海が大好きだった君へ
僕は
君と馬鹿な話がしたい
君を笑わせたい
君に優しくしたい
君を抱きしめたい
今、すぐ!
出来ないことが
なんだか、情けなくて
後悔が止まらなくて
君から貰ったものが、あまりに
多すぎて
僕の部屋はまだ君が戻ってくると
無邪気に信じている
君といた時間が空中に浮かんで
部屋の中を漂っている
全部が夢でした、なら楽だろうな
君を愛したことも
幻だったら、忘れてしまえたら
僕は立ち上がって、明日へ
平然と進んでいけるだろう
さよならを言えずに
ちぎれてしまった、君と僕
誰のせいでもない
夜毎、こみあげてくる痛みを
僕は目を閉じてこらえている
それは僕だけじゃない
僕よりもっと沢山ちぎれて
しまった人たちがいる
海に向かって絶叫した人たちが
真っ赤な目をした人たち
呆然と立ち尽くす人たちの中に
僕が、居た
あの日
君を連れ去った海を
赦せなくて
君が大好きだった海なのに
罵声を浴びせた
唾を吐き捨てた
無意味なことを繰り返した
海は何事もなかったように
静かに輝いていた
君が好きだった海の煌き
もしかしたら、君はどこかの島にたどり着いて
生きているかもしれない
そんな映画を見たことがある
くだらない、と鼻で笑ったけれど
今は淡い希望の光だ
僕はこれから君を探しに行く
長い旅になるから、君に会う頃には
おじいさんになっているかもしれない
必ず、見つけるから
気長に待っていて欲しい
長い作品をお読みくださいまして、ありがとうございます。