そして練習へ……(2)
「うわぁ、似合ってるね成松くん」
「そんなことないですよ、それより先輩、その格好は?」
「コレ? これはロップの衣装だよ」
「ロップ? ……ええ、先輩がロップ役だったんですか?」
「うん、あれ? 言ってなかったかな?」
「はい、初めて聞きました」
「もぉー、早紀ちゃん、ちゃんと教えてなきゃダメだよ~」
「あー、ゴメンゴメン、すっかり忘れてたわ」
こういう大事なことを忘れてほしくはないのだが。
「ごめんね成松くん、じゃあキャストを教えるわ。ロップ役が綾音、ミルド役は私で、エリアル役が響、そしてゼルベクト役は美子よ。後、途中に出てくる敵は主に一年生が担当することになってるから。それにも出演してない人は、照明とナレーションと音響をやってるから、オーケー?」
「はい、分かりました」
にしても、ロップ役が先輩だったなんて……嬉しいような嬉しくないような。嬉しくないと言うのは、意識しすぎて演技がうまくできなさそうである不安を述べたもので、決して嫌いと言うわけではないのであしからず。
まあいい。とにかく、集中してやれれば問題ないはずだ。意識しまうって言うことは集中し切れてない証拠。頑張るしかない。




