そして練習へ……(6)
「ところでどうしたんだ? こんな所にきて」
「うん、何となく来ちゃった」
「何となくってお前、稽古はどうしたんだよ?」
「もう終わったよ、だから来たんだ。きっとここにいるんだろうなって思ったから」
「物好きな奴だな」
「えへへ、別にいいでしょ。何をしようと私の勝手だもん」
「まあ、好きにすればいいさ」
「はいカーット」
高宮先輩の声が響いた。
「うん、なかなかいいわよ。もうちょっと声を大きくすると尚良くなるわ。そこをもうちょっと意識してやってみてね、いい?」
「はい」
「はい、じゃあ続きいってみましょう、ヨーイアクション」
「でも、毎日本当によく頑張るね、レイエスは。疲れたりしない?」
「ああ、大丈夫だ。いつ敵は攻めてくるかわからねぇから当然のことだ」
「さすが、コンバルティー王国騎士団隊長、レイエス・マティアボルド十八歳だね」
「どうしてフルネームなんだよ」
「えへへ、だってかっこいいじゃない?」
「そうか? レイエスなんて、あまり男っぽくないと思うんだが」
「そんなことないよ、かっこいいと思うけど。そんなこと言ったら、私の名前だって女っぽくないよ」
「そうか? まあ、ロップがそう思うんならそれでいいが」
「うん」
先輩が空を仰ぐような仕草を見せる。




