表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君が愛を語れ  作者: BAGO
232/247

当日……そして……(13)

「くっ……」

ガシャンガシャン。

狙いが外れ、近場にあったパソコンが音を立てて足下に落ちる。

くそ、体が思うように動かない。それに、目の前も何だかかすんできた。早く、脱出しなきゃいけないってのに……。どうする、どうすればいい? せめて、綾音先輩だけでも……考えるんだ。気を抜けば今にも倒れそうになるのを堪えながら、俺は体にムチを打って指向を巡らす。

俺とアイツの距離は少しある。その間にはパソコンが二台、電話が一台、そしてコピー機が一台、それ以外には社員が座るためのイスと印刷用のコピー用紙があるだけ。ち、これじゃあどうしようもない。足止めはできても、出口へのドアには辿り着けない。まして俺はすでにフラフラ、動ける範囲にも限界がある。

くそ……刺されさえしなければ。

綾音先輩を見ると、ただ静かに恐怖に打ち震えている。

この人だけは……絶対に助けてあげたい。だって、約束したんだ、どんなことがあっても守ると。守り抜くと―。

たとえここで俺が死んだとしても、綾音先輩を守り抜ければ――本望じゃないか。

そうだ、俺は何を考えている。何故俺は自分も生きようと考えているんだ? そんな考えはいらない。綾音先輩を守ることだけ考えればいいんだ。死ぬ気でいけ、死んだって構わない。こいつから、綾音先輩を救い出すんだ。

俺は腹を決めた。

「さあ、そろそろ終わりにしようじゃないか。こっちもそろそろ限界なんでね」

そう言うと、天内はナイフを構えた。

「死ね」

天内は俺の元に走り出す。

助けることだけ、それだけを考えろ。ただ、それだけを……。

俺は――。

ザクッ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ