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突然のオファー(15)
「じゃあ、みんなあいさつして」
高宮さんがそう言うと、部員は俺の前に一列に整列し、一人ひとり名前を言っていった。そんなに人数が多いわけではないので、それは二分ほどで終了した。
「はいこれ」
里野さんが一冊の本を手渡した。
「今日は部活に参加しなくていいから、明日までにそれに目を通しておいてくれないかしら? あっ、ちなみにその台本は、綾音が作成したのよ」
「本村先輩が、ですか?」
「うん、何かおかしいところがあったら言ってね? リメイクするから」
「はい、分かりました」
先輩が書いた台本か……。ちょっと興味深いな。
「うふふ、今から発表が楽しみになってきたわね」
「期待はしないでくださいよ」
「分かってる分かってる、でも、やるからには全力でやってくれるでしょ?」
「それはまあ、はい……」
「なら問題ないわ」
キーンコーンカーンコーン、五分前のベルが鳴った。




