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Let's action!(1)
俺が文化ホールに着いた頃、すでにほとんどの部員は集まっていた。
「おはようございます」
「おはよう、雄慈郎くん」
そう言って、綾音先輩はトコトコと走ってきた。だが、
「きゃっ!?」
もはや得意技と言っていいだろう。何もない所で綾音先輩は蹴躓き、転びそうになった。だが、大丈夫。俺は綾音先輩の体を引き寄せ、転倒を阻止した。付き合い始めて約一ヶ月、すっかり綾音先輩が転倒するしないの予想が立てられるようになった。相変わらず、格好は恥ずかしいけどな。
「大丈夫ですか?」
「う、うん。本当に私ってドジだね。また何もない所で転びそうになって」
「気にしないでいいですよ。そんなところも俺は好きですから」
「あ、あんまりうれしくないよ、それ」
「何ともなくて何よりです」
「うん」
「あーあー、朝から見せつけてくれるわねー」
「いいわねー、綾音ばっかり幸せで」
「うらやまシス……」
やはりばっちり見られていた。当たり前か、全く離れてないもんな。まあいい、大分おちょくりにも慣れてきた。最近は先輩たちと一緒に過ごしていると、メンタル面も鍛えられることを知ってきた。