【2】
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「はい、買い取りは一万五千ルグだよ」
「むぅ、やはりこの程度か……」
さて、魔王と盗賊が死んだ辺りから少し時間は巻き戻り、視点も彼等からとある勇者へと移り変わる。
フォールは言っていた通り、闘技場近くで開かれるバザーで不要品を処理し、最低限の金策を行っていた。しかし本当にそれは最低限も良いところで、日々の消費量に比べれば毛先ほどのものであった。
これまでも旅路で採取した野草や素材を行商人に売ったり、個人的な依頼を受けて金策を行ったりはしてきたものの、流石に魔道駆輪の修理費という出費には遠く及ばない。フォールの頭には未だ金策の二文字が駆け巡る。
「店主……、もう少し何とかならないか? どうにもこの程度では……」
「兄ちゃん、そうは言うけどねぇ。この程度のブツじゃあコレが精一杯だよ。ウチだって商売なんだから……。このエプロンとかはシャツは出来が良いけどねぇ」
「それは俺の手作りだ」
「……兄ちゃんこれで喰ってった方が良いんじゃないか?」
「そういうワケにもな……。店主よ、実は今、色々あって金策に走っている身なのだが、何か良い方法はないか? 賞金稼ぎの類いでも構わない。兎に角金が欲しい」
「そりゃ今すぐ金が欲しいならギルドで依頼受けるか……、街にも幾つか賞金が稼げるトコはあるぞ。何せこのお祭り騒ぎだからな。しかし、まぁ、今すぐ金がドカッと欲しいなら、やっぱりアレだろう」
店主が無精髭の生えた顎で指し示したのは闘技場だった。
フォールもやはりそうなるか、と眉根を顰めて頷きを見せる。
「そろそろ予選が始まる時間だ。今から行けばまだ登録は間に合う。……ただ、優勝するには予選を勝ち抜いて本戦までの出場者枠である3人に入らなきゃならん。さらにシード枠として出場するアテナ騎士団長と戦うことになるかも知れない。万年優勝はあの人だからなぁ、優勝は難しいかもなぁ」
「ふむ、アテナ……、と言えばあの女騎士か。いや、良い。解った。そういう事ならば俺もあの武闘会に参加してみよう。あまり自信はないが何事も経験だ」
そう言うなり、彼は五千ルグを受け取って店主に礼と別れを言い、胸元に納めたスライムくん人形をぽんと軽く抑える。気晴らしには丁度良いだろう、と。そう言わんばかりに。
「死の予感がする……」
だが、そんな勇者の直ぐ近くで男は同じく胸を押さえていた。ただし抑えているのは怪しげな宗教道具であり、古今東西大小善悪酸いも甘いも備えた訳の分からない十字架の山だったりするのだけれど。
無理もあるまい。彼の嫌な予感というのはよく当たるし、そしてそれを回避できたことはない。事実、数時間後に彼はその嫌な予感、どころではない惨劇に直面することになるのだから。
「まァーたそれかァ、テメェは! 不運だ何だと喚くんじゃねェ。むしろ楽しみだろォ?」
「自分の不運を楽しめるのはお前ぐらいだよ!! ガルスぅ、助けてくれぇ! お前なら何とかできるだろぉ!?」
「いや、僕に言われても……。大丈夫ですよ。どうせいつも通り爆死か瀕死になるぐらいで」
「それ大丈夫じゃないからね!? ってか違うんだ。何かいつもと違う恐怖を感じるんだ!! こう、背筋が泡立つどころか燃やされるような……! ひぃー……、ひぃー……っ!! お、俺ちょっと教会行ってくる!! 祈りだ、祈りを捧げよう!!」
「今更無駄だと思うが……」
なおその教会には祈りを捧げる敬虔な信徒がいることを彼はまだ知らない。
「まぁ、一旦ここで自由行動の手筈でしたし良いのでは? 僕もしばらくこの辺りを散策したいし……」
「だ、そうだ。カネダ、行っても……」
メタルが言い切るよりも前に、カネダは人混みを突っ切って全力で疾走していた。
いったい、どれほどの悪夢を予感したのだろう。彼等でさえ今まであそこまでの錯乱振りは見たことがない。
まぁ結果論だが、この後その錯乱に妥当する恐怖を味わうことになるので今だけは赦してあげて欲しい。
「……ったく、慌ただしい奴だ。んじゃ、俺ァ武闘会に登録してくっからよ。クカカカ、フォォオオオオオオーーーーールゥウウウウ……! 何でだか臭いは解らねェが、会えば確実に解るぜェ。偽名使っても無駄だからなァ! クカッ、クカカカカカッ!!」
「全くもう、この人は……」
ガルスはがくりと肩を落としつつも、悩み風に眉を顰め込む。
――――まぁ、今回も彼とフォールが会うことはないだろう。と言うより、フォールが彼から逃げるだろう。
それは良い。それは良いのだけれど、そうなれば自分と彼も会うことはなくなってしまう。せめてフォールと言わずともルヴィリア、彼女に会いたい。リゼラやシャルナではなく、彼女ならばきっと話を解ってくれると思う。突拍子の無い話だけれど、現実味も、理論性もない話だけれど、せめて彼女であれば、あの仮説の意味を解ってくれるかも知れない。
「……でもこの街広いから、会えるかなぁ?」
周囲の人並みを眼にし、彼の眉根はまたしても不安に深くなっていく。
まぁ、そうは言ってもーーー……。
「あの馬鹿ども何処行きやがったァアアアアアアアアアッッ!!!」
そんな自身の数メートル後方には、人並みに紛れ絶叫するルヴィリアの姿があったりするのだが。
そう、つい先刻までシャルナとショッピングしていた彼女は火種と爆弾の化学反応を阻止すべく街中を全力で疾走していた。
しかし本日のメインとも言える武闘会が開かれる闘技場前だ。その人並みは正しく大津波。顔見知りが一人二人いても少し目を離せば直ぐにいなくなってしまうような盛況ぶりである。そりゃ幾ら特徴的なアホ共とは言え、見つけるのは困難を極めるだろう。
「お、落ち着け貴殿! こういう時こそ魔眼の出番ではないか!?」
「メッチャ目ぇ痛いんですけどッッッッッッッッッッッ!!!」
「あ、さっきの……。す、すまない……」
「もうダメだわー。シャルナちゃんの貧乳っぱいでぎゅっとして貰わなきゃダメだわー。あー、目が! あー目が!! あー目が痛ぁああああああああああああああ潰れるゥウウウウウウウ割れるゥウウウウウウウウウウウッッ!!」
「どうした? お望み通りのヘッドロックだが」
頭部粉砕。
「うぅ、だってさぁ……。こんな人混みで数人見つけるなんて無茶だよぅ。それこそシャルナちゃんのフォール君センサーでどうにかならないの? こう、不思議パワーで……」
「いやいや貴殿、流石に私もそんな」
「もしかしたら今こうしてる間に浮気とかしてたりして」
「いたぞ。あそこだ」
「嘘でしょシャルナちゃん」
伊達に『最強』を名乗ってない超直感。シャルナのフォールセンサーは見事に彼を捕縛し、並み居る群衆の中からその姿を見つけ出した。
しかし彼は何やら奇抜な格好をした男と共に闘技場へ進んでおり、その表情は何処か緊張染みて見える。いや、表情自体はやっぱりいつも通りの無表情なのだけれど。
「い、いた! よりにもよって闘技場にっ……!!」
「何だあの男は? あ゛? 男は赦さんぞ。女ならまだ納得できる。男はダメだ。男は殺す。男は赦さん」
「いや違うでしょ流石にアレは!? 落ち着いて、まずは彼を止めることが先決だ! いや……、もういっその事だからシャルナちゃん、武闘会に参加しちゃおう! あの裏口からして関係者専用とかでしょ? つまりあの野郎、大会に金策目的で参加しやがったんだ! だけど同じ参加者なら同じ控え室に通されるはず!! そこで彼がメタルに会う前に連れ戻せれば…………」
「そ、そうか! その手があったな!! よし、直ぐに参加登録してこよう!! 貴殿は万が一に備えて闘技場の逃げ道を確保しておいてくれ!!」
「アイアイサー! ……ところでこの薬は」
シャルナは喉元に親指を突き立て、一気に線を引く。それが何よりの答えだった。
そしてここから二人の行動は迅速である。ルヴィリアは直ぐさま闘技場の裏口から潜入し、逃走ルートを確保。彼女に掛かれば魔眼がなくともこれぐらいの忍び込みとルート構築は(※下着泥棒で鍛えているので)お手の物だ。
シャルナもまた手練れらしい荒くれ者や冒険者が並ぶ行列に入り、手早く受付を済ませて控え室へと進んでいく。その最中に彼女の体躯と獲物を目の当たりにした参加者が数名ほど予選辞退を表明したが、まぁ些細なことだ。
「控え室はこちらになります」
そうして闘技場の薄暗い通路を抜けた後、彼女が通されたのはこれまた何処か薄暗い、いや、剣呑とした雰囲気を纏う幅広い一室だった。武闘会に参加するだけあってその部屋に集う者達は誰も彼も一騎当千の武者戦者ばかり。背中に大斧を背負っていたり、見たこともない武器を持っていたり、鍛え抜かれた肉体をしていたりと、何とも勇ましい連中ばかりだ。
残念ながらシャルナ以外の女性は見当たらなかったが、そもそも彼女自身『なんて屈強な男だ……』としか見られてないのでセーフである。
「えっと……、フォール。フォールは何処だ?」
さてはて、シャルナの目的は当然、大会に参加することではなくフォールを連れ戻すこと。
辺りの参加者などは無視し、彼女は目当ての男を捜すべく控え室を歩き回る。参加者達は褐色の巨躯と豪傑の大剣を背負うその姿に狼狽える者もいれば睨め付ける者もおり、シャルナの何気ない行動は明らかに一室の空気を悪化させていった。謂わば奇跡的な緊迫感で保たれているドミノの周りを奔り回るようなものだ。
「クックック、アンタも情報収集かい……?」
と、そんな彼女の様子を見かねたのか、それとも取り入ろうとしたのか、とある男が声を掛けてくる。
如何にも三下な、それこそあの魔王にも匹敵する三下ムーブを隠せない怪しげな男だ。
シャルナはそんな男も無視してフォールを探そうとも思ったが、まぁ、彼なら知っているかも知れないと一旦足を止めて話を伺ってみる。
「俺の名はサンシー。クク、『毒蝮』サンシーと言えばアンタも聞き覚えがあるだろう……?」
「いや全く」
「あ……、あぁ、そうかい。どうやら素人のようだねぇ。クク、ここは武闘会常連の俺がアンタに情報をくれてやろうじゃないか。怪我する前に帰った方が良いと解らせる為になァ?」
「む? うむ、それは有り難い。ところでフォールという男を」
「まずはアイツだァ! あの壁際で本を読んでる、一見すると聖職者風のエルフ男。奴は『呪殺』ルルエイと呼ばれる魔道士でなぁ。エルフに伝わる呪い系の魔法を得意とする男だ。奴に血を採られた奴はその瞬間から死神がその首へ鎌をもたげているって噂だぜぇ……」
「え、いやだからフォールという」
「その次はあそこの椅子を占領してる大男! 奴は『粉砕』グーマン!! 新顔だがさっき突っ掛かっていった手練れをあっと言う間に五、六人ほどブッ飛ばしちまった。あの怪力だ……。岩を砕き鉄を曲げるなんてワケねぇだろうな。要注意人物だぜ」
「あの、フォール」
「その隣で腰に幾つも酒をぶら下げてるのは、ただの飲んだくれじゃねェぞ! 何とあの戦う大道芸人『火吹き』の獣人ボボンボだ! 奴は魔力を溜めて着火させられる特異体質でな、あの可燃率の高いアルコールを用いた火炎放射に包まれて生き残っていられる奴はいないぜぇ?」
「私は、フォー」
「それだけじゃねェ。会場でも一際避けられてる男がいるだろう? 奴はやべェ。『死を呼ぶ槍使い』カモーシーだ! 何でも槍の切っ先に一族秘伝の毒が塗ってあるらしく、また奴の部族特有の長い手足により間合いは変幻自在!! あの男と戦って生き残った奴はいねぇ……。絶対当たりたくない相手だぜ」
「おい、フォ」
「さらにアイツもいるぜぇ! 何でもかつてはあの帝国十聖騎士に選出される一歩手前まで行ったという武闘家『明鏡止水』モーエン! 奴の拳は空を舞う羽虫を触れず潰すことができ、水面に撥ねた雫を触れることなく蒸発させるほどの神速の拳を持つという!! クク、恐らくこの大会一の武芸者だろうなぁ……」
「フォ」
「だが、そんな奴らを押しのけてヤバいのが奴だ! 伝説の冒険者にしてギルド史上たった一人! プラチナSSSランクに到達し『神剣』と謳われたゼリクス!! まさかあんな奴まで顔を出すたぁ誰も思わなかった……。奴は一閃の内に相手へ数千の斬撃を刻むと言われ、対峙した奴は死を感じることさえ赦されず朽ちていくと言われている……。や、やべぇぞ。アイツだけはやべぇなんて次元じゃなくてヤベぇ!!」
「…………そうか、もう良い。解った。」
先程よりも一層落ち込みながら、シャルナは再びフォールを探すべく会場の中を歩いて征く。あぁ無駄な時間を過ごしたな、と言わんばかりに。そもそもこの武闘会自体に興味がないし、ここにはあの聖女ルーティアまでいるというのだから当然である。一国もこんなところにいたくはない。
「「「うわぁああああああああああああああああああああああああ!!!」」」
しかしそんな彼女が背を向けた途端、剣呑に淀んでいた空気が爆発するが如く一気に爆ぜ飛んだ。シャルナは何事かと振り返るが、そこには余りの驚きに腰を抜かし打ち震える三下、もとい『毒蝮』サンシー、そして我先にと逃げ出す数多の参加者の姿があった。
先程サンシーが紹介した連中は残ってこそいるものの、誰も彼もがその男の姿に冷や汗を流し、眼を見開いて立ち尽くしている。その男は、それ程に異様な存在だったのだ。
「……や、奴は」
「ひ、ひぃいいい……! な、何で、何であんな奴がいるんだ!? あんな奴まで参加するのか!? 『戦場の死神』『閻魔を殺した男』『人間災害』『神獣殺し』『帝国十聖騎士第零席』『最強の傭兵』……!! 数え切れないほどの忌み名を持つ化け物! 怪物!! め、メタルだぁああああああああああああああああああああああああああッッッッッッ!!!」
サンシーはその叫びと共に他の参加者同様、控え室から逃げ出していった。
残されたのは呪い系魔法を極めた聖職者エルフ『呪殺』ルルエイ、新顔ながらも凄まじい怪力を持つ『粉砕』グーマン、酒をぶら下げた戦う獣人の大道芸人『火吹き』ボボンボ、細長い手足から毒槍を放つ『死を呼ぶ槍使い』カモーシー、神速の拳を持つ武闘家『明鏡止水』モーエン、伝説の冒険者にしてギルド史上ただ一人プラチナSSSランクに到達した『神剣』ゼリクス。そして数多の忌み名を持つ怪物ことメタル。
そこにフォールを探しに来た『最強』の四天王シャルナと、逃げ遅れたのかフードに身を包み表情を隠す細身の男が一人で、合計9人。彼等が本戦への枠、3つを争って戦うことにーーー……。
「……フォールいねぇじゃん。帰るわ」
どうやら8人になりそうです。
「お……、おいおい待てよ。逃げんのか?」
そんな彼に挑発を向けたのは『明鏡止水』モーエンだった。
その一言にメタルも返した踵を止める。何やら先程より遙かに不穏な空気が漂い出し、シャルナは関わりたくないと言わんばかりに、思わず近くにあった誰のものかも解らないマスクで顔を覆い隠した。
――――彼とは『爆炎の火山』ダンジョンやその他の場所どころか、一度帝国のギルド本部で腕相撲勝負をしている仲だ。面と向かい合えば確実に自分だとバレるだろう。このマスクでも騙せるかどうか。
いや、そもそも彼の言葉通りフォールがいない。この会場に関係者入り口から入っていったのは間違いないのに、いったい何処に行ったというのだろう。
まさか、まだ参加申請中なのでは。だとすれば危ない! 彼がこの控え室に来る前に止めなければ!!
「アンタ、メタルだろ? 噂じゃあ『知識の大樹』まで切り倒しちまったって話じゃないか……。フフフ、恐ろしいねぇ。俺には到底できないことだ。何せこの拳は大樹を切り倒すほどのパワーはないんでね。ただ、人間一人倒すだけにそこまでの威力は要らないんだよなァ……」
「お前、フォールか?」
「は?」
「お前、フォールじゃねぇだろ。なら興味ねェ。失せてろ」
「は、ははッ! 言ってくれるじゃあないか!! 何だ、そのフォールっていうのは恋人かい!? いや、男っぽい名前だし友人か、知り合いか? どちらにせよそれを逃げる言い訳にされちゃあ堪ったもんじゃない! ……正直になれよ。アンタも狙ってるんだろ? 優勝と、優勝賞品を! 何でも今回の優勝賞品は賞金だけじゃなくとんでもない価値のある古代遺物だと」
メタルは自慢げに語るモーエンの肩にぽんと手を置くと不意に声を発した。
本当に穏やかに、語りかけるように。とてもとても、にこやかに。
「何だ? 今更気持ちが変わったか!? だが残念、アンタは俺の前座になるんだ。アンタは帝国十聖騎士だが、俺もそこまで到り欠けた男……! あのメタルを倒したとなれば名も上がる! 解るか? アンタはもう俺の射程距離内にいるんだ。この距離から放たれる俺の一撃を避けられる奴はいない……。残念だったな。地獄で俺の糧になれたことを」
「なぁ、今ここにいるのは何人だ?」
「……は? 9人だけど」
「トーナメント形式にゃ、一人多いよな」
「あぁ、だからアンタが」
いなくなる、と。そう口にした瞬間、いなくなったのはモーエン自身だった。
代わりに彼が立っていた場所には人型の窪みと、恐らくモーエンのモノであろう頭髪が見えていた。
これぞ本当の人柱である。
「気が変わった。テメェら全員……、主品の前菜になれ」
放たれる殺気、逃れることはできない悪意の前に、フォールを探そうと忍び足で潜んでいたシャルナは否応なしに確信する。
――――あ、これ巻き込まれた。と。
「誰一人逃がさねェから覚悟しろよクソカス共がァ…………!!」
凶暴は牙を剥き、殺意は刃を構え、式典の賑やかしであったはずの武闘会は男の気紛れにより殺戮大会へと成り代わる。
彼を止めるのはいったい誰か? 今の宗教をやめて別の宗教に鞍替えすることを決心した聖職者エルフ『呪殺』ルルエイか? 状況が飲み込めず取り敢えず腕を鳴らす『粉砕』グーマンか? 現実逃避で酒をガブ呑みする獣人の大道芸人『火吹き』ボボンボか? 自らの槍をその場で折り砕いて逃げようかと本気で考える『死を呼ぶ槍使い』カモーシーか? 人柱になった『再起不能』モーエンか? 伝説の冒険者にしてギルド史上ただ一人プラチナSSSランクに到達し今この状況でさえ不敵な笑みを崩さない『神剣』ゼリクスか!?
それともこの場で誰よりも帰りたいと願う『最強』の四天王シャルナか!? はたまた端っこで動かないフードの男なのか!?
激動の予選、本戦3枠を争う彼等の運命やーーー……、如何に!?




