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当日……そして……(10)
「ん?」
俺の携帯が鳴っている。
誰だろう? 亮太か? また宿題教えてくれとかだったら張っ倒してやるぞ。そんなことを考えながら画面をチェックすると、そこには度肝を抜かれる文面が書かれていた。
“助けて” 綾音先輩――ただそれだけが書かれていた。
「成松くん、どうかしたの?」
先輩が心配そうにそう尋ねてきた。俺は絶句しながらも携帯の画面を見せた。
「……何? これ」
案の定先輩たちも動揺する。一体、何が起きたというんだ? 綾音先輩に限ってこんな悪戯メールを送るわけはない。ましてや、今は評価最中のはずだ。そんな時に限ってメール……ま、まさか……いや、そんなはずは……でもそうだとしたら綾音先輩は……。
とにかく、ここで悩んでいても始まらない。綾音先輩に危険が迫っているかもしれないんだ。
「俺、綾音先輩のところに行ってみます。先輩たちは警察に連絡を」
「う、うん……でも一人じゃ」
「女の子は近づかないほうがいい。とにかく一刻も早く警察に、お願いします」
「わ、分かったわ」
俺は一目散に綾音先輩が向かった場所へと走った。