嶺の花』を地でいく、チャミエルとは別の意味の気品と慈愛に満ちた『女王様』だ。



いや、コレ凄いな。


ハニエルってばこんな女王様にまで惚れられて恋人同士になっちゃうとか、前世でどれだけの徳を積めばそんなものすごい特殊スペックを得られるのか。


いやもう、ガブリエル先輩のことを知れば知るほど欠点もなければ弱点らしい弱点もないし、この人本当に人間なんだろうか?


実は、神様に内緒で女神か大天使が人間のフリして人間界に紛れ込んでるんじゃないかと本気で考えるしまう。








以上が、遠目から見てるだけの今現在集められる情報です。


これから先は直接関わらないといけないと分かってはいるのだが、何せウリエル先輩の時のようなラッキー遭遇イベントが起きない限り、一般生徒であるロードがただでさえ近寄りがたい生徒会の、鉄壁な信者の防御壁を乗り越えてガブリエル先輩に近づくのは至難の技だ。



だが、さすがはBLゲームの世界。



俺が男子だからなのか、そのチャンスは自然と訪れた。



「ロード〜☆今度のお休みの日にヘアーサロンに行くんだけど、一緒に行く〜?」


「ヘアーサロン?」



その日の昼休み、ラジエルと3人で昼食を学食で済ませたあと、天気がいいからと学園の屋上で日向ぼっこをしていた。


ちなみにラジエルは、昨夜も遅くまで色々な本を読んでいたようで俺の太ももを枕代わりに熟睡中。


なぜ俺の太ももなのかと言えば、チャミエルがそんな疲れることは絶対にしたくない!!と断固拒否したのと、寝ててもお前は俺が守る!!とあくびをしながらもロードの腰から手を離さなかったからだ。



仕方がない。



『膝枕をするBLカップルを見たい!』という俺の願いは、屋上に通ってる内にマイクラスにいる友達以上恋人未満な親友ペア、スイエルとザキエル辺りがすぐに叶えてくれるだろう。


何せあの2人は自分が女だったら、間違いなく相方を選ぶと公言してる自覚なし両思いカップルだ。



おっと、話を戻そう。



「ヘアーサロンって、チャミエルがよく話してるカリスマ美容師がいるっていうお気に入りの?」


美容に人一倍こだわっているチャミエルの自慢の髪に触れることを許すのは、そのカリスマ美容師だけらしい。


これで美容師さんが男性なら、即BL妄想スタートするな!



「うん!この間切ってもらった後に次回の予約もしてきたんだけど、チャーミーの担当者じゃなくて別の人でよければもう1人予約が取れるんだって!すっごいラッキーチャンスだよ☆」


「!?」



女性であった前世からもとよりあまり自分をキレイにすることは興味がなく、そこの経費を抑えてでもBL本やグッズを買いたいという、その名の通り女性としては腐りかけていた『わたし』。


それはロードに生まれ変わった今もあまり変わらず、自分を磨くことにはそんなに興味はない。



「ありがとう、チャミエル。気持ちはすごく嬉しいけど、その時間は俺よりもラジエルの方が喜ぶんじゃないかな」



「えぇーーーーーーー!!!チャーミー、ロードと一緒に行きたい!!」


「いや、俺はいつものところで十分だよ。チャミエルが気に入ってるところなら腕前もお店の雰囲気も最高にいいところだと思うから、やっぱり値段も安くはないきちんとしたところだと思うし」


「!?」



忘れてはいけない。チャミエルは大財閥の一人息子なのだ。


対して、どどどどど庶民の俺。


下手をしたら美容院1回で、1ヶ月分どころでないお小遣いが吹き飛んでしまう可能性は大いにある。


だが、チャミエルはそんな俺の気持ちもお見通しだったらしい。



「キャッ☆やっぱり〜〜ロードはきっとそう言うと思ったから、もらってきちゃった!じゃじゃーーーーん!!スペシャル無料券♪」


「へ?」


「でも、この無料券はロードの為だけにもらってきちゃったから、ロードが行かないなら今ここで破って捨てちゃうね☆」


「え?」


「ロードに喜んでもらいたくて、チャーミー、すごく、すごくがんばって、このスペシャル無料券もらってきたけど・・・・・チャーミーかなし〜〜!!」


「!?」



上目遣いで悲しげな表情をしたチャミエルの大きな瞳から、涙がポロポロこぼれ落ちる。


たとえ前世で女性の記憶を持っているとはいえ、ロードは一般の男性とさして変わらず、女性の涙にはめっぽう弱い。


と言っても、チャミエルは男だから女子に見える男子の涙なのだが。



「チャ、チャミエル!泣かないで!俺一緒に行くから!無料なら次回の散髪代も浮くし、使わせてもらえたらすごく嬉しいな!」


「本当〜!?じゃ、すぐに予約しておくね☆じいっ!」


「はい。かしこまりました」



「・・・・・・・・・涙ひくの早いね」



うん、知ってた。



「なぁに?ロード☆」


「なんでもごさいません」



でも、まぁチャミエルは笑顔の方がずっと可愛いし無料ならいいか。


けっこうあざとい感じの笑顔だけども。







そして、それから数日たった学園のお休みの日。

俺とチャミエルは学園からは少し離れた王都近くにある大きな街、『エリューシオン』の一等地にその店を構える美容院『ルミノーソ』へと来ていた。


その外観は、前世でネットの画像やテレビでしか見たことはなかった海外の高級ホテルのような、贅沢で広々とし吹き抜けの誕生から見える青空がなんとも心地よい解放的な空間。


白とピンクを基調とした、確かあれはロココ調とかいう家具だっけ?

『どう◯つの森』というゲームでその家具を集めて、お嬢様気分を味わっていた時期が少しだけあったのをふと思い出した。


ゴージャスでエレガントで、でも可愛い。


室内のあちこちには癒しの観葉植物とともに天使や女神を象った白い銅像や絵画・装飾があちこちに飾られていて、神秘的な雰囲気まで漂っている。


「これはこれは、フェアリーテール様。お待ちしておりました。今回も数ある美容室の中から我が店をご指名頂き、誠にありがとうございます」


「!!??」



美容師というよりも、執事のようなスタイリッシュで清潔感のある長身のわりとイケメン男性がそれは丁寧に深々とチャミエルへと頭を下げた。


「今日もチャーミーのこと、思いっきり可愛くしてね☆あと、ロードのこともよろしく〜〜!」


「はい。お2人にはそれぞれ、特別なお客様だけをお通しする個室をご用意しております」


「えぇーーーー!!ロードとチャーミー別々なの〜〜!?」


「申し訳ありません。その分、最高のサービスをさせて頂きますので」


「やった〜!じゃ、また後でね〜ロード☆」


「あ、う、うん」



チャミエルは慣れた様子で、さっさと自分に用意された個室へとスキップしながらあっさりその場から離れていく。


覚悟を決めて来たが、やっぱりこういう高級な場所はなんとも落ち着かない。


後からやってきた、先ほどの執事よりも小柄で若いスタッフに通された部屋は先ほどのロココ調の家具や絨毯にカーテンなど、全体的な装飾が白と紫で揃えられており、より高級いや高貴や雰囲気に整えられている。




「・・・・・・・すごいな」


「どうぞこちらへおかけになり、ご自分の部屋のようにお寛ぎください」


「は、はい」



こんな異世界にいるにもかかわらず、それでもなおここの空間だけが別世界のような気がしてとても心安らぐことなどできはしない。


少年執事に案内され、座らされたアンティーク調で猫脚スタイルの『1人がけソファ』に腰を落とすと、銀色の長いクロスを首からそっとつけられる。



「まもなく、担当者が参りますので」


「わかりました!」



失礼いたします、と少年執事が部屋を出て行くと途端に部屋は静まり返った。



「あぁ〜〜〜〜〜もう!緊張感でどうにかなりそうだ!」



あちこち開かれた大きな窓から気持ちいい風が入り込み、風や鳥のささやき声が緊張を少しだけほぐしてくれるがそれでもやっぱりこんな場違いな場所にいることに全身が違和感を感じてたまらない。



「前髪だけ適当に切ってもらって、さっさと終わりしだいすぐに帰ろう!!」


「それは僕が少し困るかな?」


「!!??」



そこには、天から舞い降りた女神がいた。



純白の布とゴールドの装飾品を使った古代ギリシャ風の上等な生地をあつらえた、赤みがかかった亜麻色の長い髪に赤銅色の瞳の美人。


麗しのマドンナ・ガブリエル先輩がそこにいた。



「え?なんでガブリエル先輩がここにっ!?」


「それは、ぼくが今日君の担当だからだよ」


「た、担当っ!?」


「初めまして、親愛なるお客様。本日あなた様の担当に選ばれましたガブリエルと申します。精一杯心を込めてさせて頂きますので、どうぞリラックスしたひと時をお過ごしください♪」


「は、はいぃぃぃッ!?」



まさかのマドンナに跪かれ極上の微笑みで見上げられた瞬間、全身顔を真っ赤にしたロードは大混乱のまま返事をなんとか返した。


こうして、BLゲームでよくあるハプニングイベントがスタートした。








「おかゆいところはございませんか?」


「は、はい!大丈夫です!」




実は、ガブリエル先輩はモデルをしつつもいずれは人の美をお手伝いするサロンのお店を出す予定とのことで、時々この『ルミノーソ』のお店で秘密裏にカットの腕を磨かせてもらっているんだという。


ただいま顔に薄いタオルをかけられ、シャンプー台にてガブリエル先輩のお美しい指でシャンプー&トリートメント中。


いや〜〜最初は相手がガブリエル先輩ということで緊張が取れずカチコチだったが、やっぱり人にされるシャンプーはとても気持ちいい。


特に、なぜか肩こりもひどい首元は念入りに撫でられ揉まれながらしっかりマッサージされ、不思議と気持ちまでほぐれた。



「すみません、せっかくの練習台がぼくみたいなさえない男で。切りがいないですよね」


「そんなことないよ。君の髪はとても柔らかくてまっすぐで、すごく扱いやすいからスタイル次第でいくらでも変わることができる♪君はまだ、君自身の魅力を知らないだけだよ」


「俺の、魅力?」




チョキチョキ


パサパサ


チョキチョキ


パサパサ



ガブリエルの細やかなハサミ使いで、次々と俺の髪の毛が切られていく。



「ほら、よく見て?」


「!?」



ガブリエルの両手がロードの背後からそっと触れて、ロードの目線を目の前の鏡に向けた。


そこには顔立ちはこれまでと変わらないものの、爽やかなイケメン風に見えなくもない、初めて見るような自分の姿があった。



「す・・・・・すごい」


「人は誰しも他の人を魅了してやまない魅力が必ず1つはあるんだよ。ぼくにも、そして君にもね」


「!?」



鏡越しに目線が合い、にっこりと笑った元々赤銅色をしたガブリエル先輩の瞳が光のせいなのか、いつもよりも鮮やかな赤い色に見える。



「君は、とてもいい匂いがするね」


「に、匂い、ですか?」



カット後のブローが終わり、今は仕上げの髪の毛のセットの前にと再び頭皮をはじめとした肩や首のマッサージタイムだ。



これが、本当に気持ちよくてたまらない。


目を閉じた俺は心地いい気分のまま、ガブリエル先輩に身体を預けている。



「人にはみな、その人が生まれ持った時から持っている匂いがあるんだ。それは一見外からつける匂いに紛れてしまうけれど、本質の匂いは隠し通せるものじゃない」


「!?」



もしかして、緊張の為に散々汗かいたあとそのままだから汗の臭いが先輩のところまで届いてしまってるんだろうか?



「す、すみません!」


「おや?何を謝ることがあるのかな?」


「いや、俺かなり汗臭いと思うから」


「さっきも言ったけど、君から香る匂いは本当にいい匂いだよ」


「へ?」



肩をマッサージしていたガブリエル先輩の手が止まり、俺の首筋に先輩の顔が近づく。



「せ、先輩?」


「本当に・・・・・こんな香りは初めてだ」


「!!??!!??」



肩にあった美しい両手の指が、ロードの首を優しく包みその指がゆっくりと肌をなぞる。





ゾワゾワした。





こんな美人がすぐそばにいるからだろうか?とも考えたが、それ以上に心臓が早鐘をうって背中に悪寒が走る。


こんな感覚は生まれて初めてだ。




「!?」




そして、次の瞬間。



ロードの肌を撫でたのは指ではなく、ザラッとした感触の熱く湿ったーーーーーーーー。




「せ、せ、せ、せ、先輩っ!!!!!」


「ごめんね♪おふざけが過ぎた。さ、これで今日はおしまいだよ」


「お、おふざけ?」



その後、先ほどのいたずらのことはさらりと流され、ここでガブリエル先輩と会ったことは秘密にしてら欲しいと頼まれた。


確かにバレれば『アンジェロス学園』のみらず世界のあちこちから彼のファンが押しかけ店は大変なことになるだろう。



「あ、そうそう♪さっきのいたずらのお詫びに、これを君にあげるね」


「え?」



カチャリ、と音を立てて背後から首元につけられたのは黒い少し太めのベルトに銀色の模様が入ったシンプルなアクセサリーだった。



「こ、これは?」


「ぼくの家のブランドの新作とはいえ、それはまだ試作品だから安心してね。その銀色の模様に魔力が込められてて、魔除けにもなるんだ」


「そうなんですね!貴重なものを、ありがとうございます!」



なんだか、このチョーカー。


よく見たらBL世界の中のジャンルにある、オメガバースという特殊設定が多く存在する世界観で出てくる首輪に似ている気がする。


確かあの世界観でよく出てくるのも『匂い』だったりしたので、なるほど!ガブリエル先輩はオメガバースの世界みたいな付属設定あり?の攻略者なのかもしれない。


その中であれば、美形で優秀な能力を持つガブリエル先輩は絶対に『アルファ』だ。


いや、生徒会は全員がそうかもそれない。


自分はといえば迷うことなく、平凡平和な能力も普通めな『ベータ』。


あとは『アルファ』と特別な絆が結ばれ、男性でも妊娠可能な『オメガ』が現れれば問題ないだろう。


身近な『オメガ』候補といえば、やっぱり我らが愛され主人公のハニエル君だ!


そうか!まだ彼が転校してこないから中途半端な設定で、ハニエル君が入学と同時にそのスイッチがスタートするんだな!






『が、ガブリエル先輩!そ、そんなところ、舐めちゃだめです!』


『ハニー君、ごめん。君の匂いが・・・・ぼくを狂わせるんだ』


『あっ!いや!先輩っ!!』





そこから始まる、めくるめBLの愛憎とエロス溢れる世界。




うん!これすっげーー萌えるじゃん!!



おかげで明日から教室で見る景色が、またしても色鮮やかにきらめくに違いない。


これでハニエル君が入学してくれば、俺の『腐男子』生活は薔薇色間違いなしだ!




「新しい髪型を喜んでもらえたならよかったよ♪」


「へ?あ、はい!すごくいい感じです!ありがとうございます!!」





何よりも、萌の材料をありがとうございます!!




その数分後、特製トリートメントで髪の毛のキューティクルがよりツルツルツヤツヤへと変わって上機嫌のチャミエルと合流し、ひとしきりすごいステキ!とガブリエル先輩の手がけた新しい髪型を褒められ、途中から自覚はないんだろうが愛あるディスりを受け、自室の寮へと帰っていった。






あと、ガブリエル先輩からもらったこのチョーカー。


なんと鍵つきだったみたいで自力では開けられず、本人は認めたがらないがかなり怪力なチャミエルが真っ赤な顔して力を込めても外れる気配が一切ない。


防水効果が施してあるようで、お風呂も問題ないし、制服のシャツからは少し出てしまうもののそんなに風紀に対してうるさくない担任だからそこは心配ないだろう。


何せ女子制服を平気で毎日着ているチャミエルのいるクラスだ。


『これはきっと勇者として目覚めるために必要な伝説の〜〜』と、決して外れないチョーカーにキラキラした瞳で考えうる限りの方法をラジエルも試してくれたのだがそれも効果はなし。



だが、やはり取り外しが自力でできないというのは困るので近々ガブリエル先輩に鍵をもらいに行こうとは思う。












その頃、グランドリーム家では。



「フルーレティーから聞いたぞ?今日、お前が『刻印の首輪』を使った人間がいると」


「おや?今日母上は本宅で仕事の打ち合わせをしていたと聞いてましたが?」



現在、グランドリーム家ではとても横に長い豪華な装飾の施されたアンティーク調のテーブルの端と端にガブリエルとガブリエルの父である『アルシエル』が席につき、たくさんの執事とメイドに見守られる中で優雅に夕食を共にしていた。



「フルーレティーは昔から遠くの景色を視るのが得意だからな。愛するお前のことはどこにいようと見守っているさ」


「その母上は、今はどちらに?」



カチャリ、カチャリとアルシエルが目の前の分厚くほとんど赤身に近いステーキをナイフとフォークとで器用に切り分け、ワイングラスに注がれた『鮮やかな赤い液体』とともに味わっている。



「フルーレティーなら、いつものように友人の晩餐会に参加している。それよりも、これまで一度としてあの首輪を誰かに使おうとしなかったお前が、ずいぶんと珍しい。もう刻印はつけたのか?」


「いいえ。まだ会ったばかりですから」


「ふっ・・・・・油断していると、横から奪われても知らぬぞ?」


「ご忠告は感謝しますが、それをさせない為の首輪ではありませんか。それでは、ぼくはこれで」


「全く、相変わらず少食だなお前は」


「少食ではなく、ただ妥協したくないんですよ」


「なるほど・・・・・その人間、わたしもぜひお目にかかりたいものだ。今度家に連れてきなさい」


「!?」



席を立ち今まさに自室へと戻ろうとしていたガブリエルが、顔だけをアルシエルへと振り返る。


その顔は彼にしてはとても珍しい、笑顔のない冷たい眼差しと雰囲気にあふれ、その瞳は鮮やかな紅色。



「・・・・・・・・申し訳ありませんが、いくら父上とはいえぼくのお気に入りに手を出せば、許しませんよ?」


「ようやく、らしい顔をしたな。普段のお前はフルーレティーと同じ仮面のような顔つきで気持ちが悪い。そんなに他者との共有が嫌ならば、さっさと刻印をつけておくんだな」


「肝に銘じておきます♪」



最後には、アルシエルが苦手な笑顔の仮面を前面に出しながら踵を返してガブリエルは自室へと戻っていった。



「おい、フルカス!今日の『ワイン』は中々だな!材料をここへ連れてこい。直に味わってみたい」


「はっ!」


アルシエルに命令され、静かに退出したフルカスという名の古参執事は静かにその場を離れると、すぐさま1人の若い人間の女性を連れてくる。



「あ、アルシエル様!」


「うん、いい匂いだ。女、少し味わわせてもらうぞ?」



恍惚とした表情でアルシエルを見上げたその女性は何の抵抗をすることもなく目を閉じてその時を待ち、その陶器のような首筋にアルシエルは遠慮なくかぶりつく。



「あ!あぁっ!アルシエル様!もっと、もっと噛んでください!」


「・・・・・・・やはり、うまいな」



アルシエルの口元からは紅い液体が滴り落ち、その瞳は鮮やかな赤。



『グランドリーム家』は先祖に血を糧にして生きる吸血鬼を持ち、人との婚姻を繰り返す中でその血はだいぶ薄まったものの、血を欲しその血を飲むことで魔力やエネルギーの糧とする。


吸血した相手を吸血鬼に変えることや死なせることはないが、吸血するとその人間の首筋にある刻印が浮かび上がり、吸血した者の『所有物』となって主人に生涯その血を捧げることが己の喜びとなるのだという。


吸血鬼ごとにその相手を嗅ぎ分ける匂いにも好みがあるようで、魂が震えるほどの極上の相手ともなれば寿命が長いものが多い中でも、一生に会えるかどうかとも言えるとても少ない確率なのだとか。


ちなみに『刻印の首輪』は、自分が気に入った相手が他の吸血者によって噛まれたりすることがないよう、守りの呪が込められておりもし主人以外の者が無理やり吸血しようとすれば、込められた呪がその相手に襲いかかるという。



「父上に言われなくとも、ようやく見つけたんだ。他の吸血鬼にはもちろん、誰にも渡さない。これからゆっくり時間をかけてぼくしか見えないようにして、ぼくなしじゃ生きられないようにしていくさ」



窓から差し込む月光に照らされて、妖しくそして美しく微笑んだガブリエルの歯には小さな牙がキラリと光ったーーーーーーーーー。



本当は嚙みつくまで書こうと思ってたんですが、そこまで行っちゃうとルートに入ってしまうなと、全キャラルートの自己紹介部分なのだからと我慢しました!


でも書くならエロスが出てしまうんじゃないかと、どこまで表現が許されるのかヒヤヒヤです。


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