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年上ヒロイン・綾音登場(7)
「これくらいは当然です。誰か突破口がいないと、物事は始まりませんから」
「突破口?」
「あ、ううん。何でもありません」
「そうですか」
「で、では私はこれで……ひゃ!?」
見事に、先輩は何の変哲もない壁に激突した。
何つーか、その、先輩って少し抜けてるんだろうか?
まあ、ケガもなかったみたいで安心はしたが……きっと痛かっただろうな、それだけは理解できた。
「大丈夫ですか?」
「う、うん、平気。それじゃあ」
額を押さえながら、本村先輩は三階の階段を駆け上がっていった。