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混沌の中で見たもの(3)
「あの、あなたはどなたですか?」
「私は……神の使いの者だ」
「神の、使い?」
夢の中にいるような感じが続いてるおかげが、すんなりとその人の言っていることを聞き入れることができた。
「どうして、あなたのような人がここへ?」
「お前の、現状を伝えに来たのだ」
「俺? 現状? 俺が何かしたんですか?」
「やはり、覚えてないか……まあ、無理もない」
「?」
「お前は今、生と死の狭間を彷徨している。お前は現実世界で、本村綾音という女を自分を捨てる覚悟で助けたのだ」
「本村、綾音?」
「そう、お前の先輩であり、最愛の女性だ」
「…………!? あ……!」
思い出した。そうだ、俺は自らの命を捨てる覚悟で綾音先輩を天内から助けたんだ。でも、俺は刺されてそれで……気を失った。