表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/5

第二話 異世界への転移

ちょくちょく内容増やします……

 



 空は雲が少なく、程良く青い。

 朝は肌寒いぐらいだったというのに、今は油断したら欠伸が出てしまうのでは無いかと思ってしまう程に暖かい。

 視界の端で桜が舞い散り、桜の木の下で待ち合わせる学生達。

 春が来たのだと嫌でも解る様な淡い木漏れ日(こもれび)

 入学式や教室で今日からクラスメイトになる人達への自己紹介も終え、きっと友達も何人か出来るだろうと欠伸を噛み殺して沢山の生徒が帰り、友人を作ろうと勤しむ中、俺も帰ろうと校門をくぐる。

 入学式の間、何故か俺が勇者になってるなんて言うファンタジーな設定の上で仲間を庇って死ぬなんて無駄にリアルで無駄に格好良い夢も見て疲れたし、さっさと帰――――


響八 晃(ひびや こう)君ですね」


 背後から声が聞こえたので振り返ると、そこには一度も会ったことの無い男が居た。

 さっき俺が入学式を終えたこの高校の三年を示す緑色のネクタイをした先輩の様だった。

 しかも随分と儚げな顔をしている。

 細身で、どこか周りの人間とは違う空気を纏った先輩が弱々しい笑みで俺を見つめている。

 本当に男かよ。

 それにさっきまで校門にこんな男は居なかったよな?


「以前の(こう)君の言付け(いいつけ)を守って、僕が直接迎えに来ましたよ」


「……は?何を言って――――


 儚げに微笑んで言った男の表情が少しだけ清々しかったのは気のせいだろうか。






 ――――――――――





 足元に瞬間的に浮かび上がった赤い魔法陣の様な物が一瞬で白色に代わり、強い光に思わず強く目を瞑る。

 私の見る世界は一瞬で、文字通り変わっていた。

 瞬きの間に世界が変わった。

 空には日本だとあまり見ない様な色をした鳥が遠くで羽ばたき、町の建物は二階建てや三階建ての建物はあるものの、ビルの様な物も無く、基本的に低い。

 道には人が行き交い、屋台やお店ものんびりとした雰囲気の田舎の様。


 ここは、町?

 ちょっと待って、私今ちゃんと日本に居たわよね。

 これが最近よく聞く『異世界転移』って言われてる物なのかしら。

 それにしても王族に呼び出されてたり魔導師に呼び出されて城に転移するならともかく、まさかこんな所に転移するだなんて……


「相変わらずこう言った方面に理解があるのは有難いのですが、転移ミスではありませんよ――――――


 唯さん


 私の名前を呼ぶ低く柔らかなその声は先程聞いたばかりの声、私をここに導いた本人の物だった。

 さっきは目の前に居たその声の持ち主は今は隣に居るみたい。


「あはは、疑問が声に出てますよ」


 そう苦笑して言う彼は最初から私の事を知っている様だった。






「では改まして、僕は此方ではヴェークと呼ばれています。

 ここはフォレスト王国の辺境の町、ようこそ異世界へ」


 そう名乗った青年は、どう見ても日本人じゃなかった。

 まず、日本に居た時は瞳も髪も日本人特有の艷やかな黒さを持ってたと言うのに、白銀とすら言えてしまう髪色は神秘的とすら思えてしまう程に輝いて見えてしまった。

 髪の長さだって、さっきまで肩までだったと言うのに背中に届いてる髪の長さだし。

 瞳の色なんか時々金色に見えてしまう様な、琥珀色で気を抜いたら吸い込まれてしまいそう。

 更に着ている服も高校の制服から、ゲームや異世界なんかに出てくる貴族の様な服を着ていた。

 とにかく、日本に居たさっきとは雰囲気や声だけは変わらず儚げで柔らかいというのに、色合いも外見も違い過ぎたのだ。


「見た目が違い過ぎて一瞬誰かと……」


「何を言うのですか、見た目は少し違っても声は一緒ですよ

 それに、貴女(唯さん)や晃君をここに連れてきたのは僕だと言うのに……」


「ごめんなさい、衝撃が強すぎて忘れそうになったわ

 それより晃はどこにいるの?」


「…………

 晃君なら、ちゃんと唯さんの近くに居るじゃないですか

 ほら、あそこで呆然としてる方ですよ

 それにしても、目立ってますね」


 夜野柚樹、いやヴェークと名乗った青年が指した先に居たのは、情報量が多すぎて現状を理解しきれていないのか、町の真ん中で呆然としている晃の姿だった。

 私からすれば、隣に居るヴェークこそ目立って然るべき存在だと思っていたのだけど。





 周りの人達が、呆然としている晃を遠巻きに見ている。

 制服と言う格好が既に怪しく、黒髪黒目は早々居ないという事も理由としてあげられているのだろう。

 そして、私の隣に居る転移前は夜野柚樹と名乗った上に、明らかにこっち(異世界)の住民な男の言葉を信じるならば、晃は入学式の日に唐突に連れて来られた事になる。


 一応声をかけてから転移したのだと聞いたが、晃の様子を見る限りでは……軽く誘拐よね、これ。

 ちなみに私は日本の時間軸では晃が転移されてから、一週間後にヴェークに声をかけられた。

 一週間も遅れた理由は、晃とは違う存在だからなんだとか。


 晃と私の違いって何よ。

 そんな事を思ってると、隣で彼が「参ったなぁ……」と苦笑しながらやんわりと私に言う。


「怪しすぎて周りの人も声をかけずらいと言った所でしょうか

 ほら唯さん、出番ですよ

 あの状態の晃君を助けて差し上げないと」


「いや、そう言われても流石にアレは私も声をかけるのを戸惑うと言うか」


「あれ?

 でも僕の知る限りでは、唯さんは晃君を向こう(日本)で一週間も探し続けていた様な覚えがあるのですが……」


「それとこれとは別、と言いたいぐらいね

 それにしてもいつから見てたのかしら

 その発言、半分ストーカーよ」


 何で知ってんのよ。

 そう言えば、私をここに連れて来る時も突然私の目の前に現れてた様な。


「……っと、それは失礼しました

 ですが、僕もいつまでも唯さんと一緒に居られる訳では無いので、そろそろ本当に晃君に声をかけた方が良いでしょうね」


「え?どういう……


「勿論、僕はこれでも忙しい身ですから、まずは晃君と合流して協力して下さいって事です

 それに、僕が説明するより自分達で情報を集めて、自分達で頑張った方が馴染みますし、やりがいがあると思いますよ

 あ、先ずは冒険者ギルドに登録をしに行く事を進めます

 では、またお会いしましょう」


 申し訳無さそうな顔でそう言ったヴェークは私の前からあっと言う間に離れ、最後にあの儚げな笑顔で私に手を軽く振ってどこかへ消えた。


 え?

 ……消えた?


 私まだ何も説明されてないんですけど。

 冒険者ギルドへ行けって言って言われても場所も知らないし。

 …………考えても仕方ないわよね、とりあえず晃に声をかけなきゃ。




夜野柚樹の異世界での名前が決定!!

『ヴェーク』

意味は、『時代』。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ