表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強勇者は強すぎた  作者: MTL2
最智との邂逅(後)
256/421

【2】


【2】


「イカれたメンバー紹介するぜ!(彼女達が私の仲間です!)」


 さて、ところ戻ってフォール達が座す一室には奇異たる見た目を極めた者達が集まっていた。それぞれがアクリーンの半透明な体に勝るも劣らない奇抜さで、思わず見る者皆の言葉を失わせる。

 なおリゼラ様はそんな彼女達以前にアクリーンのテンション差にドン引きしていたのだが。


「ぎょろぎょろ動く目玉は一つ! 単眼ゲイザーのゲザ娘!!」


「フッ、我が悪しき眼が全てを見通す……!」


「何、貴様もルヴィリアのような魔眼を持っているのか? どれ、見せてくれ。む、逆まつげがあるな。どれ取ってやろう。充血もひどい。睡眠は充分か? 眼に湯で湿らせた布を被せると効果的だと聞くぞ。どれ、眼のマッサージをしてやろう。瞼を閉じて辺りの筋肉を癒すようにだな」


「ひっ、あ、あの、近……、近い……、眼ぇ合わせないでぇええ……」


「頭から映えた花のお手入れは欠かさない! 植物悪魔アルラウネのアル娘!!」


「薬の調合は任せてください!」


「頭の花はマンゴラドラの花か? 初めて見たな。素晴らしい彩りと葉の元気さだ。よく手入れされていることが解る。俺も旅の身でなければ園芸に精を出したかったのだがこれほど素晴らしい花を作れる気がしないぞ。薬の調合もできるということは植物や薬草に知識があるのか? 是非ともマンゴラドラの習性について聞きたいのだが」


「わ、解りますか? 実はこれ剪定にも凝ってて……、そ、そうなんです! 薬草で、はい! マンゴラドラも見ますか? あ、あの、もし宜しければですけれど……」


「燃えたぎる炎は憤怒の怒り! 蒼き影火ランタンのラン娘!!」


「………………」


「ほう、影火と言うのは熱くないのだな。鷲掴みにしても問題ないのか。ランタンを持っているのはこれが何か関係しているからか? あぁ、この火種が本体なのか。む、ランタンに傷がついているな。どれ硝子の修繕は初めてだが油と特殊な石灰を混ぜたもので修繕できると聞く。俺で良ければ修繕しよう」


「ぁ、触っ……、あ、あの、ぁっ……ぁ……」


「海も川も全ての水場は我が庭だ! 水界の住人ザハギンのザハ娘!!」


「ヌハハハ! 俺の魅惑の体に惚れるんじゃねーぞー!!」


「ふむ、水着でいるのには理由があるのか? あぁ水棲だから泳ぐのは水着でいるのが都合が良いのか。成る程。魚鱗が肌と一体化しているのか。耳元のヒレも特性の一種か。どれ、うむ中々の肌触りだ面白いな。指先の水かきもよく発達している。だが水によくいるならば肌荒れが心配だろう。俺がよく使っている化粧水をだな」


「せ、せく、セクハラだぁあああー! へんたい、変態ぃいいいーーーっ!!」


「鏡よりも貴方の姿を真似てみせましょう! 変幻自在ドッペルゲンガーのドペ娘!!」


「どうだ、俺の姿は似ているだろう? 貴様そっくりだぞ、フォール」


「ふむ、確かに面白い。元の姿はどのような……、何? 元の姿に自信がない? 馬鹿を言え貴様が自信を持つのはその姿ではなくその技術となりきり様だ。種族のお陰だと? 種族は口調まで真似させてくれるのか? 違うだろう。それはお前の努力の賜で……、おい何故泣く? 俺の顔で泣くな違和感しかない」


「やべぇ、今の妾、超貴重なモンみてる」


「待ってくださいそれより口説いてません? フォール口説いてません!? 一挙に五人も口説いてません!?」


「まるでエロゲの主人公ですね」


「全くその通……、マリー殿? 今なんて言ったマリー殿!?」


 自己紹介だけでこの有り様である。

 が、何処ぞの馬鹿勇者のせいで皆がてんやわんやではあるものの、アクリーンが紹介した者達は皆この街でも珍しい異形の半魔族ばかり。最弱モンスターたる彼女の部下らしいと言えばらしい特異さだろう。

 これには人手が欲しかったフォールも大満足のようで、何度も頷きを繰り返しながら頭の中で計画を組み立てているようだーーー……、が、彼女達を紹介したアクリーンはその影で邪気を張り巡らせていて。


「ケッヒッヒ……、解ってるわよねェお前らァ? フォールの野郎は必ずお前等を組み込んだ計画を持ち出してくる。こざるを得ねェ! お前等は大人しくそれに従うフリをして隙を見つけたらヤツをやるんだ。そうすりゃ連中は共倒れで後は俺が始末を付けるって寸法よォ! 解ったかしらァ!?」


「ど、どうすべきか、アクリーン様。わ、我が瞳を、あん、あんなに真っ直ぐ見つめられたの、はじ、初めてで……」


「まさかマンゴラドラについて語れる人がいるなんて……! あ、あの、後でお茶の約束とかしてきても良いでしょうか!?」


「影火に……、触れてくれた……、カッコイイ…………」


「ちくしょぉおおお俺のエラ弄りやがってよぉおおもぉおおおお……! あか、赤ちゃんできちゃったらどうすんだよぉ……!!」


「アクリーン様。奴の好みが解らない。教えてくれ、俺は姿は見えても心は解らんのだ……」


「チョロすぎないお前等ぁ!? ちょっと気に掛けて貰ったぐらいでドギマギしてんじゃないわよ!! それでも私の部下かァ!?」


「「「「だってぇ……」」」」


「だってじゃない! 良いか、私達はフォールもダキも踏み台にしてこの街の王になるんでしょォ? そうすりゃ異形で虐げられてきた私達だって男も喰いたい放題よ! 違うか!?」


「「「「「フォールが良い……」」」」」」


「じゃあ全部終わったらフォール喰わせてやっからちゃんと働きなさいよォ!?」


 そういう事ならと和気藹々。アクリーンはフォール達へ聞こえぬようアホな部下達の説得と説教のせいで計画を始める前から満身創痍だ。主に精神的に。

 ――――だが、この場面さえ乗り切れば後は何も問題はない。奴の計画がどんなものでも自分達を利用する以上、必ず隙が生まれる。しかもククル、ワフム、ニアンの三人はフォールを最優先で狙うという話ではないか。と言う事は奴は動けず、計画を出せば後は精々囮になるか追い回されるかーーー……。これほどやりやすい状況はあるまい!


「……よし、うむ。アクリーン、少し良いか?」


「は、はぁい、なんだよウジムシィ?(何でしょうか?)」


「あぁ、少し尋ねたいことがあってな」


「もう罵倒じゃ完全に反応せんようになったぞ、あ奴」


「相変わらずの適応力ですね……」


 と、そんな魔王達の評価を他所に、フォールは半魔族娘たち五人へ幾つか質問をしたいと提案した。アクリーンにはその許可を取りたい、とのことだ。

 まぁ計画のためには彼女達の能力を幾つか頭に入れておくのも必須事項であろう。アクリーンはそれぐらいならと了承する。


「そうか、では面接を開始する。面接官は俺、リゼラ、シャルナ、マリーの四名が担当だ」


「え、これそういうアレ!?」


「ツッコまないでください、アクリーン様。ツッコむだけ無駄です」


「悲しきかな、その通りなんだ……」


 既にアホ共の行動は諦めたマリーとシャルナの隣で粛々と進められる面接準備。

 何処から取り出したか面接資料と各員の履歴書、スーツと堅物メガネで七三分け。つまり準備は万端である。


「ただいまより面接を開始する。それでは、まずゲザ娘」


「わ、我が名を呼んだな! 我が名は忌まわしき種にして神の眼を持つゲイザーが末裔、ゲザ娘なり!! このおぞましき呪縛の右腕は世界を掴み己の魂さえも灼き尽くすだろう!! 然れど案ずるな、我が鮮血を刻みし深淵の封印は聖なる力さえも滅す禁忌の証なのだからな!!」


「はい元気ある自己紹介ですね。リゼラくん、何かあるか」


「己の魂をも灼き尽くすというフレーズが非常に好印象ですね。半魔族らしく邪悪なる力ではなく聖なる力を滅す辺りもポイント高いです。ただ単眼という個性を活かして欲しいところではあります」


「だそうです。それでは幾つか伺いますが、よろしいですか」


「よ、良かろう! わ、あの、我が伴侶となりし者には我と同じく忌まわしき刻印が刻まれることであろう! 呪いの証は我等を結ぶ絆である!! よ、宵の贄は雛鳥の余生を奪いし残酷なる宴が好ましい!! 我が身に架せられし呪縛は混魔の儀式なりや!! そ、それと、しょっ、初夜……、あ、い、いや、あの、わ、我が魂にきしゃま、きっ、貴様を刻みし時は甘き愛を囁くが良い!!」


「……えーと、好物は卵料理、趣味は混魔の儀式、ということか? さ、最後のは、そのだな」


「初夜は愛を囁かれながら、が好みだそうです」


「ま、マリー殿ぉ!?」


「別に聞いてないのだが元気があるのは良いことだ。特技はあるかね?」


「ま、魔眼には及ばぬが我が眼は千里を見通す瞳となろう!」


「成る程、『視力が良い』と」


「身も蓋もねぇ訳し方したな御主」


「はい、ではありがとうございました。続きましてアルラウネのアル娘さん、どうぞ」


「わ、我が魂はえっと、頭のお花で、えっと……」


「別に自己紹介はマネしなくて良いですよ」


「あ、は、はい。それじゃあ、あの、好きな食べ物はお水と太陽です! た、食べ物って言って良いかは解りませんけど……。趣味はガーデニングでお花を育てるのが大好きです!! 特に頭のマンゴラドラは小さい頃から育ててる自慢の花で、えへ、えへへ」


「はい、素晴らしい美しさだと思います。ガーデニングが趣味とのことですがお薬なども調合されているそうですね」


「はいっ、薬屋をやっています! 薬草を育てることもあるので……。色々なお薬や毒薬なんかも作ってます!!」


「だそうだがリゼラくん、何かあるかね」


「御主とだけは組ませちゃいけねぇなって思いました」


「成る程」


「あ、そ、それと、は、初めての時は植物のツタみたいにめいっぱい縛られながらが良いです! よろしくおねがいします!!」


「誰に言っているのかな貴殿? ん? 場を弁えろよ?」


「シャルナ様どうどう」


「それで特技はどうですか?」


「しょ、植物を操ることができます。ちょっとだけ……、触れたものでそんなに大きく動かしたりはできませんけれど……」


「成る程、面白い特技ですね。はい、ありがとうございました。では次の方。ランタンのラン娘さんですね」


「……………………」


「………………」


「……………………(身振り手振り)」


「成る程、好きなものは純正の鉱物油。趣味は最近アル娘さんと一緒に開発しているアロマキャンドル。可愛らしい趣味ですね」


「何で解るの御主」


「勘」


「…………(炎が点滅している)」


「はい、好きな人は自分を怖がらずに抱き締めてくれる人。勇気あって鋭い目付きの人が好み……、と。初夜はいっぱいぎゅって抱き締めながらいっぱいキスをしてくれると嬉しい、ですか。はい」


「なぁあの娘フォール見てないか? ん? 見つめてないか?」


「シャルナ様ステイステイ」


「はい、特技は……、ほう。発火。と凄まじい威力の爆発。素晴らしいですね。えぇ、喜んでいただけるのは嬉しいですが発火の余り炎が天井を焼きそう……、影火だから熱はない? 爆風はある? ますます素晴らしい特技です。リゼラくん、何かあるか」


「あ奴と組んだら超カッコイイ技のエフェクトやれそう」


「解らなくもない。ではありがとうございました、続きましてサハギンのザハ娘さん」


「お、おう俺だな!? 俺ァ誇り高きサハギン族にして特攻隊長のザハ娘だ!! 水のあるところは全て俺の庭みてェなモンだぜ!! 好きな食べ物は海草で趣味は特にねぇがガキと遊んでやることは好きだぜ!! だ、だからその、子供の世話は俺がやっからよ、お、お前は外で稼いでくれたら円満な家庭が築けると思うんだよなっ! お、お前みたいに活発な奴はそっちの方が良いだろ? 俺の初めてを、あんなに乱暴に……♡」


「…………」


「シャルナ様やめてください抜剣はマズいです」


「ふむ、若干心当たりはないが特技はありますか?」


「そ、そりゃ水のあるところなら自由自在だ! それに俺と一緒なら水霊の加護で人間でも永く潜れるぜ!! だ、だからよ、一緒に海底散歩とかどうかなって……、そ、その後は浜辺で手ェ繋いだりよっ! き、キスはまだ早いけど、お前がやりてェなら、考えなくも……」


「成る程、ありがとうございます。リゼラくん」


「腹筋がシャルナと被っとる」


「一切参考にならない意見をありがとうございました。では最後にドッペルゲンガーのドペ娘さん、どうぞ」


「俺か。俺は紹介に与った通りドッペルゲンガーのドペ娘だ。今は貴様の姿を借りているがこれでも女でな。……俺は好みや趣味は特にない。ドッペルゲンガーなのでな、相手の動作を真似るのが癖なんだ」


「ふむ。しかしここで重要なのは貴方個人の想いや考えです。自分を表現することは社会でとても重要なことですよ」


「それは……、その、その通りだが、すまない。解らないんだ。貴様の言うことは尤もなのだが、いや、自分のことではなく……、すまない。こちらを見つめないでくれ。貴様に見つめられると……、心まで自分のものではなくなってしまうようだ。とても、胸が苦しい」


「シャルナ様シャルナ様、どうぞ。フォール様の赤面顔です。アレでも見て落ち着いてください」


「フォールはそんなこと言わない」


「はい?」


「フォールにしてはちょっと目付きが緩いんじゃないか何だその赤面顔はフォールはそんな顔しないぞ無表情なら無表情を貫き通すべきなんじゃないのかそれに言葉使いも柔らかいなフォールはもっと鋭く斬り込むような容赦のなさだぞ何だ貴殿その甘ったれた言葉使いは勉強し直してこいそもそもフォールは自分の心とか言わないし体付きだってあと2ミリは大きいし姿勢だってそんなしっかりしていないぞもう少し崩すようでいて崩れてないような絶妙な姿勢を保つべきなんじゃないかあと脚の開き方だってそうだ何だその内股は何がしたいんだフォールはもっと真っ直ぐっぽいが少し外に開いている足の開き方をするんだぞ手の握り方もおかしいな硬く握りすぎだフォールはいつでも剣を抜けるように軽く隙間を作っているんだもっと観察すべきなんじゃないのかやり直しだぞ貴殿今すぐ出直すかちょっと胸元をはだけさせてシャルナ体が熱いんだ拭いてくれないかと言うまでそこから動けると思うんじゃな」


「フォール様、次の質問をどうぞ」


「うむ。ではドペ娘、特技は変身ということで良いか?」


「た……、確かにそうだが俺が真似られるのは外見だけでな。しかも一度変身すると半日は解除できないし変身も自分の感情で自動的に変化してしまうんだ。自分で言うのも何だがハッキリ言って使い勝手は良くない。貴様の役に立てるとは……、その……」


「何を言う、立派な個性ですよ。他の皆様にも劣らない、貴方が誇るべき才能です」


「……そ、そうか。ありがとう。嬉しい、な」


「おい何だ貴殿その恥ずかしそうな顔はもう少し見せてみろ」


「リゼラ様、シャルナ様が暴走する前に総評で締めてください」


「うん、フォールに感情があるみたいでキモぇぶっ」


 締めはフォールの拳骨一発でした。

 と言う訳で、これにて面接終了。合否は追って連絡いたしますので本日は気を付けてお帰りくださってはいけない。こんな面接あってたまるかという話である。

 さて、そんなある意味で圧迫面接を終えたフォールは二度三度と唸りながら口元を指先で覆い、いつも通りの思案を見せる。何かを探るような視線と睨め付けるような鋭さに半魔族娘たちばかりかアクリーンまで背筋を伸ばすが、やがてその視線も緩むと共に、一つの答えを導き出した。


「……よし、計画が決まった。これだけ潤沢な選択肢があればやり様は幾らでもある。少々困難になるが、まぁ、不可能ではないだろう」


 彼のその言葉にアクリーンは背筋を戻しつつも、溢れる笑みを必死に抑え込む。

 ――――釣り糸にカモが掛かった! そう、その計画がお前自身の墓場を指し示す道標になるとも知らぬ、愚かなカモが!!


「……決まりましたか! でも狙い通り(心配で)ぃぶっふん!! も、もしかしてその計画ってフォール様やこの娘達の負担が大きいんじゃないですか?」


 しかしまだアクリーンは慌てない。釣り糸に獲物が掛かったならば針を飲み込むまで待つのが定石だ。

 薬のせいで口を滑らせかけたが、どうにか取り繕いつつもにこやかに微笑みかける。

 さぁ、そうだ。そのまま迷わず計画を実行してしまえ、とーーー……。


「いや、俺やその者達の負担はそこまででもない」


「え?」


「まぁ、つまり計画と言うのはだな」


 フォールは坦々とこれより行う計画の概要を述べ立てていく。

 その計画性と彼の容赦のなさを耳にする者は等しく驚きを隠せないだろう。しかし、そんなモノにはもう慣れっこな魔王はにこやかに微笑み、頷いた。四天王と皆の視線を集めながらとても優しげな笑顔を浮かべていた。


「……という計画だ。異議のある者はいるか」


「はい」


「何だリゼラ」


「それ妾が被害被りまくるんじゃが」


「そうだが……?」


「え? うん……」


「よし異議はないようだな。では計画を実行する」


「いやだぁああああああああああ死にたくねぇええええええええええええええ!!!」


 魔王、硝子を突き破って逃亡開始。

 なおこの数秒後、勇者によって見事に捕縛(※滅殺アイアンクロー)されたそうです。

 そして、そんな様子に計画を利用しようとしていた半魔族娘たちも自分の未来を見たようで。


「ど、どうするんだよアクリーン様! こんな容赦のなさじゃ計画に沿ってとか無理だろォ!? 俺達が逆にやられちまうよぉ!!」


「わ、我が地獄の眼が語りかける! 邪悪、これは邪悪なる者の運命フェイト!!」


「…………(必死に首を振っている)」


「アクリーン様、駄目だ。奴は駄目だ。おぞましすぎる」


「ちょっと容赦なさ過ぎますよぅ!?」


「だ、だからってやらねェわけにはいかないだろう!? こ、怖いしヤバいしもうやだ帰りたいけど(こんな奴等どうってことないんだから)頑張るしかねぇだろ!?」


「「「「怖いんじゃん……」」」」」


「わ、悪いかよだってまともじゃねーもんアイツぅ!! けどやるしかねーだろ解ってくれよぉ!! あんな化け物私だってもう関わりたく……」


 彼女達のひそひそ話を遮り、魔王の絶叫が響き渡る。

 半魔族娘たちはもうそれだけでほぼ戦意喪失。おうちかえりたい。


「……と言う訳でリゼラも快く同意してくれた。計画は明日の明朝実行するが、何か意見のある者はいるか」


「ど、ドン引きです……(勇者って何でしたっけ……)」


「私もアクリーン様の意見に全面同意ですが……、フォール様。その計画ですと明朝よりもククル様の目が効かない深夜帯である今の方が効果的と思われます。どうして選りに選って朝日の出る明朝に?」


「うむ、体力と傷の回復に勤めたい事とその後についての思案と理由は幾つかあるのだが……、何より夜の運動をしておきたいと思ってな」


 その言葉に希望を取り戻した半魔族娘たちが一斉に起立し、一瞬遅れてシャルナが素っ頓狂な声を上げる。残された者達が余りの発言に顎を落とす。

 しかし依然として変わらぬどころか、何事かと首を捻るフォール。珍妙にして奇っ怪な空気が場を支配した。


「あぁ……、ちなみに相手はシャルナに頼みたい」


 絶望に崩れ落ちる半魔族娘たちと渾身のガッツポーズを決める四天王。

 そう、刹那にして永き戦いはここに終焉を迎えた。勝敗は決したのである。


「……コイツら馬鹿なの?(コイツら阿呆なの?)」


「アクリーン様、一応は中立の立場である此方にそのような意見を求められても控えめに頭の螺旋が飛んでるとしか言えませんので……」


「言ってんじゃねーか」


 こうして喧騒に塗れた夜は過ぎていく。ただ二人を残して明日の朝に待ち構える決戦へ向けて。

 幾多の企みが重なるこの戦い、はてその結末が如何なるものであるのか。そしてそれよりも歓喜に転げ回る四天王と勇者の夜の決戦もどうなるのか。密かに横から掻っ攫う計画を立てる半魔族娘達の決戦もどうなるのか。

 いざーーー……、激闘の幕が上がるのである!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ