21/247
細やかなプレゼント(4)
「きゃ!?」
何もないところでばたんとすっころんだ。
いやいや、どうして段差のないところでどんな上手に転べるんだ?
……ある種の才能、かな?
っと、そんなことより、手、貸してやらねぇとな。
「大丈夫ですか?」
「はい、あ、ありがとうございます」
さっきは一瞬触れただけだったけど、今度は完璧に触れ合った、と言うより握った。
手も小さな、だけどすごく暖かくて優しい感じがした。
ふむ、優しい人は、やっぱり手からもそれが伝わってくるんだな……。
そんなことを考えながら、俺は本村先輩をゆっくりと引っ張り起こす。
「本当にごめんなさい」
「気にしないでいいです。ケガはしていませんか?」
「は、はい、大丈夫です」
「なら、よかったです」
「じゃ、じゃあね、バイバイ」
本村先輩は走って去っていった。




