表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君が愛を語れ  作者: BAGO
224/247

当日……そして……(5)

「分かりました、じゃあ行きましょう」

俺はゆっくりと車イスを押し、綾音先輩の向かった方向とは逆のほうへと歩き出す。

今の時刻は四時を少し過ぎた辺り。さっきまで喧騒に包まれていた街中が、今は大分静を取り戻しつつあった。正直、同じ街中には見えない。まあ、ここの通りは夜は『シャッター通り』なんて呼ばれてるからな。全ての店が店じまいの時に安全を求める故に、シャッターで閉じることからそう呼ばれるようになった。だから夜は、ドラマとかで使われそうなちょっとしたセットみたいにも見える。

「うーん、今日は楽しかったわねー」

背伸びをしながら高宮先輩はそう言った。

「はい、そうですね。おもしろかったか? 真綾」

「うん、とっても。お兄ちゃんがいたから、いつもより楽しさ五割増しだったよ」

お、前より二割増えているな。前より楽しかったなら俺も嬉しい。

「特にカラオケね。雄慈郎くんてあんなに歌うまかったのねー。ふふっ、あの声だけでも何人も女の子を落とせそうね」

「とりこ……」

さっきからこればっかりだった。実は正午あたりにみんなでカラオケに行ったのだが、その時に歌った俺の曲がどうしてか気に入ったらしく、何度も何度も歌うことになってしまったのだ。何がよかったのか俺にはさっぱりなんだが……。聞いてみるか?

「綾音も上手だったけど、やっぱり私も雄慈郎くんね」

「一体何がよかったんですか?」

「え? うーん、そうねぇー、私たちは全てにおいてよかったと思うんだけどー」

何故そこまで俺のことを持ち上げてくれるのだろう、この先輩がたは……。

「後は……優しさかな」

「え? 優しさ?」

「ええ」

一瞬冗談かと思ったが、目を見る限り嘘ではないようだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ