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当日……そして……(14)
「――――ぐふっ!?」
「な、何!?」
「ゆ、雄慈郎くん!」
見事にナイフは俺の腹に突き刺さった。深くまで刺さったそれは、天内が力を込めて引っ張っても全くびくともしない。俺は彷徨する意識の中で、そのスキを見逃さなかった。何度も念じたおかげか、自我はまだ崩壊していなかった。
「終わり……だ……」
俺は今体に残っている全パワーをのせて天内の鳩尾にパンチを繰り出した。
「ごほっ……」
悶絶した声を残して天内はその場に倒れた。……勝った、勝ったんだ。
「だい……じょうぶで、すか? ……綾音、せん、ぱ……い……」
「うん、早く、早く手当てを」
「よか……ったです……無事、で……」
さすがに、血を流しすぎたな。く……目の前が暗くなって……だけど、目的は果たした……俺に、して……は、上……で、き……か。よ……かった。
俺はそれきり意識を無くした。
……………………。
…………。
……。