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キャラ紹介 ウリエルの場合

今回も読んでいただき、ありがとうございます!

今回から生徒会メンバー編に入りました。


トップバッターはけっこう悩んだんですか、なぜかあまり強い候補でなかったウリエルが勝ち取りました!


よろしくお願いします!

さて、本日より我が学園が誇る有能な生徒ばかりが集まった、ゲームの攻略相手のメインでもある生徒会の面々について探っていくわけだが。



ここで少し問題が。


まず、学年が違う。


俺は新1年生。生徒会の彼らは3年生。


クラスが在る階どころか校舎すら違ければ、接点などこれといって何もない。


彼らの城である生徒会室など、一度も近づいたこともない渡り廊下の先にある離塔だ。


選ばれしものしか通れないその離塔には部屋を守る番人がいて、不慣れな一般生徒が誤って入室しないよう厳重に警戒態勢がしかれている。



え?何で?


ってか、ただの生徒会室だよな?



本来の主人公・ハニエルは一体どうやって彼らと接点を持つんだ?


何せゲーム未プレイなものだから、流れが全く分からない。



「ロード。この先は立ち入り禁止区域の森だが、何かあるのか?」


「え?そうなの?」



見慣れない通路を道なりに通って、変な魔法陣?らしき模様がついた扉を抜けた先が只今の立ち位置だ。


ちなみにロードの後ろからぴったりとそばを離れないのは、もちろん自称ロードの守護者だと自分の世界で勝手に決めつけているラジエル。


1人で行くと何度も同行を断ったのだが、前回チャミエルの一件で俺がぐったりしているのを見て、次は絶対一緒にいる!と引かなかったのだ。


そこそこどころか、かなり有能なラジエルが一緒なのは確かに心強いのだが、さっきから『敵の気配を感じる!』とか、『この感じはまさか伝説の〜〜』とか、一応ファンタジーの世界だから何が来ても大して驚くことではないんだけど、いちいち騒ぐものだから落ち着かない。


これがチャミエルだとどうかと考えてみれば、余計にキャッキャ!はしゃぐだろうから、うん、あんまり変わらないかな。


ちなみにチャミエルは、たまにしか会えない『ママ』と久しぶりのショッピングだそうで、授業が終わるなり風よりも早く軽やかに下校していった。




「ど、ど、どけぇぇーーーーーーーッ!!」


「!!??」



その時、突然前方からものすごい勢いで走ってくる人間とぶつかる。


その反動で壁に吹き飛ばされそうになるが、ロードの身体はすぐさまラジエルに抱きとめられてケガは全くない。


むしろ、ロードを抱きとめたまま壁に飛ばされ叩きつけられたラジエルの背中の方が心配だ。



「お、おいっ!大丈夫か、ラジエル!!」


「あ、あぁ。そんなやわな鍛え方してねぇって」


「ちょっと、背中見せてみろって!結構激しくぶつかって・・・・・・・ら、ラジエル?」



俺の頬に手をかけようと伸ばしたラジエルの指が止まり、その視線が俺?というより俺の上?妙なところで止まっている。



「く、くそっ!!このクソガキ共めっ!!大事な卵が割れたらどうし・・・・・・ないっ!ない!?お、俺の大事な金ヅるっ!!」



全身を黒い服で包み込み、その口元も黒いマスク、頭には灰色の頭巾を被った恐らく盗賊?の男は身体のあちこちをとても慌てた様子で探しまわるが、ロード達の方へ目線を向けた瞬間彼の動きが止まった。



「お、お、お、俺の卵ーーーーーーッ!!」


「たまご?」



キョロキョロ辺りを見るが特に何もない。




「ろ、ロード。お、お前の頭に卵がっ!」


「へ?」



ロードからはどうやっても見えないのだが、ロードの頭上の真上には鮮やかな虹色の卵が。



不思議なことに重みを全く感じないし、軽く頭を振ったり頭から卵を取ろうとしてもなぜか外れない。



「返せぇぇーーーーーーーッ!!!」


「ロードッ!!」


「!!??」



目を血走らせた盗賊が、腰元の短剣を両手に構えて襲いかかってくる。


とっさにロードを庇ったラジエルがその前に立ちはだかるものの、盗賊の刃はラジエル達に届く前に地面から突然燃え上がった大きな炎が彼の全身を一気に包み込む。



「な、なんだコレ!?あちぃっ!あちぃーーーーっ!!」


「火の魔法?」


「まさか、これは・・・・・」


「君達、こんなところで何をしている?」



「「 !!?? 」」



ロードとラジエルが同時に振り返った先にいたのは、メガネの中に冷たい眼差しが覗く、スラッとした長身のクールビューティー。



「ウリエル先輩!」


「お前達、ここは立ち入り禁止区域だがそれを知っての行動か?」


「す、すいません!俺たちうっかり道に迷ってしまって!」


「・・・・・・・・1年生か。だが、お前達のおかげで盗賊を無事に捕まえることができた。それには礼を言おう。感謝する」


「は、はぁ」



さすがクールビューティー!表情がピクリとも変わりません。



「それよりも、問題はそこの罪人だ」


「え?」


「うがぁぁーーーーーーーッ!!あちぃぃーーーーッ!!!」


「!?」



かなり大きめの炎に包まれているものの、見ている限り盗賊の男の体が燃えている様子は見られない。


小さなやけどすらも皆無だ。



「炎とはいえ熱さや痛みはあるものの、実際に焼くような炎ではない。今お前が苦しんでいるのは、炎は熱い、炎で燃えた身体は痛いと認識しているお前自身のせい。お前が盗んだ宝はこの学園にある貴重な品の中でも特別な、現時点で世界でただ1つしかない絶滅危惧種の卵。その卵を盗んで売ろうとは、その罪は万死に値する。罪をおかした罪人は、その罪に見合った罰を受けるがいいっ!!」



普段からあまり積極的に話すことはなく、どちらかと言えば物静かで必要なこと以外は無言なことが多いと噂で聞いていたウリエルが、声を荒げて盗人に向けて持っていた杖を振りかざす。



「あ、あれはっ!!」


「グギャァァァーーーーーーーーッ!!!」


「!!??」



すると、どこからともなく現れた巨大な赤いドラゴンがその大きな口を開け放ち盗人に向かって襲いかかる。



「た、た、た、助けてくれーーーーーー!!」



大の男が涙と鼻水を大量に流しながら、赤いドラゴンにその全身を燃やしている炎ごと頭から食べられた。



「わぁぁっ!!!」


「く、食われたっ!!!」


「・・・・・・・心配ない」


「し、心配ないって、今まさに食われたんですよっ!!」



全身を丸呑みされた盗人の姿が目の前から消え、あまりの衝撃に震えるロードとラジエルを横目にしながら、ウリエルはいたって涼しげに佇む。



「あれは全部、幻影だ」


「へ?」






ドサッ!!!!






何かが落ちたような音とともに、目の前にいたはずの赤いドラゴンの姿が一瞬で消え、代わりにあまりのショックで目を見開き恐怖の顔で固まった盗人が地面に現れ、全身をピクピクさせていた。



「い、生きてる?」


「当然だ。死んでしまっては、罪に対する罰を受けられないからな」


「は、はぁ」


「お前達も罰を受けたくなければ、早々にこの場をさ・・・・・・お前、まさかその頭の上にのっているのは!」


「はい?」







ピシピシピシッ!!







「う、生まれるっ!!」


「そんなバカな!羽化するにはまだ数百年は早い!!」


「!!??」



俺からは何が起こってるのか全く見えないが、何か頭の上が光っているのは分かる。



何?いったい何が俺の頭上で生まれるんだ?


ま、まさか、このシチュエーションはあの有名な『霊◯獣』ですか!?


うっかり、ロードよりも『わたし』が前面に出てきてしまう。






ピシピシピシっ!!!!






「ピイィィィーーーーーーーー!!!」


「う、生まれたっ!!!」




え?どんなの!?


確かあれって主人公の生命エネルギーを使ってって『わたし』・・・・・じゃなくて俺何も注いでないじゃん!


まさか、神獣!?




「ピヨピヨピヨ☆」


「ん?」



頭上から移動し、頭の前の方に移動して下を覗き込んだ生まれたてのヒナとロードの目があう。





その姿はーーーーーーーひよこ?



色が白っぽい、いやこれは銀かな?




「ピッ!ピッ!」


「!?」




毛並みがふわっふわっで柔らかそうなシルバーひよこは、ロードが恐る恐るそっとさし伸ばした両の手の中に喜んで飛び込むと、その手の中でスリスリとその身体を擦り付けている。




「「「 か、可愛い〜〜〜〜!!! 」」」



思わず顔がニンマリと満面笑顔でほぐれてしまう。


そして、柔らか〜〜〜〜〜〜〜い!!!


何だこの味わったことのない感触はっ!!




「・・・・・・・ん?」




そういえば今、何か声が多かったような?



「こ、コホンッ!!生まれてしまったものは仕方がない。そのヒナは、我々生徒会が責任を持って保護する」


「は、はい。お願いします!」



シルバーひよこを両手に包んだまま、少し大きめな手の平のウリエルの手の中へとひよこを移す。



「!!??」



その時に見せた、ほんの一瞬の変化を俺は絶対に見逃さなかった。


ウリエル先輩の、あの先ほど盗人にはどこまでも絶対零度の冷たすぎる眼差しで始終表情を決して崩すことがない、クールビューティーの口元と目元がほんの少し緩んだ。



「ピッ!ピッ?ピイィィィ!」


「悪いが、少しだけがまんしてくれ」


「!?」



シルバーひよこは、自らがいる場所がロードの手の中でないと気づいたのかバタバタと動き出すものの、すぐさまウリエルが魔法で作り出したジャポン玉のような丸い空間に保護されそのまま空間ごと消える。



「き、消えた?」


「心配ない。生徒会室の中にある、特別魔法生物保護空間へと送り届けただけだ。君達もすぐに自分のクラスへと戻れ」


「は、はい。あの、ウリエル先輩は?」


「俺は、あの盗人をしかるべき場所へと送り届ける」


「お、お気をつけて」


「・・・・・・問題ない」



あの一瞬だけ垣間見えた、ウリエル先輩の『あの顔』はもう微塵もない。



「ロード!俺たちもすぐに戻ろう!きっとすぐに学園警備隊がここへ来る!」


「そうだな!急ごう!」



まさかの、あのウリエル先輩と急接近!


ちょっとどころでなく近寄りがたい雰囲気だから、あの自他共に認めるミスターパーフェクトなミカエル生徒会長と同様に後回しにしようと考えていたのだが、さすがは後々のBL学園。


こちらの予想以上なことが、簡単に起こってしまう。






ロードとラジエルは大人しく自室へ戻り、あのシルバーひよこが何の幼獣・ヒナなのかラジエルが持つそれは分厚い『世界の神獣・妖獣図鑑』を血まなこで探してみたが該当するものは見当たらなかった。



盗人がわざわざ、この魔法セキュリティがものすごい『アンジェロス』に忍び込んでまで盗もうとするならば、それはかなりの貴重種の卵だとラジエルと踏んでるのだが違うのだろうか?



それとも、この図鑑にも載ってないほどの特別なーーーーーーーー。



「いや、あの子がひよこだろうと何かの幼獣だろうと俺にはもう関係ないか」



生徒会室に保護されたのなら、一般生徒はまず足を踏み入れることはできない。




「でも、あのふわっふわっ!本当に気持ちよかったな〜〜」



ロードは今、ちょうど寮内にある大浴場から自室へと戻っている廊下を歩いているところだ。


一緒にお風呂に入ったラジエルは、カラスの行水で先に上がり先ほどの図鑑とにらめっこしているだろう。


風呂から上がるときも、それはもう生き生きした笑顔だった。


ちなみにチャミエルは、例の縄がある為お風呂は自室のシャワーを使い大浴場にその姿を現わすことは滅多にない。


ごくごくたまーーーーに入っていると、そのシルエットから女生徒だと勘違いした男子生徒が混乱して風呂場ですっ転ぶこと数名。


そのキメの細かい上気した陶器のように白い肌と、あるべきものはあるものの湯につかってしまえば見た目は女子と変わらない、むしろ髪を束ねてアップにしたそのうなじなどはそこらの女子より色気があり鼻血をふいて保健室へ運ばれた生徒は十数名にものぼる。




「それに・・・・・・ウリエル先輩、か」




ウリエル=ジーニース


本日偶然遭遇した、生徒会の会計を務め1年の時から成績ではミカエルとともに常に学年のツートップ。

その知識は教師など足元にも及ばず、歴史的魔法書が数多く存在し管理している古代図書館の何百何千という本を読破したとかしないとか。


その頭脳だけならば、ミカエル生徒会長を抜くのではないか?との噂もある誰もが認める秀才だ。


罪を犯した者は生徒だろうと厳しい罰を与える為、結構他の生徒からは怖がられたり敬遠されることが多く、そのクールビューティーな表情はどんな事態においても崩れることはほとんどないらしい。


そう、ほとんど。



「う〜〜ん、あれは俺の見間違いじゃないよなぁ」


「・・・・・・・・ィ!」


「ん?何だ、今の?」


「ピイッ☆」


「うわぁっ!!!」



突然、ロードの眼前に銀色のまん丸?の何かが現れて顔に勢いよく激突してくる。



「な、なに・・・・・って、シルバーひよこっ!!」


「ピイィィィ!!」



パタパタとその小さな羽根を動かしながら、シルバーひよこが目の前で空を飛んでいた。


あれ?ひよこって空飛べたっけ?


シルバーひよこは空を飛びながら、ロードの頬にしきりにその小さな体をすり寄せてくる。



「ハハッ!くすぐったい!どうしたんだ、お前?もしかして、逃げ出してきたのか?」


「ピイィィィ!!」



そのふわっふわっの頭や背中をさすってやると、嬉しそうにシルバーひよこが声をあげる。


「また会えたのは嬉しいけど、お前大丈夫なのか?もしまた変なやつに捕まったら、今度こそ大変なことになるんだぞ?」



きっと、今頃生徒会室ではシルバーひよこがいなくなったと大騒ぎだろう。


警備隊も出動して探してるかもしれない。


そんな時に、シルバーひよこを自分が側に置いているとなれば。



「・・・・・・・あ、あれ?これ、俺がピンチじゃね?」


「ピイ?」



あの鉄壁なセキュリティーを誇る生徒会室からいなくなった超貴重種の幼獣?かもしれないひよこを、入室したことも扉を見たこともない部屋から盗んだと濡れ衣を着せられて罪だと罰せられるのは、間違いなく今シルバーひよこを手の中で持つ自分だ。



「ど、ど、ど、ど、ど、どうしようっっ!!!」


「ピイッ!ピイッ!」



しだいにガタガタ震え始め、シルバーひよこを両手でそっと抱えたまま全身が前後左右にあたふた騒ぎ出す。



「ら、ラジエル!!そうだ!まずはラジエルに相談して!」


「・・・・・・・・心配ない」


「心配ないわけないだろうっ!!あのどんな罪だろうと厳しいウリエル先輩に知れたらっ!!」


「だから、最初から全部知っている」


「へっ!?」



落ち着け、との短い言葉とともにロードの両肩にトンと温もりが置かれる。



「お前に罪はない。罪のない者を、俺は決して罰することはしない」


「う、ウリエル先輩?」


「ピイィィィ!」



目の前に立つクールビューティーの、あまりにもまっすぐな眼差しがロードへと向けられていた。



「!?」


「・・・・・・・・・」



あの神聖なるエルフをまだロードは見たことがないが、道子の知識にあるエルフ族の映像を思い出すと、きっと目の前に現れたらこんな感じなんじゃないかとロードはふと感じていた。


窓から入る月の光がウリエルの艶のない金髪と瞳に反射されて、神秘的でとても美しい生き物に見える。



「今回、この伝説の鳥と言われているヘレスベルグの幼獣は、自らの魔力を使って生徒会室から逃げ出してお前の所へ飛んだのだ」


「ヘレスベルグ?聞いたことないです」


「およそ100年に一度しか卵を産まず、非常に高い魔力を持ちその羽根はたとえ1枚でも魔導師50人は軽く超えるほどだと言う。神をその背に乗せる鳥と言い伝えられている」


「神をその背に、ですか。すごい鳥なんだね〜君は」


「ピイィィィ!」


「・・・・・・い」


「ん?」



ちなみに、今ずっとウリエル先輩の両手は俺の両肩に乗せられたままだ。


正直言って、あまりにも目線がまっすぐでいたたまれない。


そろそろ離してもらいたいが、けっこうがっちりつかまれてる感じでさらりとは動けなさそうだ。



「あの、どうしてヘレスベレル?の赤ちゃんは」


「ヘレスベレグだ」


「す、すいません!ヘレスベレグの赤ちゃんは俺のところに?」


「・・・・・・・刷り込みだ」


「!!??」



ってことは、この伝説の赤ちゃんのお母さんが俺っ!?


伝説の勇者を旅立つまで育てあげ送り出す、あの実は血の繋がらないことも多い育ての母親的な!


いや、俺今は男だけど。



「すまない。これから先も、もしかしたら君に会いに来てしまうかもしれない」


「分かりました!その時は、すぐにウリエル先輩に教えます」



冤罪で盗人扱いされたらたまったもんじゃないし、ラジエル辺りに見つかったら今度こそ本物の盗人になりかねない。


それだけは何としても防がなければ!



「ピイ!」


「ごめんな、もうお家に帰る時間だってさ」


「・・・・・・・・」


「はい、先輩にお返ししますね」


「・・・・・・あぁ」


「ピイィィィ!」



ヘレスベレグの赤ちゃんが、ロードの手のひらからウリエル先輩の大きな手のひらの中におさまる。



「可愛いですよね」


「あぁ、可愛い・・・・・・ッ!?」


「ピイ?」



やっぱり!!


俺の勘は間違ってなんかなかった!


ウリエル先輩はクールビューティーの鉄仮面の裏で、実はこういう可愛い生き物やグッズが大・大・大好きな、実は内面可愛い男子だっ!!



気づいてみれば、確かにシルバーひよこに向ける目線や口元などの表情が全体的に柔らかい。


心なしか、ほおがうっすら赤いような気もするし。



うんうん!


よくある!よくある!


ってことは、ウリエル先輩は受けかなぁ?


それならBLカップルの相手は生徒会長とか、あとあのラファエル先輩も候補としてありかもしれない。


カリスマ的会長の補佐をしつつ、実はずっと慕ってました的な?


決して崩れない鉄壁な城塞のごときクールビューティーが、好きな相手にだけは崩され陥落させられるーーーーーーーいい!!



「こ、コホンッ!協力、感謝する」


「あ、いえ」


「それと、1つ君にお願いしたいことがあるんだが」


「え?俺にですか?」



何だろう?


あのエリート生徒会のウリエル先輩が、庶民中の庶民な俺にお願い事?




「君の、耳たぶに触れさせてくれないか?」


「はい、俺にできることなら・・・・・・・って、はい?」



今、何て言いました?



気づけば、ウリエル先輩の手の中にいたはずのヘレスベレグの赤ちゃんは、またあの丸いシャボン玉のバリアに包まれて生徒会室へと送り返されている。


乗せるものがなくなった両手は、ゆっくりとロードの耳へと近づいていた。



「う、ウリエル先輩っ!?」


「協力、感謝する」


「いや、まだ俺了承してな・・・・・・・ッ!!??」




さわさわ、さわさわ、さわさわ、さわさわ、さわさわ、さわさわ、さわさわ、さわさわ。




「ーーーーーーーーーんんっ!!??」









な、な、な、な、なんじゃこりゃぁぁぁーーーーーーーッ!!!!!











とりあえず、腰が砕けました。


頼むからこれで察して下さい。


はい、トイレにはすぐに行きましたとも。


仕方がないじゃないか、生理現象ですから。






うん、ウリエル先輩は耳フェチのすごいスーパーテクニシャンだ。



本当に耳だけしか触られてないのに、全身が愛撫されてるかのような錯覚におちいってしまった。


まさかこんな隠し玉を持っていたとはっ!


これならどんな受けだろうとそのテクニシャンな手業で簡単に陥落させてしまう、クールビューティーな王道攻めもいけてしまう。




「ロード!ずいぶん遅かったな!大浴場あれから混んだのか?」


「い、いやっ!別にっ!!」


「???」



やばい。

俺は、耳がけっこう敏感な方なのかもしれない。


トイレから帰ってきた後もしばらく顔の火照りが収まらず、とりあえず今凶器になりかねないイケボイスを間近で聞くわけにはいかないと、ラジエルとは一定以上の距離を不自然なまでに取りながらその夜は過ごした。


朝になったら普段通りに戻ったけど、ウリエル先輩の耳フェチ攻撃にはこれからもっとよく気をつけなければ。


なぜって、もしまたヘレスベレグの赤ちゃんことその名を『ヘレス』と命名されたひよこちゃんが飛んでぶーりんしてきたら、セットでウリエル先輩が強制的にくっついてきてしまうからだ。




神様、お間違えなきように。



俺は自分がBLしたいのではなくて、BLを側で見守り隊の腐男子なんです!!












その頃、生徒会室にてーーーーーーー。




「ウリエル、珍しいな。お前が機嫌いいなんて久しぶりだぞ?何かいいことでもあったのか?」


「あぁ・・・・・これまでにない、上物を見つけてな」


「なるほど。だが、ほどほどにすることだな。お前は顔に似合わず、昔から一度気にいるとまっすぐに構い倒す性分だからな」


「生徒会長様からのご忠告、感謝する」



普段通りの鉄仮面と呼ばれる表情のまま、ウリエルは大量の書類を抱えて生徒会室を静かに出て行く。


そんなウリエルの後ろ姿を見送りながら、ミカエルは少しだけ柔らかい笑みを浮かべた後、すぐに気持ちを切り替えて残りの書類へと手を伸ばしていった。


本当は別フェチも考えたんですが、書いてみると耳フェチで良かったかな〜と。


次回は誰にしようかな?

早くキャラ紹介終わらないと、それだけで終わってしまいそうなんで頑張ります!

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