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【11】
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「……何だ?」
カネダ達が遺跡に突入して、そろそろ半日になろうかという頃。
彼等が侵入した亀裂の崖上で待つドワーフ達は、その轟音に頭を上げた。
山が、揺れている。違う、火山全体が、激震している。
「ま、まさか、また噴火っ……!」
族長がそう言いかけた、瞬間だった。
火山から爆煙と共にそれは噴き上がり、周辺一帯に降り注ぐ。誰も彼もが恐怖と絶望に顔を覆った。もうどうしようもない、この辺りは溶岩の覆われるのだーーー……、と。
しかし、噴き出したそれは何かを燃やすことなく、それどころか、火山の焔さえも消してしまった。
何だ、何が降り注いでいる? ドワーフ達も、囚われの人々も、誰もがその降り注いだものに手を伸ばした。そして湯気立つそれを受け止めて、ようやく気付く。
――――温泉だこれ。
「……何で?」
ただ、呆気にとられてーーー……。
皆が言葉なく空を見上げ、降り注ぐそれを全身に受けるばかりだった。




