細やかなプレゼント パートⅡ(6)
「にしても、綾音はどこで成松くんと知り合ったの?」
「うん、用紙を運んでる時に、誤って転んじゃって、その時に助けてもらったの」
「綾音は本当によく転ぶのね」
「ドジっ娘……」
さっきから聞いていると随分な言われ放題だな。いじられキャラなんだろうか?
「まあ、そこがかわいいんだけど。それにしても、綾音やるわね。こ~んないい男とめぐり合っちゃうなんて」
「合縁奇縁……」
話が徐々に先ほどのことに戻りつつあるな。
「ねえねえ成松くん」
「はい?」
「綾音のこと、どう思う?」
「え?」
「一人の女の子として、綾音のことどう思ってる?」
藪から棒に、高宮先輩は何を言ってるんだ? もう少し聞き方があるような気がするんだが……。そんなど真ん中にストレートを投げられても、どのように答えていいものか。俺は大いに悩んだ。すごく思いやりがあって優しくて、節度もわきまえていて穏やかで。
ん? 待てよ? あんまり持ち上げても逆に失礼か? ひょっとしたらそんな性格じゃないかもしれない。あまり軽口をたたかないほうがいいな。じゃあどうする? 背が少し低くてかわいいです、ダメだな。完全に見下してる感がある。それにきっと、先輩も気にしているかもしれない。そりゃそうだよな、男性からみたら小さい子はかわいいかもしれないけれど、女性は男性よりも身長を気にすると、亮太が言っていたくらいだ。先輩ならなおさらだ。これは口が滑っても言えまい。そうやって一人考え、俺が導き出した答えは、
「尊敬できる、先輩ですね」
何ともヌルい答えだった。こういう時、自分のボキャブラリーの無さに涙しそうになる。すみません、先輩。




