Let's action!(3)
俺はちらりと垂れ幕をめくって外の様子を確認する。
うわ、すげぇ。ほとんど席が空いてない。ほぼ満席だった。うう、弥が上にも緊張してくるぜ。ついに本番だもんな、みんなだって少しは緊張している……はず。
「いよいよだね、雄慈郎くん」
気付くと綾音先輩が後ろに立っていた。
「あ、はい、そうですね」
「えへへ、やっぱり、少し緊張してる?」
「は、はい。正直言うと少し……」
「大丈夫だよ、自信持ってやれれば」
「そ、そうですね。じ、自信さえ持っていれば」
「うん、頑張ろう?」
「は、はい」
口ではそう言ったものの、やはりそう簡単に不安の色は拭いきれないものであり、時間が迫るにつれて膝が笑ってきてしまった。
鎮まれ、鎮まれ、鎮まるんだと自分で自分に必死に暗示をかけていた時だった。
「ん……」
突然ほっぺたに柔い感触が走った。
「あ、綾音先輩?」
「えへへ、成功のおまじない。何か表情が険しかったから。落ち着いた?」
これはマジックだろうか? さっきまで震え続けていた膝は一瞬で止まり、モチベーションアップの追加効果があった。
「ありがとうございます、もう大丈夫みたいです」
「うん、よかった。頑張ろうね」
「はい」
そして、開始前のナレーションが始まった。