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年上ヒロイン・綾音登場(3)
――いやいや、こんなところで終わってたまるか!
俺はがばっと立ち上がった。
体を見回す。
外傷は何一つ受けてはいなかった。
当たり前か、いくら束になって牙をむいたところで、所詮は紙。
無力である。
自分の生還を喜んでいると……そこには女の子の姿があった。
その子はすまなさそうにこちらをじっと見ている。
そして――、
「すいません、大丈夫ですか?」
謝ってきた。
え? 何でだ? この女の子が謝る理由なんて……。
「私の不注意で、迷惑をかけてしまって。本当にすいませんでした」
……ああ、そういうことね。
今、ようやく謎が解けた。