【5(1/3)】
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「んぁっ……、ふぐっ」
リゼラは眠気眼を擦りながら起き上がった。
――――見慣れない、真上にある太陽。いつもとは違う開放感。
あぁ、そうだ。そうだった。昨晩は平原のキャンプ場で大騒ぎしたのだった。今は、昼前だろうか。駄目だ、寝過ぎてしまった。昨日のエールのせいだろう。
しかし、何故だ? 途中辺りから記憶がない。確かエールをガブ呑みしてピザをガツ喰いしてーーー……、うぅ、思い出すと胸ヤケが。昨日は何枚喰ったんだっけ?
ぬるり。
「……む?」
指先に伝う、泥ぬめりのような感触。
鼻先を突く嫌に鋭い異臭。背筋が逆毛立ち、指先から滴るそれがぴりぴりと肌を焦がす。
「な……ん…………」
その瞳に映るのは、紅色だった。
自身の忠臣が口端から流す、紅色だった。
「リ……ゼ…………ラ様……」
そんな紅色の中で、シャルナは震える腕を持ち上げる。
微かな、虫の吐息のような声色。何処を見ているとも解らない瞳が必死に紡ぐ言葉。
「申……し……訳あ……り…………ませ……ん……。わ、たしは…………」
「しゃ、シャルナ! どうした!? 何がっ……!!」
「あな……た様……に…………忠……義……を示……せ……なかっ…………」
彼女の腕が力鳴く垂れ下がり、意識は空へ消える。
突如として訪れた悲劇に魔王は慟哭した。その残酷な現実を前に、ただ、彼女はーーー……。




