【9】
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――――マズい。
マズいマズいマズいマズいマズいマズいマズいマズいマズいマズいマズいマズいいマズいマズいマズいマズい!
マズいーーー……、ヤバい!!
「…………」
誰もが言葉を失っていた。魔王も四天王もダークエルフもエルフ達も、誰もがその男達の登場に言葉を失っていた。
だが、そんな中で二人だけが静寂とは裏腹に心の中を喧騒で埋め尽くす。若者が好みそうな激しい音楽を耳元で大音量演奏されているほどの、喧騒で。
「ぐっ…………!」
一人は、カネダだった。
――――最悪だ。何だこの場面は? 何なんだこの状況は?
次元にのみ込まれてあのワケの解らない世界を彷徨ったまでは、まぁ良い。こうして脱出できた。
だと言うのにこれは何だ? まだあの異次元の上も下も解らないモヤモヤした世界にいた方が幾分もマシだったのでは。
しかもエルフがこんなにーーー……。いや、ダークエルフまでいることを見れば、とんでもない場面で出て来てしまったんじゃないか? まるで正義の味方が悪役を追い詰めたその瞬間に旅行気分でるんるんしながら二人の間を通り過ぎるように。
だとしたら、マズい。立場とか気持ちがとかじゃなく、目的の意味でマズい。
いったい、この場でどうすれば、あのダークエルフを攫って神魚に神託を得られるというのだ?
「ッ…………!!」
もう一人は、ルヴィリアだった。
――――最悪だ。どうして? どうして奴等はここにいる?
次元の亀裂にのみ込んだはずじゃないか。今頃は何処とも解らない異次元で死に果ててるはずじゃないのか。
いや、それ以上に、マズい。この場面はマズい。苦労して描いたシナリオが、運んできた事が、全て瓦解する! 崩壊してしまう!!
本当ならここで私が格好良く皆を助けて皆の心をゲッチュしてハーレムイチャラブEND……、じゃねぇや、綺麗にスッパリENDを向かえていたはずなのに! 後でアイツ等に関しては適当に誤魔化しといたはずなのに!!
それが、どうして生きている!? しかもこの場面で姿を現しやがる!? 最悪の役が最悪の場面で最悪の登場の仕方をする!?
「く、くそ…………!」
「チィッ……!!」
――――ワケが、解らない!!
「…………ふむ」
誰もが困惑に硬直する中、平静を保っているのはただ一人、勇者フォールのみだった。
つまり、この困惑の状況を打破できるのは、或いは動かせるのは彼ただ一人というわけだ。
寄りによってこの状況を作り出した人間という、最悪の選択肢のみしか赦されていない、というわけなのだ。
「…………」
フォールは周囲を見渡し、誰も動けないのを良いことに贅沢な時間の使い方でゆっくりと現状を確認していく。
成る程、エルフの大軍を見るにただ事では無さそうだ。成る程、成る程。
「で、スライムは何処だ?」
挙げ句がこれである。
「…………」
ガスガスガスガスッ。
「おい何をする、魔王貴様」
「テメェは一回スライムに殺されてこい」
「…………フッ」
「惚悦とした表情浮かべんじゃねぇ!!」
そろそろマジでヤバいかも知れないこの勇者。
「り、リゼラ様!? 今フォールきゅっ……、んん゛っ。フォールの声がしたような気がしましたが? しましたが!?」
「うるせぇ御主出てくんな収拾つかなくなるわ!!」
こっちもヤバかった。
「良いかフォール……! この現状を見てどう思う!? エルフの大軍、カッコイイ妾、決めポーズのまま固まったルヴィリア、何とも言えない顔のリース!! そこにマヌケ面さらしてノコノコやってきた御主!! オラ言ってみろ!!」
「……スライムが見付かったのか!?」
「エルゥウウウウウウフッッ!! 今だけ手ェ組むかあああああああああああああああああ!!!」
異種族間交流待ったなし。
「……今更、何のつもりか知らんがな」
と、騒ぎ立てる彼等の眼前でラヴィスは鋭く、深く、言い放つ。
彼の異様に落ち着き払った様子に他のエルフ達も平静さを取り戻しだしたのか、次々に隊列と弓矢を構え直した。
幾ら馬鹿が来たとは言え、現状が変わったわけではない。エルフの大軍に包囲された現状と勢いを殺してしまったことを考えれば、むしろ危険にさえなっただろう。
「「…………!」」
カネダとルヴィリアは同時に思考を巡らせる。逃げられるか、ではなく、どうすれば目的を達成できるか、と。
エルフの大軍による包囲は抜けられない。だが後方に下がるにしても森は奴等の独壇場、自殺行為だ。では玉砕覚悟で包囲に突っ込んでみるか? それこそ自殺行為だろう。
ならばここで応戦するか? あの数のエルフを相手に? 駄目だ駄目だ、それこそ自殺行為より自殺らしい自殺じゃないか。
いや、待て。待て待て、まだ可能性はある。彼なら、フォールならこの現状を突破できるんじゃないか? この空間の主導権を握り、動かすだけの力がある彼ならーーー……!!
「「…………」」
「……何だ、見詰められても困るが。あぁ、スライムか? フフ、そうだな。いると信じていたんだがな」
「「よし」」
駄目なやつコレ。
「総員、斉射準備。リースには決して当てるな」
リゼラが絶叫し、フォールが見上げ、シャルナが通路の扉を開き、リースが彼女達に覆い被さり、ルヴィリアが火炎を纏い、カネダが顔を伏せる。
それは勇者を除く皆が皆、降伏に等しい態勢だった。
もう、どうしようもない。この現状を動かしたのは奴等だ、数という暴力で思うがままに操ったのは奴等だ。嗚呼、どうしようもない。終わりだ、このまま自分達は矢に射られて磔にされ、死んでしまうのだろう。
目的も何も達成できないまま、どうしようもなく、死んでしまうのだーーー……。
―――――ドッガァアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!!
それは突如として訪れる。
誰もが諦めたその時、数瞬後に訪れるであろう未来に頭を垂れたその時。
主導権を握るラヴィスでさえ確信したその時に、訪れる。
「……なん、だ」
その場の誰一人として予想だにしなかった、爆音。
理由も原因も、何もかも不明な、爆音。
誰もが唖然としてその方向を見た。黒煙吹き上がるその場所を見た。いつまでも鳴り止まぬ爆音を、否。
――――鳴り続ける爆音を、聞いた。
「クハッ」
爆音は万人へ平等に降り注ぐ。
次第に大きくなってくる爆音は、いや---……。
「クハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」
爆弾は。
「信じてたぜガルゥウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウスッッッッッ!!」
盗賊の絶笑と共に、大軍を真横から殴り倒したのは全身傷だらけの男だった。
ただの一薙ぎで砲弾が如く数十人を吹っ飛ばし、獣の眼光と歯牙で軍勢を喰い荒らしていく。
その男は爆弾だった。紛う事なき、この現状を主導権ごと横っ面から殴りつける、爆弾だった。
「何処だラヴィィイイイイイイイイイイイイイイイイスッ!!!」
無慈悲なる爆弾は容赦なく軍勢を薙ぎ倒しながら咆吼する。
最悪の状況で、最悪の場面で、最悪の人物。ラヴィスは直感的にそれを確信した。
間違いない、あの男だ。集落の奥地に封じ捕らえていたはずのあの男だ、と。
「人、間ッ……!!」
「さぁこっからの主導権はいただくぜェ!!」
大混乱だった。爆弾野郎の突撃に優勢だった空間をブチ壊され、エルフ達は惑い慌てふためき出す。
それでもなおその男は、爆弾は止まらない。自身を捕らえたラヴィスに向かって殺意の咆吼と共に突貫していくのだ。
「な、何が起こってんだ……? いったい、何が……」
そして、リース。彼女は突如として爆ぜ飛び始めた軍勢で遂に許容量が突破し、その場にへたり込んだ。
生贄が何で、ラヴィスが何で、魔王がリゼラで、異次元からガキが出てきて、人間が現れて、目の前が爆発して、いったい、何が、何なんだ?
「リースちゃん、大丈夫?」
そんな彼女に手を差し伸べたのは、ルヴィリアだった。
紅蓮の翼で軍勢の激動を遮りながら、姫に跪く騎士のように手を差し出したのだ。
彼女にしては珍しい下心のない心配から、弱気な表情でーーー……。
「……なぁ、あんた。何処かで会ったことないか?」
けれど、その表情は、ふと儚げに落ち込んだ。
困惑からだろう。素直に本心からほろりとリースの言葉に、悲しそうに、ただ虚しそうに、口端を下げて。
それでも直ぐに、取り繕いの苦笑を見せて。
「……何のことかルビーちゃん解んないな」
彼女の手を取って、リースは立ち上がる。
その指先はとても細くて、綺麗で、そして、脆かった。
「ほらほら、立って立って! このままダンスでも踊りたいトコだけどにゃ-、どうもそんな場合じゃないっぽいじゃん? ここは逃げよ、逃げ! 愛の逃避行ってね!!」
「あ、あいの、何……?」
「にゃははははははー! 気にしなくて良いのダー!!」
ルヴィリアはリースをお姫様抱っこで抱え上げてそのまま走り出す。
紅蓮纏い、空を駆け、燃え盛る大樹を背にして。儚げな、けれど嬉しそうに満面の笑みで。
リースはどうして彼女がこんなにも悲しそうなのか、それでいて嬉しそうなのか解らなかった。ただ、どうしてだろう。この表情は何処かで見たようなーーー……。
「そう、んじゃ遠慮なく」
とかいう空気を真横からダイレクトスティール。
「えっ」
「スライム楽園は直ぐそこだ」
カネダとフォールは、ルヴィリアの腕からリースをひょいと抱え上げた。
そしてそのまま軍勢に向けて大爆走。一切振り返ることもなく水面へと向けて走り抜けていく。
―――野郎共、やりやがった。
「……はぁあああああああああああああああ!??!!?」
感動の百合百合シーンをブチ壊されたルヴィリアは慟哭した。
しかし馬鹿共は待ちやしねぇ。エルフ達が必至に防衛していた水面下の橋まで障害物諸々(※エルフ含む)を張ッ倒して爆進する。
彼女が振り返った時にはもう、湖の上を全力疾走している始末だった。
「ぐへぐへぐへぐへぐへぐへぐへぐへぐへ! 遂にやったなぁオイ!! 鍵ィゲットだぜ!!」
「貴様そのキャラで定着しつつあるが大丈夫か?」
そしてこのダブルクズ、一切の迷いがない。
金髪盗賊とショタ勇者は二人してリースを抱えながら、全力で湖面を走り抜けていく。
「おま、お、おい! やめろ、やめろよクソッ!! 何すんだ、おい!!」
と、当然リースも抵抗する。だがカネダは兎も角フォールの拘束を抜けられるはずもなく、全て無駄に終わるばかりだった。
いや、蹴りが全てカネダの顔面に直撃している辺り、無駄ではないかも知れないが。
「テメェ、このクソガキ!! 本気か!? 本気で、あんたーーー……、神魚をブッ飛ばして神託だけぶん捕るつもりなのか!?」
「何だ、信じていなかったのか」
「信じるとか、信じないじゃなくてっ……!」
「悪いが俺はそこまで頭が良いワケではないのでな。やるべき事をやることしかできない。あの男のように回りくどくはないし、あの女のように繊細でもない。ただ自分に……、正直であるだけだ」
彼の瞳は、言葉通り真っ直ぐだった。
無限に拡がる、道など見えないはずの湖面でさえも揺らぐことなく、真っ直ぐだった。
或いは地平線のように、何処までも、何処までも。
「……あ、あんた」
「ねぇ良い感じの会話のトコ悪ゴフッ、良いんだけゲボェ、足がほっ、止め、ぐふっ」
「あ、わりぃ……」
小技ハメ百烈脚は基本です。
「と、兎も角だ……。さっさと向こう岸まで行って神魚を呼び出そう。距離を稼がなきゃ奴等に追いつかれるかも知れないからな。追っ手だって、いつ来るか……」
「追っ手なら既に来てるが」
「えっ?」
後方に振り向いたカネダは静かに後悔した。
――――紅蓮の双翼を羽ばたかせ湖を蒸発させながら飛来する異貌を見てしまったが故に、静かに後悔したのだ。
そしてスッと視線を前方へ戻して、一言。
「……逃げられるスピードじゃなくない?」
「よし」
「おい待て何が良しだ今完全に見捨てる覚悟決めたろお前」
「案ずるな、貴様の名を刻んだ墓標をスライムの楽園に建ててやる」
「無意味通り超して不名誉だよねそれ!?」
と、彼等が言い争っている間にも飛翔せしルヴィリアは距離を詰めてくる。
このままではもう数分としない内に追いつかれるだろう。恐らく陸地が見えてきた辺りで殺られる事は間違いない。
だが、ここでどちらかを犠牲にしようとしても、争っている内に殺られる事は目に見えている。
ならば話は簡単だ。単純だ。ストレートだ。そんな事は、決まっている。
追いつかれる前にブッ殺せば良いだけである。
「あんた達バカじゃねぇの!?」
「男ってバカなものなんだよ!!」
「スライム楽園の為だ、犠牲となれカネダ」
リースの体が浮き上がったかと思うと、凄まじい勢いで眼下の二人が脚撃を交差させた。
そう、彼等は全力疾走でリースを胴上げしつつ争いまくる。脚撃拳撃突撃剣撃銃撃なんのその。
協力とかいう言葉は微塵もない。全力の潰し合いこそ彼等が真髄である。
「ば、わっ、やめろ! おち、落ちるぅ!!」
「ゲヒャヒャヒャヒャヒャヒャ! ガキに負けちゃ盗賊の名折れだぜェ!」
「完全にゲスキャラが定着したな。良かろう、悪を倒すのも俺の役目だ」
勇者、初仕事は仲間割れ。
「いやゲスキャラって言えば両方そうだからな!? 誇りとか気高さとか微塵もねぇからな!?」
「何を言う。そんな事はない」
「まったくだ。ただ俺達は……」
「お宝のために」
「スライムのために」
「「全ては自分の為に」」
「やっぱりゲスキャラじゃねーかッッッ!!」
激戦に身を削るフォールとカネダ、そんな彼等に胴上げされるリースだが、そんな彼等の前に陸地が見えてきた。
目的地は直ぐそこだ。あと、数百メートル!
「覚悟しろよフォォオオオオオーーーールッッ!! ギア全開だッッッ!!!」
「その言葉、そっくりそのまま返すとしよう」
瞬間、リースが天高く跳ね上がる。
フォールが剣を立て、カネダが銃を構える。欲望塗れの野郎共による全力の咆吼が激突の合図だった。
剣線がカネダのカウボーイハットを爆ぜ飛ばし、銃撃がフォールの頬を擦る。然れど双方止まることを知らずして、脚撃と拳撃を交差させた。
否、まだ止まらない。勢いのまま跳躍して空中での大殺陣試合。火花と閃光の衝撃が湖の水面を爆ぜ飛ばし、眼下の桟橋まで爆裂させる。一切容赦なし全力総力尽力の殺戮大戦である。
「俺のお宝のために散るぼすっ」
「我がスライム楽園の為に散るがよぐっ」
まぁ当然、そんな事をしていれば追いつかれて終わりなんですけども。
二人は真横からルヴィリアによる超速アタックを食らって吹っ飛んでいく。衝撃により水面ソニックブームができるほどの威力で、だ。
だが、二人の表情に未練はない。どころか歓喜の色さえあった。
――――当然であろう。これこそが彼等の真の狙いだったのだから。
「かかったな! 女ッ! これが俺達の『逃走経路』だ…」
「きさまはこの俺達との知恵比べに負けたのだッ。オレ達が吹っ飛ばされてゆくこの陸地に見おぼえはないか? 旅行者のおまえにはどの陸地も同じに見えるのか?」
彼等が吹っ飛ばされる先にあったのは、間違いない。小舟だ。
ガルスに用意され、カネダ達が使い、奇運回ってリースが、そしてフォール達が使った船。
「あ…あの小舟は………ま…まさか…」
「そうだ。神魚を呼び出すための」
「『逃走経路』だ!」
彼等は吹っ飛ばされた勢いのまま、両脚で陸地に杭を穿ちながら降り立った。
そして全力で小舟へと走っていく。そう、彼等は全て計算済みだったのだ。ルヴィリアに追いつかれることも、陸地が近いことも、何もかも。
割と本気になっちゃった仲間割れ以外、全てが!
「クハハハハハハハハハハッッ!! 俺達の、俺達のッッッ!!!」
「勝」
カチッ。
「「えっ」」
誰が知ろう。誰が予測しよう。
まさか、彼等が降り立った先にそれがあろうなどと。走り抜けた最中にそれがあろうかなどと。
とある変態が砂浜追いかけっこ策戦の為に設置した爆弾が、まさかそのまま放置されていたなどと、誰が知り、予測できるのか。
そしてそれがたった今、彼等によって起爆されたことなどーーー……、まさか、誰が。
―――――ドッガァアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!!
対岸同士で爆ぜ飛ぶ炎柱に挟まれ、ルヴィリアはリースを抱えて真顔でその様子を眺めていた。
欲望塗れの馬鹿共なんてろくな末路を向かえないわぁ、なんて。そう零しながらーーー……。
「っと、ごめんね、リースちゃん。アホな事に巻き込んじゃって……」
気を取り直して、彼女は抱え込んだダークエルフへと視線を向けた。
怪我はない? 直ぐに降ろすからね、なんて。唖然とした彼女に優しい言葉を掛けて。
「…………」
「リースちゃん?」
「……思い出した。あんた、そうだ。あたしが崖から落ちたときに、助けてくれた人だ」
ふと、ルヴィリアの瞳が開く。
緋色が波打ち、然れど静寂に押し黙って。
「何で忘れてたんだろ……。そうだよ、あんたに聞かれたんだ。ダークエルフは辛くないかって、あんたが聞いてくれたんだ。い、いや、違う。森を出た時から、あんたが一緒にいてくれたんじゃないか。旅だって、あんたがいてくれたから……!」
豊満な胸がリースの顔を覆い、鼓動を押しつける。
優しい音だった。聞き慣れていたはずの、愛おしい音だった。
子供を抱き締める母親のように、慈愛に、満ちたーーー……。
「ん……、ぅ……」
すると、リースはそれこそ赤子のようにこてんと眠りに落ちた。
ルヴィリアはそんな彼女を抱き締めながら、いつまでも、大切そうに、微笑みかけて。
「……貴方なら大丈夫よ、リースちゃん」
爆炎の陽光を受けながら、ただ、果てなき蒼空を見上げるばかりだった。




