6/247
年上ヒロイン・綾音登場(5)
やはり二人だと早く済んだな。
落ち葉のように散乱していたペーパーズは、気合を入れて片付けた甲斐あって五分ほどで全て集めることができた。
きっとこれを職員室に運ぶんだろう。
ここまでやったんだ。
俺はペーパーズの半分を手に持った。
すると、彼女はあたふたし出す。
「あ、いいですよ。すぐそこですし」
「すぐそこまでなら、俺は手伝います。いいんですよ、遠慮しないでください」
「……重ね重ねありがとうございます」
そう言うと、彼女は小さな手でその書類を持ち上げた。
手伝って正解だったな。
彼女はその半分の量を持っただけでも、かなり窮屈そうな顔をしている。
「失礼します」
本日二回目の職員室に入り、彼は彼女の後ろを着いて行く。
なるほど、この人は先輩だったのか。
敬語を使っておいてよかったぜ。
「先生、用紙を持ってきました」
「ああ、ありがとうな。あれ? 君は二年生だよな?」
「はい、助けてもらっちゃいました」
「そうか、すまなかったな」
「いいえ、では失礼します」
俺も一緒になって頭を下げ、そして職員室を出た。
教室までの帰り道、俺たちは自己紹介をしていた。