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そして練習へ……(1)
「じゃあ、今から十分間休憩とるから。それまでに劇の衣装にチェンジしといてね。あっ、成松くんはこっちに来て。衣装を渡すから」
「あっ、はい」
俺は先輩の後ろをついていった。
「す、すごくそれっぽい衣装ですね」
現在、俺はまるで本物の騎士団が着るようなメイルを着ていた。騎士役をすることにもびっくりしていたが、実際に騎士用のメイルがあることにはさらに驚いた。さすがメイル、重さが半端じゃない。着ているだけで筋肉が鍛えられそうだ。
「何処でこんなのを手に入れたんですか?」
「ネット通販よ、すごく高かったのよね~、値段は内緒だけど」
きっと結構したんだろうな、おそるべし演劇部。
「にしてもよく似合ってるわね」
「まるで本物みた~い」
「ベストマッチ……」
体をぎしぎし鳴らしながらステージに戻ると、そこには何故か魔法使いのような格好をした本村先輩の姿があった。先輩は、自分の服の裾につまづきながら、こちらにトコトコ走り寄ってきた。




