混沌の中で見たもの(8)
「見ろ、雄慈郎」
使いの人が指差した先には亮太の姿があった。その表情にはいつもの元気が無く、放心状態という言葉がよく似合っていた。
その時、亮太は口を開いた。
「雄慈郎、頼む、生きてくれ。お前が死んだら俺は……唯一の親友を失っちまうじゃないかよ。もう一度、俺に元気な姿を見せてくれよ、頼む……死なないでくれ」
「亮太……」
俺の胸にグサっと、一本の心の矢が突き刺さった。俺なんかのために……そこまで悲しんでいるのか?
こんなにちっぽけな俺のために……。
「次の場所に移るぞ」
俺は手を引かれ、その場所を去った。
そこには、三人の先輩たちの姿があった。先の亮太と同じく、放心状態で覇気がない。全くの別人みたいだ。
そして、口を開く。
「お願い、成松くん、死なないで。そしてまた遊びましょうよ、みんなで一緒に。あなたがいなかったら……せっかくの遊びも楽しくないもの、だからお願い……生きて」
「私たちに、もう一度、あなたの笑顔を見せてちょうだい」
「一生の……お願い……」
「先輩……」
俺なんて、てっきり先輩たちのお邪魔虫かと思ってたのに……そこまで俺のことを考えてくれてたのか……。
先輩たちの言葉が、三本の心の矢となり、俺の胸へと刺さった。
心配してくれて、ありがとうございます、先輩たち。
「次に行くぞ」
俺はまた手を引かれて場所を移した。