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エチュード・イズ・ディープ(3)
「仲がよろしそうで何よりだけど、周りも気にしないとだめよ」
「滅私奉公……」
「す、すみません」
俺たちは声をそろえてそう言った。
「さ、じゃあ活動を始めましょうか」
高宮さんがそう言うと、みんなはステージの方に横一列に整列した。本村先輩に惹かれて、俺も同じように並ぶ。
「まずはいつものように声出しねー、リズム良くはっきりと、はい、いろはにほへとちりぬるを」
高宮さんの後に従って俺も声を出す。うっ、みんな一緒だからまだいいが、声を出すのに少し抵抗があるな。それに普段あまり前に出て行かないから恥ずかしい。羞恥を捨てなければいけないのは分かるんだが……。
「成松くんー、恥ずかしがっちゃ駄目よ。そしてもっとお腹から声を出さなきゃ。もっと息を吸い込んでやってみて」
「は、はい」
「初めてにしてはできてるわよ、頑張って」
「ファイト……」
三人の指導の下、それを十五回ほど繰り返した。




