【エピローグ】
【エピローグ】
「な、何じゃ、今のは……」
瓦礫から這い出たリゼラは自分の頭上に被さった空器を投げ捨てた。
――――服は土埃だらけでぼろぼろだし、と言うかそもそもここが何処だか解らないし腹減ったしフォールとシャルナは何処行ったかも解らないしさっきのが何だったか解らないし腹減ったし今どうすれば良いかも解らんし腹減ったし腹減ったし腹減ったし腹減ったし腹減ったし腹減ったしご飯食べたいし。
何と言うか、もう、帰りたい。
「でぇえーいっ、じっとしておっても仕方あるまい! 取り敢えず何奴やと会わねば仕方あるまいに!! ぬーっ! と言うか下半身抜けねぇ!! ぬぅーーーっ!!」
やいのやいのと這い出そうにも、瓦礫がガッチリ噛み合っているらしく下半身が抜けそうにない。
上半身だけでわきわき暴れても良いトコ精々が奇妙な魔王植物に見えるぐらいだろう。いや、植物は植物でも森を枯らす暴食植物だけれども。漏れなく絶滅推奨だけれども。
まぁ、そんな植物も生きているには生きているのだ。やがて彼女はここで健やかに雨と太陽で光合成的なアレでエロコジーな生活を送ることだろう。。
「大丈夫ですか?」
いやいや、捨てる何あれば拾う何ありというものだ。
瓦礫に下半身が埋まった彼女へと、春の日差しのような優しい声が掛けられた。聞けばそれだけで思わず安堵の息を零してしまいそうなほど爽やかで朗らかな声だ。
魔王もご多分に漏れず引っこ抜いてくれるのかと安堵に頬を緩ませた、がーーー……。
「……お迎えに上がりましたよ」
「えっ」
その男の姿に、思わず顔を引き攣らせた。
――――カイン・アグロリア・ロードウェイ第一席。その男の姿に。
「うぅむ、ようやく捕縛できたと思ったら貴様等かっ!」
そしてまた、一方。
西南区近辺にて魔道駆輪から引き摺り降ろされた二人組が抵抗虚しく捕縛、十聖騎士のミツルギ第八席が同幹部のヴォルデン第二席によって保護されていた。
「なっはっはっはっは! これでこの騒ぎも終幕じゃのう!!」
――――そう、これは終幕への合図。
やがて、否、間もなく訪れる終幕への道標なのだ。
この序曲に始まり、喧騒にに続いた崩壊曲の、終幕へのーーー……。
「フォール……!」
そしてまた、舞台に上がる者達は勇ましく歩み行く。
例えそれが己の身を滅ぼし兼ねない極地への道だとしても。
「これは、この騒動の裏にはッ……!!」
誰も彼もが。
「……師匠」
この帝国にいる、誰も彼もが。
「……全ては明日、決着する」
その舞台へ、立ち並ぶのだ。
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