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最強勇者は強すぎた  作者: MTL2
平原の旅路
112/421

【5(1/3)】


【5(1/3)】


「んぁっ……、ふぐっ」


 リゼラは眠気眼を擦りながら起き上がった。

 ――――見慣れない、真上にある太陽。いつもとは違う開放感。

 あぁ、そうだ。そうだった。昨晩は平原のキャンプ場で大騒ぎしたのだった。今は、昼前だろうか。駄目だ、寝過ぎてしまった。昨日のエールのせいだろう。

 しかし、何故だ? 途中辺りから記憶がない。確かエールをガブ呑みしてピザをガツ喰いしてーーー……、うぅ、思い出すと胸ヤケが。昨日は何枚喰ったんだっけ?


 ぬるり。


「……む?」


 指先に伝う、泥ぬめりのような感触。

 鼻先を突く嫌に鋭い異臭。背筋が逆毛立ち、指先から滴るそれがぴりぴりと肌を焦がす。


「な……ん…………」


 その瞳に映るのは、紅色だった。

 自身の忠臣が口端から流す、紅色だった。


「リ……ゼ…………ラ様……」


 そんな紅色の中で、シャルナは震える腕を持ち上げる。

 微かな、虫の吐息のような声色。何処を見ているとも解らない瞳が必死に紡ぐ言葉。


「申……し……訳あ……り…………ませ……ん……。わ、たしは…………」


「しゃ、シャルナ! どうした!? 何がっ……!!」


「あな……た様……に…………忠……義……を示……せ……なかっ…………」


 彼女の腕が力鳴く垂れ下がり、意識は空へ消える。

 突如として訪れた悲劇に魔王は慟哭した。その残酷な現実を前に、ただ、彼女はーーー……。



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