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君が愛を語れ  作者: BAGO
227/247

当日……そして……(8)

私は意を決して部屋をノックした。

しばらくすると、中から天内プロデューサーが出てきた。

「こ、こんにちは」

「やあ、来てくれて嬉しいよ」

「い、いえ、こちらこそ呼んでくださって嬉しいです」

「さ、中に入ってくれ」

私は少し緊張しながらも中へ入った。事務所のわりには随分とひっそりとしていた。私たち以外の人たちの声が聞こえない。

「あの、他の職員のかたはいらっしゃらないんですか?」

「ああ、皆帰らせたよ。君と一対一で話したかったからな」

そう言いながら、何故か天内プロデューサーはがちゃりと部屋の鍵を閉めた。

え? どうして鍵を? よく意図の掴めない行動に私は動揺を隠せない。

その時、私の心臓が大きく跳ね上がった。そして、ひどい寒気を背筋に感じた。これは、私が感じる悪い感覚だった。私は自他共に認める男の子が苦手な女。それ故、男の人に対しての人見知りはものすごく激しい。なので、いつしかそれを心臓の鼓動の速さでわかるようになっていた。今の状態は……とても怖い、今すぐにでも逃げ出したい、そう自分の中の自分が言っていた。

落ち着きなさい、私。初めて会った時のことを忘れたの? すごくいい人だったじゃない。きっと私の思い過ごしよ……大丈夫、大丈夫。

だけど、そんな思いはすぐに壊されてしまう。

「さて、早速審査を始めようと思うんだが……脱いでくれないか?」

「え?」

私はぞっとした。何? 何で? 言ってることがおかしい。演劇の審査をするのにどうして脱ぐ必要があるの?

「どうして、脱ぐ必要が?」

「当たり前じゃないか、審査するからだよ」

「演劇の評価をするのに、体は必要ないんじゃ……?」

「分かってないな、君は。最近の演劇の舞台とは、プロポーションもそれなりに求められるのだよ」

嘘だよ、そんなこと、他のプロデューサーだって一言も言ってない。心に響く声と演じきる心があればいいってしか他の人は言わない。

その時――、


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