当日……そして……(12)
「――――っ!?」
グサリと……突然横から何者かに脇腹を刺されてしまった。
「ぐっ……痛っ……誰だ?」
分かっていながらも叫んだ。案の定、そいつは姿を現した。
「天、内……」
「すまないね、素性を知られたからにはこうするしか方法はなかったのだよ」
「くっ……」
俺は脇腹を抑えながら綾音先輩に近寄る。
「綾音先輩、綾音先輩!」
俺が揺すると、綾音先輩は目を覚ました。
「綾音先輩、大丈夫ですか?」
「ゆ、雄慈郎くん――きゃああっ!」
綾音先輩は絶叫した。
「血……雄慈郎くん、血が……」
「へ、平気ですよ、これくらい……」
強がって見せたが、実際はかなりやばい状況だった。手で流れ出るのを止めようとするのだが、次から次へと溢れ出てきて止まらない。く、結構深くまで刺されたな、早く、ここから脱出しないと。
「あなたが、やったの?」
「ああ、そうだが?」
「そ、そんな……」
「何故、こんなことしたんだ」
「いい人材を探すためだろう?」
「ふざけんな、こんなの、ただの犯罪だ」
「ひどい言われようだな、大半のプロデューサーはこういうことをやっているじゃないか。何故私だけがこんなに言われなければいけないのだ?」
「本当にそうだとしたら、どうしてドアに鍵をかけてたんだ?」
「面接者は怯えやすいからな、その対策というわけだ」
「逆だろうが、そんなことしたら……余計に怯えるだろうが」
「ふむ、悪くない考えだと思うんだが……そういう考えもあるか」
ナイフを持ったまま天内は腕組をする。
「まあいい、意見をどうもありがとう。だが、私は自分の意思を貫くことにするよ。もう君には用はない、死んでもらおうか?」
天内はダッと走り寄ってくる。