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第五話 召喚の間

最新話!

是非読んで下さいね

 



 偶然、見付けた。

 白猫の主はきっと彼女が生きているなどとは思っていないだろう。

 けれど、白猫の記憶の中で彼女はよく構ってくれていたらしい。

 見覚えのある彼女の手に腕を伸ばす。




 ただ彼女に一度だけ触れ、召喚用の魔法陣の書き換えを行う為に魔力干渉すれば良い。

 そうすれば、ほら――――――――――






 彼女を中心として広がる魔法陣が赤色から白猫(ヴェーク)の持つ魔力の色、白色に変化した。

 魔法陣の支配権は白猫に移されたのだ。


「どうなっている!

 何故魔法陣の色が変わっている!

 お前達はちゃんと調べたのか!

 先程までは正常に輝いていた筈だろう!」


 泡を食った様に早口で捲し立て、癇癪を起こした様な怒号が響く。

 そこは、立ち入りが制限される薄暗い地下にある召喚の間での事だった。



 勇者召喚を指揮する者は自らの失敗に顔を青ざめさせ、召喚の為に魔力を使い果した魔法使いの一部は死んだ。

 国に仕える魔導師も魔力の殆どを失い、二度と魔導師に戻れなくなった者や、気絶する者も居た。

 そして、勇者召喚を部下に丸投げしていたフォレスト王国第一王子は状況を知った途端、泣いていた。

 失敗した悔しさと、この後の事を考えて。

 その様を白猫(ヴェーク)は彼女の隣で、ただ見つめていた。





 後はこの魔法陣を僕の魔力で改竄して…………

 これでやっと晃君を迎えに行ける。

 今、魔法陣を構成していたこれから死んでゆくと決まっている彼等もきっと今なら生かせる。









「片付けておけ!」


 王子の命令によって動く者達。

 後片付けは面倒臭くはあるが、文面だけならば簡単だ。


 ・魔力を残して生き残った者には裏切った場合は死が与えられる誓約書で口封じをする。


 ・王族の血族と、魔力を失い使い物にならなくなった魔法使いや魔道士達を殺して片す。


 ・報告には勿論、魔力の欠乏で死んだと記録を残す。




 この三つだ。

 これらは書類上、口封じをした魔法使いや魔道士以外は()()()事にされる。


 つまり、現在死んでいると言われていた王族の血族や魔法使い達は息も絶え絶えではあるし、弱くもあるが心臓は動いている。

 王子はそんな彼等をそのままに、召喚の間を出ていく。




 数分後王子に命令されたのか、監視と指揮の様な役割を負って一人の騎士がやって来て召喚の間の惨状を見てため息を零す。

 これは何をしても恨まれそうだな、と思いながら。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()と魔法使いや魔導師達の死屍累々とも言える様は流石に見るに堪えない。

 気を取り直して取り残された魔法使いと魔導師に兵士と共に誓約書を渡し、名前を書かせていく。

 終えてから、魔法使いと魔道士を召喚の間から追い出していく。


 さて、次の作業にと振り向く。

 視界の端に白い物が写った。


「こんな所に何故……」


 銀髪の青年が居た。

 召喚陣の真ん中で倒れる王族の血を持ちながら、王女とは名ばかりの扱いを受け続けた訳ありの少女の頭を優しく撫でながら膝に乗せて……いわゆる、膝枕をしている青年を見付けて、騎士が困惑したのは言うまでも無い。


 厳重に立ち入りが制限されている地下に限って、銀髪と言うのは目立つ。

 それなのに、急に現れた乱入者は異様に見えた。

 どうやって入ったのか。

 迷子や、単なるイタズラには見えず、思惑が渦巻いてる様に見えて仕方が無かった。






『眠りを』


 水面に小さな波紋を起こす様な、そんな穏やかで静かな声だった。

 その一声で、騎士以外の全ての兵士が倒れた。

 騎士が倒れなかったのは幸運なのかもしれない。

 騎士と言う立場上、魔法攻撃に対する耐性か、それに近い魔道具を持つ事も必要になる為だ。

 魔法をかけた本人である青年は、意外そうに騎士を見つめ、苦笑した。


「王子だと言う方の命令で死亡予定の方々は僕が頂きますね

 記録ではきっと死んだと書いた方が良いでしょう

 では、失礼します」


 そう言って青年は王族の血を持つ少女を抱き上げる。

 地下だと言うのに輝き続ける魔法陣の周りを白く濃い魔力の霧が覆う。

 内側には死にかけていた筈の魔法使いや魔導師達がいつ間にか立っていた。

 魔法陣の外に居るのは必然的に騎士や眠らされていた兵士達になる。


「待て!」


 騎士には青年が一体誰で何者なのかとか、聞くべき事が沢山あった。



「ごめんなさい、貴方の為にも僕の存在は伏せて置いた方が良いかと思います」


 霧に紛れて騎士を気遣う様にそう言った青年の声に騎士は呆然とする。


 瞬きの間に魔法陣ごと、青年と血と名ばかりの王女、魔法使いや魔導師は消えていた。

 後には、徐々に薄まってく白い霧が先程起きた事が夢では無かったのだと教えてくれていた。



 結論から言うと事実上、騎士の仕事が一つ減ったのだ。

 騎士の仕事は、後は死亡記録を書き記すだけになっていた。






 辺境にある深い森で白い召喚用魔法陣が密かに展開される。

 ヴェークの膨大な魔力で支えられた魔法陣は一際強い輝きを放つと、一瞬だけヴェークが消えていた。

 そして瞬きの間にヴェークと共に一人の青年が召喚されていた。


 その日、その森には白い輝きが一部の村で確認された。




不定期過ぎてごめんなさい

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― 新着の感想 ―
[一言] ヴェークの思惑はどこにあるのか!わくわく。 唯ちゃんは「見つけてくれたから」の唯ちゃんと同じ子なのかな?
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