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ふれあい・イン・ショッピングモール(8)
「俺は、正直先輩はそのままでいいと思いますよ」
「え?」
「意味がわからないかもしれないですけど、そのほうが先輩って感じがするっていうか、あんまり気にしなくていいと思いますよ?」
「成松くんは、そう思うの?」
「俺はでっかい子よりも、小さめの子のほうが良いと思うんですけどね」
「そっか……」
それきり先輩は、まるで秋になって紅葉を始めたもみじのように顔を赤くしていた。俺、何か間違ったこと言っただろうか?
気のせいだろうか?
何はともあれ、無事にガムテープと接着剤を買い終え、一応一段落ついた。
「さて、次は何処に行きましょうか?」
「うーん、そうだね」
「お姉ちゃーん、わたしお腹すいたよー」
「え? もうそんな時間?」
俺は腕時計にちらっと目をやった。時刻は十二時を二十分ほど過ぎていた。確かに、ちょっと腹が減ってきたかもしれないな。朝飯はバタバタしてて食う暇なかったし、アメを時折舐めてるって言っても気を紛らすぐらいにしかならなくて、むしろさらに腹を減らすカンフル剤と化していた。




