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プロローグ #2

 この押しが強くてぐいぐいくる女神様が退場すると、ゲーム本編が始まるのだろう。

 途緒みちおが途緒ではなくなって、途緒ルネになってルネになる。


 大方ベッドで目覚めるシーンか、始業式でだるいなあと呟くシーン。


 家を出たところから始まって幼馴染と早速遭遇というのもあるだろう。


 大体想像がつく。


 途緒にはその前に確認すべきことがあった。

 それはこの女神様の立ち位置。

 聞いておいて損はない。


 思い切って途緒は聞いてみた。


「あのー、女神様?


 ちょっと聞いちゃっていいですか?」


「なに? 世界滅亡のこと?


 そのことならネタバレになるから今は言えないわねえ」


「いえ、そうじゃなくって、女神様のことなんですけど?」


「えっ? ワタシ?


 ワタシに興味があるの?」


 と女神様は、ほおを赤らめた。


 それでなんとなく途緒には想像がついてしまった。


 途緒が確かめたかったのは、この女神があくまでゲーム内キャラであるのか?

 それとも、現実世界とのリンクを担当している、ゲーム内ではメタ的な視点を持ちうるキャラなのか? ほんとの神様的ポジションなのか?

 ということ。


 前者であれば、かまうことはない。

 さっさと退場願う。


 もし、後者であった場合。

 その時は、念には念をいれたほうがいい。

 自分の奥義、絶対的攻略秘儀、つまりは秘密シークレット手段リゾートの使用許可をそれとなく取って置くことが円満プレイに繋がる。

 ひょっとしたらこれまでも何回か遭遇したゲーム内のキャラじゃないほんとの神様達みたいに、秘密シークレット手段リゾートのバージョンアップもやってくれるかもしれない。


 そうであれば、より一層攻略が簡単になる。

 途緒はそうした神様達のお世話になりつつなんとかゲームトリップ体質とうまく付き合っているのだった。


 だけど……。


「は、恥ずかしいわ!


 スリーサイズなんてとてもとても……。


 そうねえ、彼氏はいないわよ。ずいぶんと前から。


 好みのタイプ?


 えっ! 内緒よ。


 だけど、目の前に居ちゃったりなんかして……。


 歳の差なんて気にならないのよ?」


 と体をくねくねさせながら、聞いてもいないことをズカズカと答える女神様。

 途緒ルネに媚び的なのを売る女神様。


 だめだ、この人(女神)は……、ゲーム内のキャラの一人に違いない。

 まったくその通りだ。


 こんな人に、新しいチート的能力なんて求めても仕方ない。


 ひょっとしたら攻略対象ヒロインのひとりなのかも知れない。


 しかも『ちょろイン』だ。


 今デートに誘えば、確実にフラグが立つ。


 毎週会える。お弁当も作る。


 そんな予感がした。


 だけど……、自分でアタリを探せと言って置いて、自分自身がアタリだなんて、あり得るだろうか? いやありえない。

 反語を使うまでもなく、仮にびっくり展開が今後待ち受けていたところで、今の段階で女神様の好感度をむやみに上げるのは得策じゃない。


 様子見。しばらく様子を見て、秘密シークレット手段リゾートの力も借りつつ、地道にやって行こう。


 途緒はそういう風に決意した。


「あの……女神様。


 ありがとうございました。もういいです。


 もういいですから」


 と、マシンガンのように個人情報や恋愛歴、性癖を吐きつづける女神様を制止する。


「えっ、ああゴメンナサイ。


 なんか、アタシばっかり喋っちゃって……。


 アタシ、もっとルネくんのことも知りたいなあ、なんて」


 とあくまで途緒ルネとの会話継続を望む女神様に、


「いえ、あの、あたしの役割ミッションはわかりました。


 頑張りますから。『アタリ』を見つけてうまいことやります。


 また何かあった時はよろしくお願いします」


 とあくまで丁寧に、やんわりと退場を促す。


「そ、そう?


 じゃあ、アタシ……行くけど。


 頑張ってね。


 で、何か困ったときにはいつでも呼んでちょうだいね。


 すぐに駆けつけるから。


 マッハの速さで飛んでいくから。


 ルネくんの依頼が最優先だから」


 と、既に途緒ルネの奴隷と化した女神様。


 女神様の背中には退場口がぽっかりと穴を開けたのだが、それでも動こうとしない女神様を途緒ルネは、ぐいぐいと押して穴に放り込んだ。


「ほんとに、いつでも呼んでね~。


 待ってるからね~~!!」


 と叫びながら消えていく女神様。


 しばらく呼ぶのは控えておこう。


 まずはゲームの世界に慣れること。


 攻略対象ヒロインたちとひととおり出会うこと。


 それが第一優先。


 と、その前に、秘密シークレット手段リゾートだ。


 能力を発動させて、ゲームのあらましを掴む。


 最短ルートを導き出す。


 そう決意すると同時に途緒の意識は混濁していく。

 気が付くと想像通り、異世界的なつくりの部屋の中。

 ベッドの上に居た。


 ルネとしての一日目の始まりである。


 こうしてルネの学園生活、アタリヒロインの探訪と攻略、そして、無数に居る『ちょろイン』達へのツンツンの日々が始まった。


 ルネはゲーム開始早々、早速弱音を吐く羽目になる。


(どうしてこのゲーム、攻略対象ヒロインがこんなに多いのよ!)



◆今回初紹介の攻略対象ヒロイン


神様(年齢不明、おそらく年増)

性格:押しが強い

属性:グラマー

外見:グラマーな金髪美女

備考:神様

ポ:喋りかけただけで惚れる『シャベポ』


◆今回登場の攻略対象ヒロイン

神様:ルネくんが呼んでくれるならアタシどこにでも現れるからっ!

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