ふれあい・イン・ショッピングモール(2)
「今日、部活の買出しがあって、私が当番だから真綾と一緒に行くんだ」
「はあ」
「そしたら真綾が、成松くんと一緒に行きたいって騒ぎ出しちゃって……ダメって言ったんだけど言うこと聞いてくれなくて、電話かけてってせがまれたの」
とどのつまり、真綾が俺なんかと一緒に買い物に行きたいってことでいいんだろうか? いやはや、物好きもいるものだな。
「どうかな? もしよかったら付き合ってもらっても」
家に居たってどうせパソコンと課題やるくらいだし、別に夜でも問題はないからな。ここは喜んで付き合わせてもらおう。何より、本村先輩の頼みだ。
「俺なんかでよかったら喜んで」
「本当に? ありがとう。じゃあ、十時に駅前に来てもらってもいいかな?」
「はい、分かりました」
「じゃあ、また後で」
今、十時って言ってたよな? ふと時計を見る。
「げ」
俺は時計を見て絶句した。見てみれば十時まで後四十分を切っていたのだ。駅までは家から二十分はかかるから、もうほとんど時間は残っていなかったのだ。
「やっべ、急げ急げ」
俺は疾風のごとく、寝巻きから普段着に着替え、朝飯も食わずに家を飛び出したのだった……。




