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農民だけど傭兵始めます

 俺は退屈だった。

決して能力の無い男ではなかったが農民として生きることにやる気を無くしていた。

日々適当に働く。

そんな時にアダー帝国の戦乱の話を聞く。

帝国領土は今攻められて崩壊しつつあるらしい。

仲間の助けも部下の統率も良くなくそれが原因。

それだけならまた厄介なことが起こったというお決まりのニュース。

しかし同時に各地で帝国の為になる働きをした傭兵は賞金をもらえるという記載。

これだ。

傭兵家業、命の奪い合いではあるが、うまくやれば儲かるし、退屈な人生じゃなくなる。


 どうせ男なら夢は大きくいかないとな。

傭兵団として活躍すれば、俺は有名になる。

それだけじゃない、戦乱も解決できるかもしれない。

「傭兵になりたいのか? 」

知り合いの衛兵ホッドに聞いた。

「ああそうなんだよ」

俺は言った。


 「農民として働けばそうそう、死ぬこともないのにな」

ホッドは呆れていた。

「そうでもないぜ、乱世が訪れるってことだよ」

俺は言った。

アダー帝国を前に帝国は統率を失ってソードドッグが援軍を出してる。

この状況は緊急事態以外の何物でもない。

そうなれば傭兵の需要も増えるし帝国も金を出すって話だ。


 「とりあえず、兵士っていうのはどうやって集めればいい」

兵士を集めないと話にならない。

「街で探せよ、いなかったら次の街、地道にやるんだな、酒場とか覘いたらいいかもな」

ホッドはそう言った。


 とりあえず街の酒場によって見る。

「おい! 誰か俺と傭兵団組まないか」

酒場でざわめきが生じる。

「平民の出だろ、誰かの後ろ盾もないし、戦えそうもない、お前に付いてくぐらいなら一人で活動するよ」

フリーの傭兵たちは言った。


 面白くない。

これじゃ全く面白くない。

でもできるって思わないとやれねぇな。


 その後も違う街を巡るもなかなかうまくいかない。

帰り道に傭兵がいないか探していた時だ。

最高の人材を見つけた。

ウィンターウルフ人の戦士ぽかった。

「おい、君俺と傭兵団組まないか、もう隊長でも副隊長でもいいから! 」

隊長だとだめなんだが、つい言葉に出る。

とにかく人が居ないと話にならねぇ。

「俺か、俺は記憶がないが、どうしようか」

その男は名前も覚えていなかった。

「ウィンターウルフ人だろ、戦士みたいだが帝国を守る戦闘とかはないのか? 」

俺は聞いた。

「知らない、よくわからんが行く当てが……」

屈強なウィンターウルフ人で見た目は20歳くらい俺と同じような感じ。

大男だし手に入れば部隊が強くなる、それにこいつの見た目を見れば仲間になってくれるかも。

今までないがしろにしてきた傭兵が口にした、兵士としての強さ、指揮官としての名声、金、その1つが手に入る。


 「傭兵隊やろうぜ、戦乱が来る、その時になればこういう仕事も必要になる」

俺は言った。

「ったくしょうがねぇな、記憶が戻ったらわかんないぞ」

ウィンターウルフの戦士を仲間にしたのであった。

だがそいつを呼ぶときにちょっと困る。

副隊長として参加という条件もあり、雑兵みたいに扱うのはよくない。

「じゃあ、お前はブランクだ」

俺は言った。


 「ブランク、まぁいいんじゃないか」

こうしてウィンターウルフのブランクが仲間になった。

今日の一日中の成果があった。

早朝の情報を聞いてからもう夕方だ。

早かった。


 家に帰ると家族は切れていた。

「戦乱になるかもしれないのに、何傭兵なんて目指してんだ」

と親父。

相変わらず怖い。

「そうだ、母さんあんたの人生心配だとは思ったけど、とんだ親不孝者だよ」

俺の夢なんだが、命が懸かってるからしょうがない。

「わかったけど、今は稼げる時期だ、しかもウィンターウルフの副隊長を手に入れた」

副隊長とウィンターウルフの相乗効果。

これはすさまじいものだった。

「じゃあ、俺に勝ってみろ」

親父はほうきを持った。

多分負ける、それくらい俺は弱い。

「俺はやだよ、そうだ、この副隊長がやりたいってさ」

ブランクはやれやれといった感じでほうきを取った。

「折れるぞ」

そういってほうきを持った。

チャンバラごっこは長く続くかと思ったが、ブランクは親父の放棄でのガードをそのまま崩した。

ガードに使ったほうきが折れる。


 「おっおっ、これならまぁ任せてもいいかな」

親父は言った。

「本気かい」

おふくろの方は手ごわいな。

「俺は実は昔傭兵だったんでな、まぁすぐに母さんとあってやめたが」

親父がそんなだったとは、言ってくれればいいのに。

そういうわけで、名残り惜しさもなく家を出てきた。


 乱世の世だが、奇妙な出会いもあったし、傭兵団を作れそうだ。


「なぁ、ハウンズ」

ブランクは言った。

「なんだ、俺らの目的地は大きな都市なんだ、知ってるだろ、このソードドッグ領の南地区最大の大都市カッパーシティ」

名前の通り大きな都市の中では一番低いランク。

ソードドッグでは金属の名前を街に付ける。

首都だけはストーンシティ。

城壁に囲まれた難攻不落の城の近くの城下町。

城下町ですらも石壁に囲まれている。

最終的にはそこで傭兵活動をしたい。


 「なんとなーくそんなものがあるような、記憶喪失なめるんじゃない」

ブランクは言った。

「それでだ、兵士がいないんだが」

ブランクは言った。

「何言ってるんだ」

俺は笑った。

こいつがいる。


 だがブランクもなぜか俺のことを兵士扱いしてるようだった。

「お前の得意な武器は? 俺はなんとなくだが斧がしっくりくる」

ブランクは言った。

「記憶喪失なのにそんなのは覚えてるのか」

「いや、記憶喪失になったウィンターウルフさまよってた時に狩りをしたり賊を狩ったりしてここまできた」

ブランクは一体何者なんだ。

まぁいい。

それよりカッパー・シティが見えてきたぞ。


 「もう朝だな、今から宿屋入ると狂いそうだ」

ブランクは言った。

「まぁいいんじゃないか疲れたし」

こうして俺はなけなしの家から持ち出した財産で大都市の宿屋に泊まった。

割高だったが我慢する。

これからは兵士にお金を払わないといけないからな。



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