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突然のオファー(4)
「昔は普通だったらしいんだが、ある時を境にパッタリと男の縁を切ったそうなんだ。先輩の心に何か変化が起きたんだろうな。男が苦手になるくらいの何かがな」
「何なんだ? その変化って」
「さあな、さすがにそこまではわかんね。こればっかりは本人に聞かないことにはな」
「そうか……」
「だから、お前と先輩は仲良くしてるのを見たとき、俺はびっくりしたんだよ。今まで会話することすらまともにできなかった先輩がお前と楽しそうにしゃべってただろ? しかも先週の土曜日にゃデートしてたみてぇだし……」
「どこでそんなプライベートな情報を入手したんだよ」
「そ、それは秘密だ」
「…………」
「とにかく、先輩はお前に何かしら好感を抱いたんだ。そうでなかったら、お前と会話することすら拒むはずだ」
「……本当にそうなのかね?」
「? どういう意味だ?」