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突然のオファー(2)
「ああ~、どうしてこう世の中はこう不条理なんだよ~」
「言っとくがデートじゃないぞ。ただの荷物運びだ」
「んなもんデートと変わらんわ。ちきしょ~、何でお前ばっかり幸せな思いを……男は顔じゃなく中身だって言うのに……」
「お前顔悪くないじゃないか」
「仮にそうだとしても、お前がいる限り俺はずっとドクダミ生活を送ることになるんだよ、ああ、神様は不公平だ。雄慈に二物も三物も与えすぎだ」
「悪かったって」
「はあ、もういいさ」
大きく溜め息を吐きながら亮太は言った。
「よくよく考えりゃ、お前にそういう風に言ったのは俺だもんな。逆に喜ぶべきなのかもしれないし……。どうだ? 楽しかったか?」
「だから荷物運びだって言うに……まあ、楽しかったけどさ」
「そうだよな、楽しくないわけないよな、あんな優しい先輩と一緒に行動して」
亮太はすすり泣いていた。そこまで先輩は人気があったんだな。改めて先輩の知名度の高さを実感した。




