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細やかなプレゼント(2)
「すごくかわいい子が成松くんのこと呼んでるよ」
「かわいい子?」
「ひょっとして、コレ?」
「んなはずねーだろ」
俺は作業を一時中断し、廊下へ向かう。
そこには意外な人物が立っていた。
「あっ、成松くん」
本村先輩がいたのだ。
どうしたんだろう?
何かあるんだろうか?
まあ用がなければこんなところに三年生が来るはずないのだが。
にしても、何故俺に用があるんだ? 心当たりが何一つとして見当たらない。
「どうしたんですか? 二年生のところまで」
「うん……あの、コレ」
そう言うと、本村先輩は一つの袋を差し出した。
「何ですか? これ?」
「うん、二回も助けてもらったから、そのお礼です」
「お礼?」
まさか、そんなことのためにわざわざ二年生教室棟を通ってここまで来てくれたのか?
いやが上にも神経の活動が活発になってしまう。