細やかなプレゼント パートⅡ(8)
「みんな、来て~。綾音のボーイフレンドよ」
部員をどんどん集め始めたのである。
「綾音でも勿体ないくらいの相手よ」
「女殺し……」
まずいまずいまずいまずいまずい。何故だ、何故こうなってしまったのだ。一体どうしてこんな嘘八百の話になってしまったんだ。理不尽にもほどがあるじゃないか? と言うより、感謝の意を示しただけだというのにどうしてそこまでピンク色の話に変貌させることができる。エキセントリックすぎますよ。もはや何もかもがカオス。
「違うよ、違うってばー」
本村先輩も必死で否定を試みているものの、周りの喧騒にかき消されてまるで聞こえていない。
どうする、どうしたら、どうすればいい? 何か解決策はないのか? こうしてる間にもどんどん三人の力で部員は集められている。ヤバい、激しくやばい、このままでは……。
何一つとして考えが思いつかない。神様、何故、このような仕打ちを私たちにお与えになられたのですか? 思い当たる節などありません。それともこれは、あなた様がお与えになったミッションなのですか? あんまりです、私はあなたを恨みますよ? もうこうなったら……すみません、先輩。
「な、成松くん?」
俺は脱兎の如くそこから逃げ出した。本当にすみません先輩。でも、これしか方法がありません。俺は演劇部を後にした。




