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細やかなプレゼント(3)
「う、受け取れませんよ、あれは当たり前のことをやっただけなんですから」
「でも、成松くんは私はおろか真綾まで助けてくれて……姉妹そろって助けてもらったのに何もしないのは失礼です」
「そんなお礼をしてもらうために頑張ったんじゃないですよ? 俺は」
「お願いします、受け取ってください。そうじゃないと私の気が治まりません」
何だか受け取らない俺が悪者のような雰囲気になってきたな。
確かに俺のために買ってきてくれたのだとしたら、本村先輩が使うこともないだろう。
だったら、俺が上手に使ったほうがいいかもしれないな。
「……分かりました、ありがたくいただきます」
「はい、どうぞ」
プレゼントのように、本村先輩から俺へと手渡しされた。
その時、一瞬だが本村先輩の手に触れてしまった。
「あ……」
「あ……」
気がつけば同じ顔をしている俺たちだった。
手がちょっとだけ触れただけで小心翼翼するのもどうかと思うが……。
「じ、じゃあ私はこれで……」
そう言ってきびすを返した瞬間……。




