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エチュード・イズ・ディープ(6)
「大丈夫よ心配しなくて、テキトーにやっていいから、それに成松くんの前は綾音だからさ」
いやいや、だからって問題ないってわけでは。
「じゃあ、一人約二分間を目安に役を演じてね。はい、それじゃあいきまーす、よーいスタート」
ついに始まってしまった。まずいますい、まだ役柄も決まってない。いかん、とりあえず落ち着こう、大丈夫、まだ少し時間はある。それに最後だしな。ここはひとつ、他の人のを観察しておこう。
…………無謀にもほどがあった。みんなのレベルが高すぎる。何ですか? アサシンとかフェニックスとかプレシオドンとか……俺にとってはすべてが神業にしか見えない。どうする、どうすればいい、気づけば順番は本村先輩の前まで来ていた。
「じゃあ、頑張ってね」
そして、先輩は壇上に出て行った。




