プロローグ
戦記ものに近いですが、スポットは戦争ではなく傭兵団です。
戦乱の世の中で見出した生き方で危険な世界を知恵と人情で乗り越えていく
そんな傭兵団の物語。
魔法やモンスターは登場せず、中世の面白い部分などをミックスした現実的な世界観になってます。
やってやると思って書いてます!
よろしくお願いします!
異世界ガイア、地球とは違った世界だけど大体同じ。
魔法なんて無いし、不思議なものも無い。
あるのは、剣と盾、弓と槍 人と馬、名声と金。
戦乱の世は続く……。
古よりロード大陸を納める、ロード帝国、大陸の名前にもなったその国は、外部からの侵攻によって崩壊する。
アダー大陸、違う大陸、文化は入ってくるものの未開の地。
そこから兵士がやって来た。
アダー帝国、ロード帝国の優れた全てを持ってすれば善戦できた相手。
だが、善戦であり、全ての兵種において優れているため、それでも五分五分といった戦いになる。
ロード帝国は負けず劣らずのはず……だった。
だけどまさかまさかの連続が戦だった。
ロード帝国は北をウィンターウルフ家が納めている。
一年中冬で寒く苦しい地方だがたくましく生きている。
そこの兵士は、歩兵としての練度に長けていた。
装備は素材は普通でも熟練の職人の技術によって、同じ素材の他国の品を遥かに超えている出来だ。
それにウィンターウルフの結束力は恐ろしい。
弓兵が来ようが、騎兵が来ようが、火攻めだろうが、彼らの意思は固く敵を倒す。
ロード帝国 6代目 地上を納めるもの グランド・ロードは、かなり頼りにしていた。
そして今の7代目も期待に応えてウィンターウルフの兵士が進軍する、そう思っていた。
だが、援軍は来ない。
なぜならば、ウィンターウルフは謎の暗殺により族長ウィンド・ウィンターウルフが居なくなり
後継ぎ争いをしていた。
醜い後継ぎ争いであったが、ウィンターウルフの歩兵達は戦う、迷いを捨てて、内戦状態の国は二分化していく。
そんな中でも彼らは兵士を部隊の半数送った。
数は半分に減ったが王国の要人を防衛するには足りた。
戦乱の中でも忠義は少し残っていたのだ。
西のワイルドマン、部族たちがたくさんいる集合体。
弓兵に長けていて、装備は貧弱そのもの、だがとにかく弓兵一人一人が極地を駆け巡り、地形を利用して戦う、また近接戦になると精鋭ならば重装備の歩兵を技術で圧倒する。
ワイルドマンの戦争は所領安堵のためのものだ。
暖かい砂漠に面するその国は危機に陥っても逆転を繰り返す。
彼らはいたってシンプル。
ロード帝国の領土としての西のワイルドマンの領土を守るとして兵士は出さなかった。
彼らはウィンターウルフからも苦言をされた。
だが、結果的に彼らの国は戦乱で一番安定して動いていた。
結果的にだが、ロード帝国の要人もそこで住むことができ逆転の為の会議をしている。
東のソードドッグ、装備、技術共に優れるが決定打は歩兵戦弓兵戦ではない。
彼らの国は温厚だが、所領を犯されると相手の国を滅ぼす。
いたってシンプル、やり方は問わない。
帝国統一前の彼らは大昔に南のリバーウォーベアークラン達から被害を受けた。
だが、彼らは帝国にいち早く助けを求め現在帝国が兵士の練度抜きでは一番信用すべき国である。
だが、戦は泥仕合。
彼らの戦術は場合によって変わり、そのたびに争いも起きる。
だが義を重んじて何事もうまくいくことができた。
彼らの得意戦術、兵種は一般的に、騎兵だとされている。
彼らの騎兵は統率が取れていてどの馬も兄弟馬のように息を揃えて走る。
だが、リバーウォーベアーの時の戦いの場合リバーウォーベアーの槍兵と相性が悪すぎた。
すぐに第一戦目での負けで騎兵戦法を切り上げる。
その後彼らは籠城により勝利。
地形や戦術、騎兵を利用したオールラウンダーだ。
だが、それゆえに彼らは考えすぎる。
その為アダー帝国への作戦が決まりかねていた。
ソードドッグが出した答えはウィンターウルフの攻撃のタイミングに騎兵を合わせることだった。
会議に時間を使いすぎてしまい騎兵でしか間に合わなくなったのだ。
結果的にウィンターウルフ同様に、もしくはそれ以上に信用は上がった。
だが、この戦果では満足せず、彼らはアダー帝国を倒すこと考えている。
そして中央帝国、ロード帝国だ。
ロード帝国の兵士は各国から選りすぐり、装備も最高級だ。
だが、忠義が薄い。
その為援軍が来ないと知り、全てを同じ数でも若干上回るであろうアダー帝国の大軍を前に逃げ出した。
つまり現状ロード帝国が他の部族の助けが不十分だったことを怒る筋合いはない。
しかも、アダー帝国側に付いた後継ぎ候補がいて更に深刻化していた。
それに乗じてウィンターウルフの一部もアダー帝国に付いたのでウィンターウルフは何も言えないのだが。
こうして全員気まずさを抱えたまま会議に入る……。
「アダー帝国の数は、中央、南はどうなってる」
ウィンターウルフ族長 もちろん帝国側のだが、レイン・ウィンターウルフは言った。
戦争も経験し、寒い地域で育ったためたくましい。
年齢は38、この中では最年長である。
国王というより兵士的な性格が強く戦争も進んで参加している。
政治はちょっとめちゃくちゃだったが、兵士の士気は下がらなかった。
これもウィンターウルフたる所以だ。
「ウォールと、クラウン・ウィンターウルフだっけか、そいつが裏切って中央、南はだめだ」
ロード帝国 第7代 ガルム・ロードは言った。
典型的な貴族的な国王であった。
だが、荒波に揉まれてかたくましく、戦を駆け抜けてきた族長と対等な関係を築いている。
年齢は26程、まだ若いが、この世界では立派な大人だ。
「統一して長かったが終わりか」
スティール・ロードは呟いた。
彼はグランツ・ロードの子である、つまりガルムとは兄弟にあたる。
もちろんガルムが兄である。
この世界では長男が優遇される。
彼が22程見た目はかなり弱そうな青年だ。
だけど戦になると思わぬ馬鹿力を発揮する。
貴族の出なのに狂戦士と化すその戦いは密かな伝説だ。
裏切ったウォール・ロードは末っ子に当たった。
彼は自分が国王になるため兄弟を殺さんとしている。
スティール・ロードは戦に嫌気がさしていた。
だが、戦乱の最中悩む兄弟にそう言えばぶん殴られること間違いなしだ。
「まぁ、ワイルドの領土は安全だがな、お前らの住民全員が済むのは無理があるな」
この中で一番冷静でもあり、状況を軽く見ているような素振りなのはワイルド族長代表
名は単純ワイルド・キング
だがそれは他国からで自国ではワイルドはつかない。
ただのキングだ。
無機質だが無駄のない国家が現れている。
代々襲名性でキングの名を部族で受け継ぐ。
部族争いはない、ただし部族を決める大会という名の殺し合いを始める。
年齢は35程、国は違うがレイン・ウィンターウルフとはほぼ同期にあたる。
戦場で戦ったこともあるちょっとした間柄である。
家臣同士の戦いには義があればロードは関与しないので何かと2国は揉めていた。
だが戦争で解決することでさっぱりと毎回解決するのだ。
性格は冷静そのもの。
だが、どこか抜け目なく最終的に帝国への忠義はあるようだ。
「具体的な案を言えワイルド、うんざりだ、わかってるだろ」
ソードドッグ国王にて騎士団長スターダスト・ソードドッグ
この中で一番強いといっても過言ではない。
その年齢28歳。
若い帝国領の領主と年齢の高い族長の交渉を仲裁したりしている。
戦を知るからこそ、軍としての固まった戦略はなく不安定。
だがそれゆえに滅びない、その国を擬人化したような男だ。
あと、たまに国王達を国名で呼ぶ癖がある。
「キングと呼ぼうか、ワイルドなどいらぬのでな、わかりきったこと」
ワイルド・キングはそうお茶を濁したのかと思いきや、その場を立ち去ろうとする。
「お前らの兵士も避難してきてもいい、国に残してるんだろ、でもそうなると落とされるだろうな、城は……。」
帰り際にそう言った。
これは、兵士の移住許可が出たということだ。
「会議中だろ」
レイン・ウィンターウルフは思わず素が出る。
「ああいう奴なんだ」
ガルム・ロードは言った。
「うちの国の奴がまた殺気だってきてる、俺だって止められん、戦をしてアダー帝国を倒さなくては国民が誇りを失う」
スターダスト・ソードドッグは言った。
「小手先の手段でどうにかなる相手ではないぞ」
レイン・ウィンターウルフは言った。
「そうやって馬鹿にするが、帝国を全勢力で助けたのはうちだけだ」
スターダスト・ソードドッグは言った。
「この件について俺も言いにくいが、俺らは裏切者を出しちまった、軍略はソードドッグに任せたい」
ガルム・ロードは言った、明らかに責任を放棄してるような、義務を放棄しているような感じだった。
「俺はあきらめないぞ、ソードドッグだけに戦わせてなる者か」
レイン・ウインターウルフは声を震わせて言った。
武者震いか、アダー帝国との戦いを恐れているのか。
「まぁ待て、諦めるんじゃないだけど俺が生きてることに価値がある、いや俺じゃなくてもいい、ウォールを最後の後継ぎにしちゃだめだ」
ガルム・ロードは言った。
「じゃあどうすんのさ、結局隠れるのか? 」
ガルム・ロードは段々姿勢は崩れ酒をがぶ飲みし始めた。
「なんてものを持ち込んでるんだ、まぁいい、各国の傭兵に金は出す、帝国からな、俺の命令だ、治安を守ったり、帝国に協力したものに報酬を出す、傭兵が俺らの兵士ってことだ」
ガルム・ロードは言った。
「自軍の兵士を出さないだと」
スターダスト・ソードドッグが久しぶりに声を発する。
「誰の為の戦いか?」
スターダスト・ソードドッグは言った。
「忠義を守りたいのはわかるし、こっちにもその部下と戦う義務はある、だけどなその忠義を誓う対象がウォールになる可能性がある、俺とスティールが暗殺されてな、残った兄弟はあいつだけになる」
ガルム・ロードは言った。
「じゃあ兵士は防衛に? ワイルドマンが言っただろ安全ってな」
スターダスト・ソードドッグは言った。
「俺もそう思う」
レイン・ウィンターウルフは言った。
「そうやって信じてきたクラウンは今や裏切り、敵だ、俺のロードも同じ、戦は何が起こるかわからん」
ガルム・ロードは親衛隊長に話しかける。
「さっきから思ったんだが、人がいそうな気配がする、それも俺らを殺そうってな」
その時だった、親衛隊長がガルムを押し倒す、その瞬間親衛隊長は射抜かれる。
すぐに皆気づき準備をする。
「ちきしょう、兄弟殺して楽しいか? 」
ガルム・ロードは剣を抜く。
「やっぱ、そういうことか、ウォールの兄貴も楽じゃないな」
スティール・ロードは呟いた。
「さぁな、兵士は? 」
弓を持ったスターダスト・ソードドッグは言った。
「うちの精鋭親衛隊はいるから、死なないように戦いはなるべく避けつつ逃げるしか」
ガルム・ロードは言った。
「ええい、斧で切り伏せるわ」
レイン・ウィンターウルフは言った。
切り伏せるというより叩き潰すのほうが正しい。
会議室を裏口から逃げ城の隠れ通路を通っている時だった。
親衛隊が皆の前に立った。
「おお、親衛隊か、助かった」
しかしその親衛隊は剣を構えたままだ。
「おい、どけ、国王だぞ」
ガルム・ロードは言った。
その時だった、親衛隊の奴らを射抜く矢。
スターダスト・ソードドッグだった。
「何をやってる」
ガルム・ロードは言った。
「気づけ!」
親衛隊達はこちらに迫ってくる。
「ウォールの野郎親衛隊副長をけしかけたな!!」
ガルム・ロードは怒った。
「てめぇが裏口なんか使うから逃げれねぇじゃねぇか」
レイン・ウィンターウルフは叫んだ。
「うるせぇ!」
ガルム・ロードは叫んだ。
「落ち着け、殺すしかない」
スターダスト・ソードドッグは構えた。
「ウォールぶっ殺してやる」
スティール・ロードが柄にもなく叫んだ。
兵士との戦いは退けぬ戦い。
前方は裏切った親衛隊、後ろはアダー帝国の暗殺者。
「ちきしょうやってられっか」
温厚な青年であったスティール・ロードが剣を投げた。
敵の頭に刺さる。
「おいばか!」
ガルム・ロードは戦いながら言った。
「自分のことだけ考えろ」
スティールロードは、敵の兵士に向かって敵の死体の剣を振り回し投げたり、敵自体を投げたりしながら、親衛隊の混乱に乗じて逃げた。
「こっちが狙われてるからっておとりにしやがったな」
ガルム・ロードは言った。
「まぁでも賢い選択だ、俺らここで死んだらウォールの思惑通りだ」
スターダスト・ソードドッグは言った。
徐々に狭い通路での少ない数での戦闘も無理が出てきた。
数人の忠義のある親衛隊と各族長の側近と族長では兵力が足りなかった。
だが突如双方の入口から放たれる矢。
城の中と城の裏口の外からだ。
「ワイルド! お前もしかして助けを呼んでたのか? 」
レイン・ウィンターウルフは言った。
「持つべきものは糞みたいな冷酷軍人だな! 」
ガルム・ロードは言った。
「助けなどいらぬというのに、なんてな」
スターダスト・ソードドッグの汗が止まった。
結果的に各国の族長は生き残った。
だが戦乱の波は世界に広がっていた。
アダー帝国の襲撃により国としての機能を失った3国は蛮族の脅威にも苦しみ。
後に剣の戦争の時代と呼ばれるようになった。
この物語は、そんな戦乱に傭兵団を作った傭兵団長の話。
頑張って楽しめる作品と上位目指します!